インタビュー・ひと

「こんなことしたらおもしろいかも!」を実現した人、また、東海エリアに新たな息を吹き込んだ立役者となる『仕掛け人』にインタビュー。仕掛け人の存在や想いを知ることで、イベントや場所がよりイキイキと目に映るはず!

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2016年10月1日(土)・2日(日)、愛知県半田市で開催される「知多半島映画祭」。全国から応募されたショートフィルムから厳選された作品を上映し、観客の投票で最優秀賞を決めるイベントです。映画祭がスタートした2011年以降、ゲストには女優の松岡茉優さんや映画『リンダリンダリンダ』の監督山下敦弘さんなどの著名人が来場。6回目を迎える2016年は、映画監督の落合賢さんがゲスト。ディーンフジオカさん主演の劇場未公開作品も上映予定です。『タイガーマスク』や『太秦ライムライト』などの作品をはじめ、国際映画祭で数々の賞を受賞し世界で活躍する落合さんは、2011年の知多半島映画祭グランプリ獲得者。そもそもなぜ知多半島で、映画祭を開催することに?――知多半島に「映画」という新たな文化を確立させつつある「知多半島映画祭」プロデューサー・鈴木啓介さんの熱い思いに迫ります。
 
 
―鈴木さんはこれまで映画とどのように関わり、映画祭を開催することに?
 
鈴木:もともと映画祭は、僕が映画が好きだから始めたんです。小さいころ、親に映画館によく連れて行ってもらっていたので映画が好きになりました。当時はスティーブン・スピルバーグやジョージ・ルーカスなど、監督が映画を引っ張っているのに憧れ、俳優よりも監督になりたいと思いました。その夢は大きくなっても変わらず、高校生のころは周りの友人に「僕は映画監督になる」って言ってましたよ。
 
―強い意思をお持ちだったんですね。高校卒業後は映画に携わる分野へ?
 
鈴木:当時の知多半島や名古屋には映像の学校はあまりなかったし、映画を作るという文化もなかったので、映画と関係のない大学へ進学しました。でも映画を作りたいという気持ちはずーっとあったので、映画をたくさん見たり、映画制作に関する本を読んで勉強したりしていました。就職先は映画への思いを持ちつつも、広告関係の仕事を選びました。今は出版社で働いています。
 
―出版社で仕事をしながら映画祭を開催するなんて、パワフルですね!何かきっかけがあったのですか
 
鈴木:今から8~9年前くらいに、名古屋駅近くにあるミニシアターの「シネマスコーレ」というところに通い詰めていたんです。そのうちに支配人と知り合いになり、彼が開催している映画を作るワークショップに参加しました。初めて短編映画の監督や脚本づくりを体験して、短編映画の面白さに気付きました。そして、短編映画を作っている人が全国にたくさんいることを知ったんです。同時に、映画を作っても発表する機会もないし他の人の作品を見ることもできないから、そういう場を作りたいと思ったのがきっかけ。支配人の協力を得て、シネマスコーレで短編映画のイベントを開催したところ、会場が満席になる100人くらい集まってくれて。それが知多半島映画祭の原型ですね。
 
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―映画祭を知多半島で開催しようと思ったのは?
 
鈴木:知多半島は僕が生まれ育ったまち。そして、自分が進学するときに映像や映画に関する選択肢がなかったことが大きいかな。今でも僕と同じように、映画関係のことを学びたい、そういう仕事に就きたいと思っている人は知多半島にもいると思う。そういう人たちのために、映画に携われるきっかけを作りたいと思ったからです。そして、次の世代を育てていくことで、この知多半島にも恩返しができるのかなと感じています。
 
―映画を通して地元へ恩返しをするなんて、素敵ですね。しかし、それまで前例がない知多半島映画祭を開催するには、1人の力では大変だったのでは…。周りに協力してくれるサポートメンバーはいたのですか?
 
