旺盛な好奇心と柔軟な発想、豊かな表現力で“奇想の絵師”として人気の浮世絵師・歌川国芳(うたがわくによし)。国芳の奇想を受け継ぎながら、さらに和洋の融合を試み、“最後の浮世絵師”と称される弟子の月岡芳年(つきおかよしとし)。
幕末明治に活躍した国芳や芳年、国芳のそのほかの弟子たちが、新たな潮流を生み出すためどんな挑戦をしていったのか。浮世絵150点からその足跡をたどる特別展「挑む浮世絵 国芳から芳年へ」が、名古屋市博物館で2月23日(土)~4月7日(日)に開催されます。
国芳の出世作であり、その後も得意としたのが歴史上や物語に登場するヒーローの勇ましい姿を描いた「武者絵」。みなぎる緊張感、画面からあふれんばかりの迫力が見どころ。その迫力は、独自の巧みな画面構成によって生み出されています。
ヒーローの勇ましさを強調するための、怪奇
作品のドラマ性を高めるため、また“怖いものみたさ”という心理を絶妙にくすぐるのが「血みどろ絵」。作品「相馬の古内裏」は、原作では無数の骸骨が登場する場面ですが、国芳は巨大な骸骨を写実的に描くことで怪奇性を演出しています。
落合芳幾と月岡芳年が手がけた「英名二十八衆句」は全点を一挙公開。血がほとばしる残虐な描写の数々に引き込まれますが…、体調を整えて観覧を!
「しぐさ」や「気持ち」をまとう、美人画
「美人画」では、描き手の個性があふれている点に注目。国芳が描く美人画は現実味にあふれ、はつらつとした明るさを放ちます。一方で芳年の描く美人画は妖艶な雰囲気。いずれも「しぐさ」や「気持ち」をまとい、今にも動き出しそうなほどしなやかです。
さらに、戯画(滑稽な絵)においては、国芳のバリエーションの豊富さとアイデアの奇抜さは他者の追随を許しません。武者絵と並び、浮世絵界に革命を起こしたといってもいいほど。ユーモラスな中にも、幕政を風刺しているとしてさまざまな憶測が飛び交い、評判になったものも数多くあります。
↑芝居の場面を演じる猫の顔は役者の似顔絵。
↑役者の似顔絵になっているが、実は十三代将軍家定を風刺したものと評判に
浮世絵をとおして、その時代の潮流を感じたり、芸術家たちの新たな挑戦にワクワクする本展。まずは好奇心の赴くままに、そして気になった作品の背景に少し目を向けてみたり。いろんな角度から浮世絵の魅力が楽しめます。
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