鬼ごっこが身体を動かす楽しさを知るきっかけに!「鬼せんせ~」が描く夢【鬼活プロジェクト 中畑富行さん】インタビュー

 

三重県各地で鬼活プロジェクトなるものが巻き起こっています。仕掛けているのは、子どもたちにスポーツ鬼ごっこを教えている三重スポーツ鬼ごっこ愛好会。古くから伝わる遊び「鬼ごっこ」を通して、現代の子どもが運動に触れる機会を増やす活動をしています。
今回、三重スポーツ鬼ごっこ愛好会の代表を務め、自身も地域や学校で「鬼せんせ~」(鬼ごっこを教える先生)として教えている中畑富行さんにインタビュー。鬼活プロジェクトの理念や中畑さんが鬼ごっこで現代の子どもたちに伝えたいことなどを取材してきました。

 

 

もくじ

― まず、スポーツ鬼ごっことはどういったスポーツなのですか?

 

中畑:競技としてのスポーツ鬼ごっこは、7人対7人のプレイヤーで相手陣地にある宝を取り合う競技です。相手チームのプレイヤーに両手でタッチされたらアウト。自陣のスタートエリアから再スタートになります。私たちは7対7にこだわらず、10対10の試合や人数にハンデをつけて子どもチーム対大人チームでの対戦など、遊びとして楽しんでもらうために、様々な条件で試合を行なっています。人数が増えると混戦になりやすく、身体能力の高さだけでは勝てなくなってくるところがスポーツ鬼ごっこのおもしろいところです。

 

 

― 「スポーツ」とありますが遊びでもあるんですね。教えようと思ったきっかけは何かあるのですか?

 

中畑:私はもともと、ボランティアで子どもたちに陸上を教えていたのですが、足が上がらなかったりジャンプ力が低かったりと、身体の動かし方の基礎ができていない子がいることを知りました。そんなときスポーツ鬼ごっこに出合い、鬼ごっこが「走る」「切り返す」など基礎の動きが鍛えられることを知り、それなら私がその基礎を子どもたちに教える役割をしよう、と思ったんです。そこで三重スポーツ鬼ごっこ愛好会を立ち上げ、三重県内で土日にイベントを開催したり、オファーを受けて小学校の体育の授業で鬼ごっこを教えたりしています。

 

 

― 授業の中でも教えられているんですね!それだけ大切な「基礎」が鬼ごっこに含まれているんですか?

 

中畑:ケンケンやスキップなど、昔は遊びの中で当たり前にやっていたことができない子も増えてきているほど、子どもたちの外遊びが減ってきています。だから外で遊ぶきっかけとして「鬼ごっこをしましょう」と。鬼ごっこは、「走る」動きの他にも、相手のタッチを避けるために「切り返す」動きなどが必要な競技。繰り返し遊ぶことで、それらの動きも身についてきます。反復横跳びの回数などは、劇的に変わりますよ。また、スポーツ鬼ごっこには作戦もあるんです。最初はメンバーの身体能力によってチームに差が出ますが、作戦の大切さに気付いたチームが作戦を立てて身体能力の差を埋めて、意外な子が活躍して得点を挙げたりして盛り上がりますね

― 身体能力より作戦が重要になってくるんですか!

 

中畑:そうですね。劣勢のチームが「勝つためにどうしたらいいか」と作戦を考え試合の流れを変えることで、今度はさっき優勢だったチームが追い込まれて作戦の重要性に気付いて考え出す。遊びを通して考えることを学んでいくことにつながると思っています。作戦によっては、小学校1年生くらいの小さな女の子がスルスルと敵陣に入っていって上級生を相手に点数を取ったり、作戦をしっかり立てていない大人のチームが作戦を立てた子どものチームに押されたり。そういった番狂わせが起きやすい面も、スポーツ鬼ごっこの魅力だと思っています。

 

 

― スポーツが苦手な子どもでも、活躍できるのは楽しそうですね。

 

中畑:鬼ごっこに熱中することで、動くことに慣れ親しんでもらいたいですね。参加した後の子どもたちは、目の輝きが違うんです。これは親御さんが一番よく判ると思います。普段スポーツをしない子が、家に帰ってもキラキラした目で親と鬼ごっこ談義をしたり、鬼ごっこに熱中してくれる。前に小学校に教えに行ったときは、後からクラスのみんなにもらった手紙で「嫌いだった体育が好きになりました」と書いてあったことも。とても嬉しかったです。

 

 

― 今後、鬼活でやってみたいことや、目指すところはありますか?

 

中畑:今はまだ安全面などもあって難しいですが、学校の敷地内や街の公園全体を使った、立体的な動きや障害物を取り入れてプレーできるイベントを開催してみたいです。ゆくゆくは、熊野市にある「鬼ヶ城」で「鬼ヶ城の合戦」や、伊賀市で「忍者対鬼」なんて、その土地ならではのイベントも。さまざまな地域でその場所を生かした非日常的なフィールドを作って、子どもたちに楽しんでもらうことをしたいですね。鬼ごっこがきっかけで身体を動かす楽しさを知りスポーツを始めた子どもが、将来日の丸を背負って「子供の頃は何をしていましたか」というインタビューに「鬼ごっこです」と答えてくれるたら本望。

 

 

(文:西 等)
 

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