書店員の本棚

東海エリアの書店をリレー形式で巡り、書店員さんが愛読する本を綴ります。

 

 
名古屋パルコ東館4階にあるCarlova360 NAGOYA (カルロバ名古屋)は、本屋とカフェを併設したブックカフェ。充実した書籍と、こだわりのカフェメニューが揃い人気です。書店員の愛書バトン連載6回目の今回は、そんな名古屋の中心街に店舗を構えるCarlova360 NAGOYAの書店員さん5人がそれぞれセレクト。老若男女問わず幅広い人々が集まるショッピングセンターの書店とあって、皆さんの選書もバラエティー豊か!素敵な書籍を紹介してくれました。
 

『SLAM DUNK新装再編版 (全20巻)』
著:井上雄彦(集英社)

 
はじめてお小遣いを握り締めて、書店で購入したマンガが「スラムダンク」でした。ただのスポーツ漫画ではなく、それぞれ魅力的な登場人物のキャラクター。主人公だけではなく脇役へのクローズアップ。人生を象徴するような名言。大人になって読み返しても、いつも新たな発見があります。そして本書の魅力は何といっても圧倒的な画力!リアリティ溢れる絵でたちまち感情移入してしまいます。
 
私自身も本作に影響を受けてバスケットボールを始めました。高校生活を漫画に重ね合わせながら過ごし、成長して大人になった今また読み返して若き日を振り返る。安西先生の「あきらめたらそこで試合終了ですよ」。三井寿の「安西先生、バスケがしたいです…」という名言は、本作と共に私の心に一生残り続けています。
(Carlova360 NAGOYA 大森さん)
 

『蒼き狼』
著:井上靖(新潮文庫)

 
「上天より命(みこと)ありて生まれたる蒼き狼ありき。その妻なる惨白(なまじろ)き牝鹿ありき。大いなる湖を渡りて来たりぬ…」。世界史上、まれに見る大帝国を築いた、チンギス・ハーンの生涯を描いた作品です。
部族の首長の子として生まれながらも、自らの出自に疑念を持つ主人公。それを振り払うかのように侵略と略奪の限りを尽くしていきます。その勢いはやがてモンゴルを統一し、大帝国を築き上げるまでに。
 
この本を読むたびに、ただ日々を無為に過ごす自分の人生を省み、「主人公のように、強く、誇り高く、孤高でありたい」と願いますが…中々現実は厳しいです。
それでも、そんな私の心に響き続ける主人公の言葉があります。
「俺は狼になる。お前も狼になれ。」
(Carlova360 NAGOYA 稲垣さん)
 

『わかったさんのクッキ-』
著:寺村輝夫、イラスト:永井郁子(あかね書房)

 
この表紙を見るたび、夏休みの昼下がりに父と小さな妹と3人で自転車に乗り、毎週のように図書館に行ったことを思い出します。
主人公であるクリーニング屋の“わかったさん”は、小さなワゴンに乗って毎日配達に行きます。「気を付けて行けよ」「間違えて届けちゃだめよ」という両親の心配に対していつでも「わかった。わかった。」と空返事。そんなある日、配達の最中に不思議なことが起きます。
「いつものお客さんとそっくりなのに…?!」いつの間にか足を踏み入れたファンタジーの世界。そこで楽しいお菓子作りのレッスンが始まります。
 
わかったさんのシリーズは全10巻。作品に登場するお菓子のレシピは詳しく描かれているので、実際に作ることもできます。本を読む楽しさや、次はどうなるんだろうという読書のワクワクを教えてくれた思い出深い一冊です。
(Carlova360 NAGOYA 渡會さん)
 

『一歩ずつの山歩き入門』
著:四角友里(枻出版社)

 
「怖がりで高所恐怖症で体力に自信もない…」という著者が、10年かけて培った楽しい山歩きのノウハウがつまった一冊。憧れの山へ、一歩ずつ近づく計画を立てることから始まり、山ウェアのコーディネート、山道具の準備、疲れず笑顔で歩く工夫、最後は山小屋の案内まで描かれています。
 
上高地で思わぬ絶景を目にしたその日から、急にアウトドア派となった私。この本を隅から隅までしっかりチェックすることでずいぶんと山の事を知ることができました。著者と同じく“なよなよ”な私でも本書のおかげでたくさんの山を歩く事ができました。八ヶ岳や北アルプスなど、登った山から見た風景や山での体験は、かけがえのない素晴らしい思い出になっています。
これから山歩きを始めたい、と思うすべての人(特に女性)におすすめの一冊です。
(Carlova360 NAGOYA 生木さん)
 

『旅をする木』
著:星野道夫(文藝春秋)

 
書店員にならなければきっと出会わなかったであろう写真家・星野道夫さん。
私が彼を知ったのは、早逝から既に8年が経った頃(事故により96年急逝)。手に取った写真集のアラスカの大自然、シロクマ、オーロラ、ムースやヘラジカ、深い森を収めた美しい写真の数々に魅了されました。
さらに心を掴まれたのが写真と共に綴られたエッセイの数々。厳しい自然の中で何時間も被写体を待ち続けた筆者が紡ぎす言葉は淡々と静かで、大げさ・饒舌さとは無縁。思想や哲学を感じさせる雰囲気もありながら、自然で心地よいものばかりです。
 
文庫になったエッセイの中でも、特にこの「旅をする木」は常設している書店も多く、新たな読者を増やし続けているはずです。また、現在入手できる写真集は少ないのですが2020年10月に2タイトルの刊行が予定されています。写真とエッセイ、両方の魅力にぜひ触れてみてほしいです。
(Carlova360 NAGOYA 室石さん)
 
 

SHARE

  • Facebook
  • Twitter
pagetop