自分らしく生きる道を教えてくれる、おすすめの本3冊:泊まれる本屋「庭文庫」(岐阜県恵那市)

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2017年に出張古本屋として岐阜県恵那市・中津川市を中心に活動を始め、2018年4月には築100年以上の古民家で実店舗「庭文庫」をオープンした百瀬さん夫婦。2023年3月には宿を開き、“泊まれる本屋”に!

木曽川沿いの道から、山道を少し上がった先にある庭文庫。軒先からは雄大な木曽川が見渡せ、古民家のどっしりと落ち着いた空間はずっとくつろいでいたくなる雰囲気に満ちています。今回は庭文庫オーナーの百瀬雄太さんに、「自分らしく生きる」手がかりとなるおすすめの本3冊を紹介していただきました。

もくじ

「自分らしく生きる」道を教えてくれる、おすすめの本3冊

『文化のなかの野性 芸術人類学講義』(現代新潮新社)著:中島智

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画家としての修行を積みながら次第に汎世界的に存在するシャーマニズムの世界へ導かれていった著者の中島智さんによる、名古屋芸術大学での講義を本にした1冊。アフリカ、スペイン、中国、沖縄、日本… フィールドワークに赴いたいくつかの国や地域、民俗との交わりの中に、アートとシャーマニズムに共通するものを見出していきます。

アートが好きな人だけでなく、アートに関心がない人にとっても、こんな世界があるんだとまざまざと実感させてくれる1冊です。

百瀬さん:この本を初めて読んだとき、「自分が自分でいていいんだ」と救われる思いがし、打ち震える感動のあまり涙を流しました。

『気流の鳴る音 交響するコミューン』(ちくま学芸文庫) 著:真木悠介

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ヤキ・インディアンの呪術師ドン・ファンに弟子入りして、その思想を分析しながら「日本人が忘れかけている生きる知恵がある」と考えた真木悠介さんが、「幸せとはなにか」「生きることとはなにか」綴った1冊。

ドン・ファンの「わしにとっては、心ある道を歩くことだけだ。どんな道にせよ、心のある道をな」「目的でも、結末を予期してでもなく、ただ、歩く。ただ、この生の、心ある道を歩むこと」という言葉が胸に迫ります。

百瀬さん:「なにかしなきゃ」「こういう在り方がいい」など常識で捉われがちな思いから解放され、「いかに自分らしく生きるか」生命が望むことを考えさせられます。

『宮沢賢治 存在の祭りの中へ』(岩波現代文庫) 著:見田宗介

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この世のありふれた日常の中にも、「新しさ」「不思議さ」を感受し続けた詩人の宮沢賢治さん。数々の作品から、その奇跡のような感性、在り方について説いた1冊。

私たち人類の眼は、心が忙しくなると、閉じてしまう。対象を、その名前でしか見れなくなってしまう。それを「表象」といい、情報社会においては必ずしもマイナスだけではないけれど、変わりゆく世界を、見知ったものにするのも勿体ない。

本がそうであるように、新たな世界を常に見ていきたい、そんな思いにさせてくれる1冊です。

百瀬さん:真新しい世界を生きられることが、うれしい、楽しい、喜ばしい。宮沢賢治の、見田さんの、そのまなざしを想いながら、私もこの庭(庭文庫)にいます。

「自分らしく生きたい」を体現した、泊まれる本屋

東京都生まれ、岐阜県恵那市育ち。東京でSEの仕事を経て、2015年に恵那市にUターンしたオーナーの百瀬雄太さん。そして、沖縄県生まれ、大阪府→東京都を経て、百瀬さんと結婚した実希さんがふたりでやれることを実現したのが、古本と新刊を扱う“泊まれる”本屋こと、「庭文庫」です。

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静かに流れる木曽川を眼下に望む、築100年以上の古民家を改装した店舗。山道を少し上がると趣ある建物が現れ、その佇まいから早くも胸がときめきます。

中に入ると…広々とした土間には、新入荷の書棚がお出迎え。

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靴を脱いで室内に上がると、広々とした畳の空間が広がります。

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座ってくつろげるような場所がたくさんあるので、好きな本を手にとり、思い思いにゆっくり過ごせるのが魅力。

珈琲を注文することもできます。

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置いてある本は、小説から哲学書、アート、詩、音楽、料理…など、さまざまな領域。「最初は自分が置きたい本が中心でしたが、お客さんの要望に合わせて領域を広げ、耕していっている感じです」と百瀬さんは話します。

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百瀬さん夫妻がそうであるように、いろんな概念に捉われず、自分らしくありのままでいられるーーそんな空気感に満ちている場所。のんびり過ごしていると、日常のいろんな雑音から解き放たれ、心がデトックスされるような思いです。

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本屋でありながら、泊まることもできる。そして、心に留まった作家さんの個展を行ったり、出版社「あさやけ出版」を立ち上げたり、どうしたら自分らしく生きられるか?宿泊者で希望した人には対話をおこなったりと、自然の流れのなかで1つずつやりたいことを実現している百瀬さん夫妻。「それでも、まだやりたいことの半分もできていない」と苦笑する実希さん。これからどんな新しさが加わっていくのか、楽しみです。

本好きな人はもちろん、普段そんなに本を読まない人でも、居心地よく過ごせる本屋。心を解きほぐしに訪れてみては。

庭文庫
住所岐阜県恵那市笠置町河合1462-3
営業時間10:00~17:00
定休日火~木曜
駐車場あり
アクセスJR「恵那」駅よりバスで13番中野方線に乗車して「笠置峡バス停」下車(降りる際に運転士から乗換券をもらう)、そこから14番飯地(いいじ)線もしくは「いいじ里山バス」に乗車し、「下河合バス」停で降りてすぐ
東名高速道路「恵那」ICより車で約12分(ナビでは「恵那市笠置町河合1470」で検索)

庭文庫 公式サイト

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