健康の基本である手洗い。毎日のことだからこそ、安心して使える肌に優しいせっけんが欲しい。そうした思いでお邪魔したのは、名古屋市昭和区にある「アロマと手作りせっけん教室Room Sealiah(ルームセアリア)」。趣味で楽しむだけでなく、ジュニアソープバーなどの資格取得を目指す講座も行っている本格的な教室です。
↑アロマなどのセラピストとして活躍されていたRoom Sealiah代表の飯田紋子さん。
今回は肌に優しい「コールドプロセス製法」のせっけん作りを教えてもらいました。
コールドプロセス製法とは?
↑飯田さん手作りのせっけん。
油脂と苛性ソーダを混ぜた材料に熱を加えず1ヶ月以上じっくり寝かせる製法。加熱してスピーディーに行う製法もありますが、熱は天然成分が壊れてしまう原因にも。コールドプロセス製法は天然の美肌成分がそのまませっけんに残り、またせっけん成分以外にグリセリンという保湿成分が作られることで、なめらかな泡で肌をしっとりと洗いあげることができるんです。
3ステップでできる!肌に優しい手作りせっけん
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Step 1. せっけん素地をつくる(1日目)
Step 2. 型に流し込む(1日目)
Step 3. できあがりを見守る(2・3日目~1ヶ月)
材料
●オリーブオイル 150g ●ココナッツ油 60g
●パーム油 40g ●精製水 85g
●苛性ソーダ 31g ●精油 2.5g
●500mlの飲料パック
●色を付けたい場合は染料
道具
●ボウル※ ●泡立て器※ ●スプーン※
●計量カップ ●キッチンスケール
●ガムテープ ●カッター
※苛性ソーダに触れるものは、ガラス製かステンレス製のものを使用。
★苛性ソーダは強アルカリの劇薬です。手袋・メガネを準備してください。
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Step 1. せっけん素地をつくる
今回はオリーブオイルをメインに。
凝固した油脂は湯せんで溶かしてからスタート。
[オリーブオイル]6:[ココナッツ油+パーム油]4の割合で混ぜあわせます。油脂が混ざったら精製水に溶かした苛性ソーダを加えていきますが、まずここで苛性ソーダを精製水に溶かす作業を。
【注意】苛性ソーダは強アルカリの劇薬なので、必ず手袋・メガネをして作業を!
↑苛性ソーダが水と反応し、70度近くまで温度が上昇!
水との化学反応で発生する蒸気にも注意が必要です。窓を開けて換気を万全にして作業してくださいね。万が一肌についたときにすぐ洗い流せるよう、洗面台などで水を流しながら作業するのがベストとのこと。
ブレンドした油脂と苛性ソーダ水を混ぜます。さらっとした液状からトロっとしたクリーム状に変わります。泡だて器で表面をなぞって線が付くようならOK。最後に天然成分100%の精油で香りづけして、せっけんのもととなる素地が完成です。
今回は見た目もこだわりたい!と、色もつけてみました。
色も天然にこだわって。鉱物の一種である雲母が原料の「マイカ」という染料を使います。今回は温かい気持ちになるピンクに、パープルをあわせます。
1色づつ紙コップに入れて混ぜます。
Step 2. 型に流し込む
せっけん型に使ったのは500mlの飲料パック。口の部分をガムテープでしっかりと閉め、側面にカッターで3辺の切込みを入れて扉を作ります。
こぼさないように慎重にせっけん素地を入れていきます。
色付けしたものと交互に入れることで模様になるそう。
表面にも色付けしたせっけん素地で模様を付けてみました。竹串に付けた色をチョンチョンと。
最後に扉を閉めてラップで巻きます。保温バッグに入れて1日目の作業は終了。
20~24度の場所に置いておきます。冬なら暖房の効いたリビングに置くといいですね。エアコンのオンオフで温度差があっても大丈夫とのことですが、極端に寒いと表面に白い膜ができたり、暑すぎると透明になってしまうことも。
Step 3. できあがりを見守る
24時間後にラップを外します。これをしないとせっけんから出る水分でふやけてしまうことがあるので忘れずに!
2日後に固まり具合をみて、固形になっているようなら包丁でカットします。カットするときは真ん中から。
次に右・左とカットすることで、均等に切れますよ。
あとはまた寝かせるだけ。カットしたせっけんをスノコの上に置いて、風通しをよくした状態で1ヶ月。出来上がりが楽しみです。
鹸化しきる前のせっけんで手を洗うと、肌にピリッと刺激を感じることも。
これは、まだ苛性ソーダ由来のアルカリ成分が強いため。時間はかかるけど、肌に良いせっけんになるまで気長に寝かせてあげてくださいね。
↑完成したせっけん。
「肌は内臓」とも言われ、実は腸よりも繊細。そして外界の刺激から私たちを守るバリアとしての大事な機能も担っています。
そんな大切な肌だからこそ、やさしい成分・製法のせっけんで洗ってあげたいですね。
(文:黒柳 愛香)