なんでもない日のごはんこそ記憶に残る。ふと食べたくなる家庭的な和食を伝える【白ごはん.com 冨田ただすけさん】インタビュー

 

和食を中心に約800ものレシピを掲載する人気サイト「白ごはん.com」。その運営を行なうのが、愛知県を拠点に活動する料理研究家の冨田ただすけさんです。食べ物の選択肢が増え、和食をつくる人が減っている昨今。素材の味を生かしたつくりやすいレシピを考案し、家庭的な和食のおいしさを伝えています。昔から食べられてきた和食ならではの、記憶に残る、食べてホッとするような味を残したいという冨田さんの思いと、11月24日に発売した初のオリジナル商品「だしブレンド」を取材してきました。

 

もくじ

―「白ごはん.com」はどのような経緯で始められたんですか?

 

冨田:「白ごはん.com」は、食品の商品開発の仕事をしていた2008年に立ち上げました。もともと家庭的な和食が好きで、子どもの頃は週末に兄と料理したり、家に遊びにきた友達にその時の得意料理だった豚キムチをつくったり。新卒で惣菜店を運営する会社で働いた後、大阪阿倍野辻調理専門学校へ。卒業後は日本料理店で修行しました。

 

日本料理店では寝る間もないほど働いていたので、サラリーマンになったら退社後に時間を持て余してしまって(笑)。そのときに立ち上げたのが「白ごはん.com」です。日本料理店では味つけの調味料を8:1:1だとか、一つのおたまで比率計算して計ったりするんですが、そんな和食の基本が家庭でも生かせると思ったんです。

 

↑和食レシピサイト「白ごはん.com(https://www.sirogohan.com/)」。作り方の写真枚数を多く載せ、料理初心者でもつくりやすいよう工夫されています。

 

―和食って小さい頃から身近ですが、改めてつくりかたを教わったことはないかもしれません。

 

冨田:「白ごはん.comを見てつくった料理が、我が家の味になりました」と言ってくれる人もいて。それはすごく嬉しいです。独立したのも、自分が好きな家庭的な和食を伝える人って意外といないな、と思ったから。最近は若い世代で和食をつくる人が減ってきましたが、和食という文化を残したいという気持ちもあります。

 

↑メインから副菜、作り置きおかず、おやつまで、普段のごはんに使えるレシピが満載!

 

―初のオリジナル商品「だしブレンド」は、中身からパッケージまでご自身で手がけられたんですね。どんな商品なんですか?

 

冨田:僕は普段昆布やかつおぶし、にぼしなどでだしをとるんですが、そういった時間がとれない方にも自分でとっただしと同じような味わいで手軽に使ってもらえるような商品をつくりたいと思ったんです。だしパックって、手軽においしい味に仕上がる反面、味を調えるためのアミノ酸やたん白加水分解物などが入っていたりするんですよね。そういったいわゆる一般的なだしパックじゃない選択肢があってもいいのかな、と。そんな想いで開発したのが「だしブレンド」です。原材料は、昆布と鰹節、あご(とびうお)、しいたけの4つだけ。シンプルにこだわった素材に、「だしがらもおいしく食べられる」という切り口をプラスしました。

 

↑パッケージの文字は冨田さんの手書き! だしをとる際は「だしこし袋」に入れて使います。

 

―「だしがらもおいしく食べられる」というのは新しい発想ですね!

 

冨田:料理教室やワークショップで参加者さんと話をすると「だしがらってどうしていますか?」と聞かれることが多くて。皆さん「だしがらがもったいないから佃煮やふりかけにするけれど、家族にあまり喜ばれないから結局捨ててしまう」と。たしかにそうだな、と思ったんです。「だしブレンド」は2年かけて試作していたんですが、その間にも昆布や鰹の価格が高騰したりして。そんな中、もったいないけど使う術がないから捨てるというサイクルはよくないな、と。

 

―そのために工夫されたことはあるんですか?

 

冨田:だしがらまでおいしく食べてもらうために、日本料理店などでしているように鰹節の血合いをすべてとって臭みがでないようにしました。だし汁もおいしくなるし、だしがらも食べやすくなるんです。だしこし袋は繰り返し使えて、小分けパックにコストがかからない分、素材の質にこだわりました。

 

 

―「だしブレンド」に向いているメニューはありますか?

 

冨田:僕はわりと何にでも使っていますよ。茶碗蒸しや鍋にもいいし、あごとしいたけを隠し味にしてコクを出しているので、お味噌汁や煮物に使ってもおいしいです。毎日食べても飽きなくて、どんな料理にも合うものを目指しました。また、「だしブレンド」をそのまま使うレシピもあります。例えば、炊飯器に「だしブレンド」をそのまま入れてつくる炊き込みごはんや、だしをとる手間を省いた玉子丼など。今後は「白ごはん.com」にも「だしブレンド」を使ったレシピを増やしていく予定です。

 

↑だしがらを使ったマヨトーストレシピも絶品!「白ごはん.com」に掲載。

 

―今後、どんなふうに活動を広げていきたいと考えていますか?

