インタビュー・ひと

「こんなことしたらおもしろいかも!」を実現した人、また、東海エリアに新たな息を吹き込んだ立役者となる『仕掛け人』にインタビュー。仕掛け人の存在や想いを知ることで、イベントや場所がよりイキイキと目に映るはず!


 

愛知県出身のITOKiN(イトキン)は、さまざまな国や地域のイベントに参加してライブペイントを行うアーティスト。最近は子どもたちを巻き込みながら1枚の大きな布に絵を描き、ひとつの作品を仕上げる「MAKE Smile Project」に取り組んでいます。
7年前まで、ITOKiN はグラフィックデザイナーとして広告制作会社に所属し、ポスターなど多くの広告制作を手掛けてきました。その後、デザイナーからアーティストに転身し、世界約50カ国を旅しながら絵を描き続けてきたITOKiN。しかも、利き手と反対の左手で、赤・青・黄の3色のみを使うという不思議なルール… よくよく聞くと、プロジェクトや独自ルールには、ある強い想いが込められていました。
 


 

― ITOKiN(イトキン)さん、こんにちは!トレードマークの笠帽子をかぶって、3色のアイテムを身に付けていると、遠くからでも誰だかすぐわかりますね!

 

ITOKiN:僕は長いこと海外を旅していたんだけど、この帽子をかぶることで毎日人が寄ってきてくれて友達が増えていったんだよね。これはもう、アウトドアツールじゃなくて、友達ができるツールだと思ってるよ!
 


 


 

― 各地でたくさんの友達をつくりながら、ライブペイントを行っているITOKiNさんですが、そもそも、なぜ利き手と反対の手で、しかも3色限定で描くことを始めたのでしょう?

 

ITOKiN:あるとき、ライブペイントをやっているカフェに行ったんです。僕はそのときデザイナーで、絵を描くことも好きだったから「僕も描けるぜ!」って言ったんです。そしたら、絵を描いている人に「ライブペイントやってみない?」って、誘われて。「30分あげるから、この余っている壁一面になにか描いてみなよ!」って。突然すぎたけど、なにか僕の気持ちを掻き立てるものがあったので、イラストが得意な友人を即座に呼び出して、2人で描き始めました。でも、2人とも上手いと、見ている人たちはおもしろくないと思って、僕が左手で、へたくそに描くようにしたんです。そしたら、対比がおもしろいでしょ?さらに、もっと特徴を分かりやすく出したいなと、赤・青・黄の3色だけで描きました。赤がイラストが得意な友人、青が左手でへたくそに描く僕、そして、黄色でつけたしていく。この3色は子どもの頃にあこがれていたヒーローも連想されるし、好きな色なんです。そんな感じで30分間の濃い時間を過ごしました。
 


↑ アメリカでの個展の様子
 

― はじめてのライブペイント、描き終えてみて、どうでしたか?

 

ITOKiN:線が細いし、弱い感じ。あまり納得はできませんでした。だから一念発起して、それから毎日、ポストカードサイズの白い紙に絵を描き続けました。場所を選ばず、電車の中でつり革につかまっている時も左手で書き続けて、1カ月で300枚。その300枚のへたくそな絵を手にカフェで展示会を開催して、壁一面に貼ってみたんです。
 


↑ 左手で描き続けてきたITOKiN
 

ITOKiN:さらにカフェに来たお客様にも即興で絵を描いてもらって貼ったりも。そのとき、やりながら分かったんですが、へたくそな絵があることで、みんな参加しやすいんですよ。絵を描くというと、構えてしまうんだけど、へたくそな絵が並んでいたら「おもしろい!」という気持ちが勝つ。で、やってみようと思える。だから、僕ってもしかして、みんなの挑戦のハードルを下げることができてるんじゃないかな!?って思えたんです。
 


 

― なるほど!絵を描くITOKiNから、なにかを始めるハードルを下げる人・ITOKiNになったわけですね。今、子どもたちとやっているライブペイント「MAKE Smile Project」にも、その考え方が反映されているんですね。

 

ITOKiN:「MAKE Smile Project」は、僕が世界を旅している時、出会った人たちの似顔絵を描いて人を笑顔にし、友達を増やしていったことが始まり。今年の6月1日~3日に豊田市で行われた「橋の下世界音楽祭 SOUL BEAT ASIA 2018」では、ブースに白くて大きな布を用意して、来場者にその日の思い出を描いていってもらいました。みんなの笑顔がうれしかったです。みんなが絵を描くハードルを下げて、夢中になる人を増やすって、気持ちいいですよ。
このプロジェクト、大人もターゲットなんだけど、大人って、白い空間に何か描いて、っていうと、すでにあるキャラクターをまねして描くことが多い。子どもたちの方が、本能的に絵を楽しんでいるし、こういう環境があることで、きっとおもしろい人は育つと思う。最近はなるべく子どもたちと絵を描いてみて、次のテーマを模索しているところです。
 

 

― 「1221」(1人は2人のために、2人は1つの未来へ)というコンセプトも掲げていますよね。「1人はみんなのために、みんなは1人のために」なら、聞いたことがありますが…

 

ITOKiN:ライブペイントって、周囲のいろんな影響を受けて完成するものだと思うから、僕ひとりの「らしさ」が際立っていてもしょうがないんですよ。だから、1221の考え方が大切。みんなで1つの絵を描いて、1つの未来を描いていくんです。
 

― それって、ふだんの社会生活の中でも生かせる考え方ですね。人間関係が希薄になりがちな世の中で、みんなで一生懸命なにかひとつの答えを探す行為をしなくなっている。

 

ITOKiN:僕、みんなで夢中になって今を楽しむことのほうが、ひとりで夢を持つことよりずっと大切だと思っているんですよ。「夢を持ちなさい」って子どもに言うのって、実はすごく無責任。夢を見て、それをつかむために孤軍奮闘するんじゃなくて、できるだけ多くの人と関わり、影響を受けながら、ずっと夢の中にいる方が大切。無理にビジョンを描かずに、みんなで楽しむことを大切にするって、人生を輝かせる裏技だと思いますよ!
 

 
 

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