インタビュー・ひと

「こんなことしたらおもしろいかも!」を実現した人、また、東海エリアに新たな息を吹き込んだ立役者となる『仕掛け人』にインタビュー。仕掛け人の存在や想いを知ることで、イベントや場所がよりイキイキと目に映るはず!


 
サーキットで行うレースとは異なり、公道を使って行われるモータースポーツ、ラリー。中世ヨーロッパの騎士たちが戦争を始めるために各地から集結したことが起源とされています。普段は自動車が走る道路で、ラリーカーが走る様子を間近で楽しめることもあり、観光の面でも注目されています。
11月25日(土)、26日(日)には岐阜県恵那市で日本初の第1回女性ラリー大会WOMEN IN MOTORSPORT“L1 RALLY in恵那2017”が開催。実行委員のひとりであり、世界最速の記録を持つ女性レーシングドライバー・井原慶子さんに、ラリーの魅力や見どころをお伺いしました。
 

 
― “L1 RALLY in恵那2017”は国際自動車連盟(FIA)公認の世界で初めての女性限定ラリーということで注目が集まっていますね。
 
井原:私は1999年にレースデビューをして、カーレースの楽しさを存分に味わってきました。この魅力をもっと多くの女性に広めたいと思い、2012年からは日本国内で女性レーサーやエンジニア、メカニックを育成する取り組み「WOMEN IN MOTORSPORT活動」をFIA、JAFの支援を受けて開始。18歳から68歳まで幅広い年齢層の女性から応募があり、ひとつのムーブメントが生まれました。この「女性もモータースポーツ界で活躍できる」という前向きな空気感を恵那市から発信していくことができたらうれしいですね。
 
― また、自然豊かな恵那市を舞台に、初めてラリーが開催されるということも注目ポイントですね。
 
井原:“L1 RALLY in恵那2017”当日は、MAZDAロードスター、MAZDAデミオ、TOYOTAVitz、TOYOTA86、SUBARU BRZなど、皆さんよくご存知の自動車がラリー仕様となって、恵那市岩村町を発着点に、農道、林道、市役所前などを走り抜けます。恵那市は田園風景が美しく、「農村景観日本一」と言われています。この自然の中で快走することはレーサーにとっても、ラリーを観戦に来ていただく方々にとっても、とても気持ちのいいことだと思いますね。
 

 
― モータスポーツの世界は、男性社会のイメージがあります。だからこそ、女性限定のレーサーやエンジニア、メカニックがいることを知るだけでも貴重なことですし、観戦に行けば新たな発見がありそうですね。井原さんがレースを始めたきっかけは何だったんですか?
 
井原:実は私、元レースクイーンなんです。大学時代にアルバイトでレースの世界を知ったわけですが、サーキットで人生観が大きく変わりました。メカニックもエンジニアも、そしてレーシングカーを操るレーサーも全身全霊を注いでレースに臨んでいる。その様子を肌で感じて、心を揺さぶられました。それは、今までにない感動でした。その時から、人生は一度きりなのだからレーサーとしてチャレンジしてみようと思うようになりました。
 
― 思い切った決断だったんですね。実際にレースに出るために、どんな努力をされてきたんですか?
 
井原:それはもう、トレーニング漬けです。ランニング20km、自転車100km、筋トレ2時間、25mプール100本スイミング!
 

↑ 体力不足でチームから解雇されそうになったこともあったという井原さん。トレーナーや管理栄養士と連携して体調管理を徹底しています。
 
― 想像しただけで、へたってしまいそうです。
 
井原:体力ではどうしても男性と比べてハンデがあるため、クルマの開発力を上げたり、細かい部分までこだわったコントロールをして走行したりしました。
やっぱり「男性社会」だから、相手にされなかったり、陰口を言われたことはたくさんありましたし、ヨーロッパで活動していた時には人種差別にもあいました。でも、「フェラーリ・ワールドファイナル」で表彰された時、当時のF1ワールドチャンピオン、ミハエル・シューマッハ選手にかけていただいた一言で、この世界で結果を出すという決意は固まりました。
彼は「世界一になりたいなら、自分にできることはすべてやらなきゃダメだよ。どんな環境にも自ら順応するんだ」と、私の目をまっすぐに見て言ってくれたんです。
 

↑ 1999年の「フェラーリ・ワールドファイナル」表彰パーティーにて、ミハエル・シューマッハ選手と。
 
― どんな環境にも、ですか。
 
井原:はい。簡単なことではありません。でもだからこそ人は強くなれるんですね。その後、2012年から2014年にかけて、世界最高峰と言われるWEC世界耐久選手権に、日本人として、また、女性として初めて参戦して5大会で入賞できたのは、彼の助言があったからだと思っています。
 

 

 
― 最近はビジネスの場で「ダイバーシティ」という言葉が注目され始めていますが、モータースポーツの世界でも、年齢や性別を問わず、みんなが挑戦できる未来が近いのかもしれませんね。
 
井原:それを目指しています。健康長寿国の日本では特に、人生を100年スパンで考えて、いろいろな経験をしていくことで豊かに生きることができると思います。女性にとって仕事や育児だけではなくて、モータースポーツという選択肢があることを知ってもらえるよう、お手伝いができたらうれしいですね。“L1 RALLY in恵那2017”に来場する、ラリー観戦初心者の方にも、迫力あるラリーはもちろん、このモータースポーツからさまざまな人の生き方を感じ取っていただけると、より密度の濃い時間が過ごせると思います。
 

 
 

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