 

冨田:自分より上の世代の方だと「和食っておいしい、好き」という感覚があるけど、若い世代になると「和食っておいしいの?」とあまり普段から食べ慣れていない人もいると思うんです。そんな若い世代の方たちにも和食の魅力が伝えられるよう、動画コンテンツを増やしたり、手軽な和食レシピを紹介していきたいと思っています。実は今、新たにスタジオをつくる準備も進めていて。来年春頃にはスタジオをオープンして、ワークショップや料理教室を開催して「白ごはん.com」を見てくださっている方との接点を増やしていきたいと思っています。

 

↑多数の著書や雑誌の連載などでも活躍している冨田さん。自身ではんこをつくって著書やウェブサイトに使ったり、撮影やテーブルコーディネートも自身でこなすこともあるという多才ぶり!

 
 

New Report

2026-07-08

TOPICS

金魚が優美に泳ぐ芸術空間「アートアクアリウム展 名古屋2026」7/24(金)~9/23(水・祝)

金魚と光・音・香が織りなす芸術空間「アートアクアリウム展 名古屋2026」が2026年7月24日(金)~9月23日(水・祝)、名古屋・栄にある中日ビルで開催されます。 江戸時代から続く...
桜山風鈴まつり,風鈴,2026,ライトアップ,高山

2026-07-04

TOPICS

カラフルな風鈴が夏を演出「桜山風鈴まつり」7/18(土)~8/29(土)

約2,000個のカラフルな風鈴が彩る飛騨高山の夏の風物詩「桜山風鈴まつり」が2026年7月18日(土)~8月29日(土)、岐阜県高山市の櫻山八幡宮で開催されます。 絵馬殿に風鈴が飾られ...

2026-07-01

HIROBAくんと行く

湖池屋初、中部エリアの工場が岐阜県海津市に誕生!工場見学やマイポテチ作りを体験

ポテトチップスをはじめとするスナック菓子でおなじみの湖池屋。2025年12月には中部エリア初となる中部工場が岐阜県海津市に誕生しました。全国2カ所目となる「湖池屋GOGO!ファクトリー」も併...

2026-06-30

TOPICS

楽曲と紐解く流星群の世界「流れ星を探して feat. BUMP OF CHICKEN」7/3(金)~

名古屋市西区のイオンモールNagoya Noritake Gardenにあるコニカミノルタプラネタリウム楽天NAGOYAでは、2026年7月3日(金)~、BUMP OF CHICKENの楽曲...

2026-06-27

TOPICS

驚きと不思議に満ちた虫の世界「養老孟司と小檜山賢二の虫展」7/11(土)~9/23(水・祝)

解剖学者で大の虫好きとしても知られる養老孟司さん。そして、対象物の全てにピントがあう深度合成技法を駆使し、昆虫写真の新たな可能性を切り拓いた小檜山賢二さん。長年の虫友だちである養老さんと小檜...

2026-06-25

TOPICS

モダンで美しい色使いが魅力「スウェーデン・テキスタイル」7/11(土)~9/6(日)

カラフルで心躍るスウェーデンのテキスタイルにスポットをあてた、日本でも初めての展覧会「スウェーデン・テキスタイル  暮らしと自然に息づく北欧デザイン」が2026年7月11日(土)~9月6日(...

2026-06-20

HIROBAくんと行く

ぴよりんファンの夢が詰まったJR名古屋駅構内のカフェ「ぴよりんvillage」発売15周年の歩みにも迫る

JR名古屋駅構内を歩くと、至るところで見かける“あのスイーツ”といえば……今や名古屋を代表するスイーツと言っても過言ではない「ぴよりん」です。 ぴよりんの世界観を存分に体感できるカフェ...

2026-06-18

TOPICS

モダン・デザインの源流に迫る「アーツ・アンド・クラフツとデザイン│そして民藝」6/20(土)~8/30(日)

19世紀後半のイギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動は、産業革命以後の機会化された工場で作られる粗悪な量産品や商業主義を批判して、職人の手仕事による上質なものづくりを見直すとともに、生活と芸...

2026-06-17

シーズントリップ

【愛知・岐阜・三重の工場見学】大人も子どもも楽しく学び、人気商品のヒミツに迫る!

2026年7月から一般公開が開始される湖池屋をはじめ、ブラックサンダー、ヤクルト、キリンビールなど人気商品の製造シーンが見学できる愛知・岐阜・三重の工場見学スポットをまとめて紹介。 無...

2026-06-14

TOPICS

色と色が織りなす表現「JURI KATO exhibition “between color and color”」6/18(木)~29(月)

豊かな色彩表現を活かしたアート作品を制作する、名古屋在住の絵描き・加藤樹里さんによる個展「JURI KATO exhibition “between color and color”」が、2...

2026-06-09

東海ムーブメント仕掛け人

いきものクッキーアートで「可愛い」の先にある物語を届ける【kurimaro collection 杉浦芽愛さん】

三重県桑名市に本店を構える「kurimaro collection(クリマロコレクション)」は、ポップでありながら、細部までリアルに再現した生きものをモチーフとしたクッキーアートを手がける店...
pagetop
もくじ