環境意識の高く社会活動が活発なドイツで生活をするなかで、自然とそれらに対する意識が高まっていったという箕浦希奈さん。竹製の歯ブラシを使っている際にふと、子どもの頃よく遊んでいた大府市の小学校裏の竹林を思い出し、一時帰国した際に立ち寄ってみると…あまりにも荒れていて驚いたといいます。ひょんな流れから始まった「美しい竹林をよみがえらせるプロジェクト」についてお話をお聞きしました。
箕浦希奈さん
フリーランスのデザイナーとしてドイツで活動。同世代の環境意識の高さに感化され、「自分のデザインの力を地域課題の解決に使いたい」という思いが強くなる。2021年夏に一時帰国し、10月のクラウドファウンディングを皮切りに「おおぶ竹林循環プロジェクト BUNKAI」をスタート。
箕浦希奈さん
フリーランスのデザイナーとしてドイツで活動。同世代の環境意識の高さに感化され、「自分のデザインの力を地域課題の解決に使いたい」という思いが強くなる。2021年夏に一時帰国し、10月のクラウドファウンディングを皮切りに「おおぶ竹林循環プロジェクト BUNKAI」をスタート。
箕浦さんが子どもの頃、ここはどんな竹林だったのですか?
箕浦さん(以下、敬称略):
地域の人たちが整備し、子どもたちは勝手に入って遊んでいました。起伏が激しいので走っているだけでも楽しかったんです、自然のアスレチックみたいな感じで。
それが一時帰国で見た際には…
箕浦:
荒れ放題で不法投棄もされているような状態でした。竹林は地盤を強くすると思っている人もいるかもしれませんが、竹の根は意外にも浅く、広い面を覆っているので、枯れた竹が重なり合う放置竹林は、大雨などによって大規模な崖崩れなどが引き起こされるなど、全国で問題になっています。
竹林整備というのは、枯れ竹の整備が大事なんですね。
箕浦:
そうですね、竹は分解するのにも時間がかかるので、放っておくと枯れ竹だらけになってしまいます。
本業はデザイナーだそうですね。
箕浦:
ドイツで生活するなかで、自分のデザインで社会貢献したいという気持ちが強まりました。サイトを立ち上げたりマルシェで竹を使った商品展開をする際にパッケージを作ったり、SNSで発信したりする際などにデザインも役立てています。
現在はどんなメンバーで活動しているんですか?
箕浦:
同級生や友人などを中心に、SNSで知り合った仲間で活動しています。ここの放置竹林がずっと気になっていた!という地域住民の方から、県外からも竹林整備のプロアマ問わず参加してくれています。下は2歳から上は80代まで年齢層は幅広いです。
2歳のお子さんから!
箕浦:
月に1度ほど土日も定例整備するようにして、休日の子どもたちも参加できるようにしています。竹林整備をひとつのきっかけとして、地域のコミュニティとしても機能するように工夫しています。
伐採した枯れ竹はどうしているんですか?
箕浦:
ポーラス竹炭という、いわゆる消し炭に加工して、大府市の有機栽培や無農薬栽培などの畑で土壌改良に使ってもらっています。消臭材や床下の調湿材としても有効利用できます。
廃竹も資源として生まれ変わるんですね!
半年以上、活動を続けてきた今のお気持ちは?
箕浦:
自分たちのプロジェクトを通して、ローカルで市民活動をしている魅力的な人たちとのつながりが増え、地元に対する思い入れが強くなりました。
周囲の変化はありましたか?
箕浦:
少しずつ活動が認められてきたと感じます。活動前に長年整備をやられている方や、もともとこの場所を整備していた方に相談したときは「(大変だから)やめておきなさい」と心配の意味で反対されていたのですが、半年でも継続してきたことで「よくやってるな」と手伝いに来てくれるようになりました。地元の方々も温かく見守ってくださり、講演する場所を設けていただいたりと応援していただいてます。
今後の展望は?
箕浦:
若い世代や地域の人たちに「地域の自然を地域で守ろう」という意識を持ってもらえるように活動を広めていきたいです。活動を通して市外でも興味を持ってくれる人は増えましたが、本当の意味で持続可能な整備活動を続けていくためには「自分ごと」として課題意識を持ってくれる地域の方々のご協力は必要不可欠です。
地域の現状に目を向ける。それこそが、環境問題や社会問題への第1歩なのかもしれません。
(文:大久保孝啓)
活動場所 | 愛知県大府市神田町3-135(神田小学校の裏山) |
活動日時 | 不定期(Instagramで発信) |