春に読みたいおすすめの３冊：岐阜県各務原市「カクカクブックス」

岐阜県各務原市、JR「那加」駅から徒歩10分の距離にある書店「カクカクブックス」。2022年秋にオープンした、本との新しい出会いをつくる仕掛けがいっぱいのセレクトブックストアです。店長の尾関幸治さんに、この春読みたいおすすめの3冊を教えていただきました。

春に読みたいおすすめの３冊

『雑草はすごいっ！』（PHP研究所）　著：稲垣栄洋、小島よしお

お笑い芸人・小島よしおさんの芸能界での生き残り戦略を見て、雑草との共通点を見出した植物学者の著者・稲垣栄洋さん。人生の戦略に活かせる雑草の生き方を、小島さんの人生のエピソードを通して学べる本です。

「現状は受け入れても、やりたいことは諦めない」「強者がいない場所を探す」「不向きとわかったらさっさと撤退する」「続けなければ、チャンスはやってこない」「自分の弱点を環境や他者で補う」など雑草イズムな教訓は自分らしく生きるヒントになるはず。環境を受け入れ、自分を変えていく。玄関先の雑草は、実は踏まれることで強くなっていくのですね。

『私の生活改善運動THIS IS MY LIFE』（三輪舎）　著：安達茉莉子

身の回りにある物から住居、仕事、人間関係まで、さまざまな水準で自分にとっての幸せが何なのかを探り、幸せに生活していくための具体的な行動（＝改善運動）をとっていく。手づくりのZINEとしては異例のシリーズ累計5000部を記録した人気エッセイです。

自分の手の届く範囲の物ごとを、日々少しずつ改善していくことで、気分がスッと明るくなるはず。新生活を迎える春に読んでみたい一冊です。新しいことを始める節目節目に手に取るのもおすすめです。

『転職ばっかりうまくなる』（百万年書房）　著：ひらいめぐみ

20代で転職を６回経験した著者のひらいめぐみさんが自身の経験談をつづった人気エッセイ。サクッと読める文章量ながらも考えさせられる内容で、働くすべての人におすすめです。

著者は「キャリアが積み上がらなくても、収入が減っても、辞めたくなったら辞める」スタンスで、営業、Webマーケティング、書店スタッフ…とさまざまな職種を経験。それには、仕事ではなく「極めるべきは自分自身」で「少しでも違和感を感じたら、距離を取っていく」という考えが背景にあります。著者の考えに触れると、転職へのイメージが変わるはず。

旅立ちという点で、転職は春に似ています。転職を繰り返す人は人生における春を何度も経験しているのかもしれません。「一身上の都合につき」という冬の定型文を乗り越えるたびに新たな旅立ちを迎えるのでしょう。働くとは何か考えさせられる一冊です。

本と人をつなげる仕掛けが詰まった書店

もともとは、尾関さんの祖父が八百屋を営んでいた建物でしたが、孫の幸治さんがこちらを受け継ぎ、改修してオープンしたというカクカクブックス。店内に足を踏み入れると、ナチュラルで温かみのある空間に店主こだわりの本が並びます。

大型書店では流通していない個人作家よる本も陳列しています。

目に留まるのは、付箋がいっぱいついた本！　尾関さんが読んで気になった箇所に付箋を付けているそうで、付箋の貼ってある本を購入することもできます。

また、ヴィレッジヴァンガードでも働いていたことのある尾関さんの書くポップは読み応えがあり、新たな本との出会いが楽しめそう。ポップ付きの本も購入できるそうです。

本棚の一画には、他の書店のセレクト本が並ぶシェア本棚も。選書には個性が出ますね。

併設の読書ルームでは、購入した本や持ち込んだ本を座ってゆったりと読むことができます。この読書ルームには看板猫・ちゃちゃが待機。人懐っこい性格には、思わずメロメロになっちゃいます！

読書スペースでは、イベントも開催。注目は「本をただ読むだけの会」。2時間ただ本を読んで、最後に感想をシェアするイベントです。なかなか本を読む時間が作れないという人におすすめ。イベントをきっかけに“読み友”もできそうですね。

ドリンクメニューとして「カクカクブレンドコーヒー（浅煎り・深煎り・デカフェ）」「本日のハーブティ」「はちみつゆず茶」があり、それぞれ400円。コーヒー片手にゆっくり読書を楽しんでみて。

（文：武富由夏）