夏にピッタリ!清々しい余韻に浸れるおすすめの青春小説』5冊
夏にピッタリ!清々しい余韻に浸れるおすすめの青春小説』5冊

書店員の愛書バトン。vol.25『夏にピッタリ!清々しい余韻に浸れるおすすめの青春小説』5冊

夏にピッタリ!清々しい余韻に浸れるおすすめの青春小説』5冊

学生時代を振り返ってみると、夏休みは一年でもっとも楽しみかつ特別な長期休暇だったのではないでしょうか。さらに、夏はプールや海水浴などの水遊び、夏祭りなど、“the 青春”というイベントも多い季節でもあります。

今回は、そんな青春のシーズン・夏にピッタリの清々しい余韻に浸れる青春小説を紹介します。選んでいただいたのは、美しい伊勢湾を望む海のまち・三重県津市にある「ブックハウスひびうた」の管理者村田奈穂さんです。

もくじ

『りんどう珈琲』

著:古川 誠(クルミド出版)

『りんどう珈琲』著:古川 誠(クルミド出版)

千葉県の海の見える丘の上にたたずむ喫茶店、りんどう珈琲。音楽を愛する物静かなマスターと、高校生のアルバイト・柊のもとには、さまざまな物語、つまり事情やバックグラウンドを抱えたお客さんが訪れます。

悲しい思い出を胸に異国で働く人、夢に区切りをつけようか迷っている人……。いろいろな人の話を聞き、その人生に触れることにより、柊は少しずつ「自分なりの考え」というものを形づくっていきます。

高校生といえば、子どもから大人への過渡期の多感な時期。これから大人への道をまっすぐに歩んでいこうとする少女の姿が眩しい一冊。飾っておきたくなるような装丁にも注目です。

『歩道橋の魔術師』

著:呉 明益(河出書房新社)

『歩道橋の魔術師』 著:呉 明益(河出書房新社)

国際ブッカー賞候補にも選ばれたことがある台湾の作家、呉明益さんによる作品。短編集のため、台湾文学を読んだことのない人にも挑戦しやすいと思います。

今はその役割を終えた台湾の公設市場「中華商場」。1980年代、そこで暮らしていた少年少女の思い出の中には、いつも歩道橋でマジックを披露する魔術師の姿がありました。

魔術師を通じてゆるやかにつながっていく人々の記憶には、どこか喪失と痛みの気配が漂っています。しかし大人、つまり、かつての子どもたちの心には、誰もが助け合いながら生きていた、在りし日のイキイキとした中華商場の姿が鮮やかに生き続けていることも感じられる一冊です。

『ミゲル・ストリート』

著:V.S.ナイポール(岩波文庫)

『ミゲル・ストリート』 著:V.S.ナイポール(岩波文庫)

少年の「僕」が暮らす横丁、ミゲル・ストリートは、いつも風変わりな大人と奇妙な出来事でいっぱい。

「名前のないモノ」を作り続けている大工、自称救世主の男、子どもたちの憧れ・ゴミ収集車運転手。喧嘩やゴタゴタは尽きないけれど、それでもみんな支え合って生きている。

中米トリニダード・ドバゴに実在する下町の通りを舞台に、情けなくも愛おしい人びとが繰り広げる群像劇。少年から大人になっていく「僕」の目を通して描かれる故郷の姿は、苦笑いと眩しさとなつかしさで溢れています。

『結婚式のメンバー』

著:カーソン マッカラーズ 翻訳:村上春樹(新潮文庫)

『結婚式のメンバー』 著:カーソン マッカラーズ 翻訳:村上春樹(新潮文庫)

「緑色の夏」の終わり、フランキーは町を出ることに決めた――。

南部の田舎町で代り映えのしない毎日を送る12歳の少女が、兄の結婚式を機にこれまでの人生を変えようと試行錯誤する物語。舞台は1940年代のアメリカですが、「どこのメンバーにもなれない」という孤独感は、現代の日本に生きる私たちも、ひしひしと感じていることかも知れません。

おしゃれのつもりで変なドレスを選んじゃったり、自分の名前を勝手に変えてみたりと、フランキーの行動は思春期を潜り抜けてきた大人としては自らを振り返って苦笑せずにはいられません。右往左往しながらも、本当の自分になるために疾走するフランキーに青春の輝きを感じる一冊です。

『はてしない物語』

著:ミヒャエル・エンデ 翻訳:上田 真而子、佐藤 真理子(岩波書店)

『はてしない物語』 著:ミヒャエル・エンデ 翻訳:上田 真而子、佐藤 真理子(岩波書店)

映画化作品も大ヒットした有名な児童文学ですが、「映画を見た」という人も、ぜひ文字で読んでみることをおすすめします!

いじめられっこの少年・バスティアンが古本屋で見つけた、赤銅色の表紙の本。読み進めるうちに、彼は「ファンタージエン国」の滅亡を救う冒険に巻き込まれていく。一度読み始めたら途中でやめられない、ドキドキハラハラの連続。物語に没頭することの醍醐味を教えてくれる一冊です。

虚無とのたたかい、自分自身とのたたかいを経て、大きく成長するバスティアンの姿は、すべての少年少女“だった”大人に、今も勇気を与えてくれることでしょう。

ブックハウス ひびうた
住所三重県津市久居幸町1116 コミュニティハウスひびうた 2F
営業時間10:00~17:00
定休日土・日曜 ※祝日は営業
アクセス近鉄「久居駅」より徒歩10分
駐車場建物横に17台分あり

ブックハウスひびうた公式サイト

ブックハウスひびうたは、2015年に始まった合同会社おうばいとうりの“居場所づくり”の活動の一環で2021年に三重県津市に生まれた書店。ステイする場所という意味の居場所だけでなく、活かすことができる“活場所”、生きる希望を感じることができる“生場所”など、さまざまな「いばしょ」をつくっています。「小さな声が聞こえる本屋」をコンセプトに、ほかの書店ではなかなか出会えない個性的な出版物を取り扱っています。

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