鈴木:まず、高校の同級生に映画祭を開催したいと声を掛けました。そうしたらイベントを開催している友人が半田市の観光協会に掛け合ってくれたり、映画館の息子が古い機材を貸してくれたり、移動販売車で食品を販売していてイベント日に出店してくれたり。前職の印刷会社もチラシ関連業務をサポートしてくれましたので、本当に多くの同級生や知人が映画祭の立ち上げに協力してくれました。映画監督になっている同級生もいて驚きましたね。みんな利益関係なく、善意だけでサポートしてくれたのが嬉しかったです。
 
―開催にあたり、鈴木さん自身が苦労したことや大変だったことはありましたか?
 
鈴木:大変なことばかりでした(笑)。知多半島で映画祭なんて前例がないから、当然知名度もない状況。「主催の鈴木啓介って誰?市じゃなくて個人が主催するの?」という声や、「ショートフィルムって何?」という声が多かった。地域に密着している商店街や町内会のような組織ではないから、地元の方々は謎だらけだったでしょうね。それでもみんなの「謎」を取り除くために、チラシを配ったりフェイスブックやwebで情報を発信したりし続けました。映画祭の主催者として「知多半島を盛り上げたい」という僕の思いを新聞に取り上げてもらったことで、多くの人に映画祭の存在を知ってもらえたと思います。
 
―手探りの状態で0からのスタート。1回目の映画祭を開催してみて、手ごたえはどうでしたか?
 
鈴木:来場者は、500人が入る会場で250人くらい集まってくれました。2年目以降はありがたいことに集客も増えています。作品の応募数も、初年度は100作品くらいでしたが今年は140作品と過去最高の応募数です。映画祭に参加したのがきっかけで、スタッフになりたいと手を挙げてくれた人もいて、最初は4人だけだったスタッフが、今は12人に。英語が話せる人やwebに詳しい人がいるので、大変助かっています。年々お客様や応募作品が増え、規模が大きくなっていることが実感できて嬉しい気持ちです。
 

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月に1回のスタッフ会議。上映する映画の選定や、映画祭について細部まで詰めていきます。

 
 
―準備や運営など、大変なことも多いと思いますが、それ以上に映画祭をやっていてよかったと思うときはどんなときですか?
 
鈴木:お客様から「これからもイベントを続けてほしい」という声をいただくことや、上映した映画の監督がその後有名になり活躍している姿を見ると、やっていてよかったなと思います。今年のゲストの落合監督も、第1回目のグランプリを獲った方ですが、活躍している今も映画祭に協力してくれることはありがたいですね。
 
―年々知名度が上がり来場者数も増えている映画祭ですが、今後はどのようにしていきたいですか?
 
鈴木:実は、知多半島映画祭は僕の構想の一部なんです。もっと先の話をすると、知多半島にフィルムコミッションを設立したい。フィルムコミッションというのは、映画やドラマなどのロケーション撮影を支援する組織で、知多半島に映画やドラマを誘致したいと考えています。映画祭を続けながらフィルムコミッションを設立すれば、映画撮影を知多半島に誘致して、撮影された映画を映画祭で上映する、さらに撮影時には地元の人がエキストラで参加したり、映画がきっかけで観光客が増えたり…と地域全体が盛り上がっていくと思う。
 

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知多半島映画祭の会場となる「アイプラザ半田」と、のぼり旗。

 
 
―鈴木さんが情熱を注ぎ続けられる源は何でしょう?
 
鈴木:夢は叶うと信じることです。僕は夢を持ち続けることが大切だと思っています。たまたま僕は映画が好きでここまできたけど、音楽でも演劇でも、好きなことを続けることで自分自身の存在意義って出てくると思います。
 
―最後に、今年の知多半島映画祭の見どころを教えてください。
 
鈴木:知多半島映画祭は、毎年ゲストを招待していて、そのゲストにも注目してほしいですね。10月1日(土)には日産のCMソングにも選ばれたことのある、半田市出身の歌手KEIKO LEEさんの生歌が聞けるライブを開催。10月2日(日)には映画監督の落合賢さんが来場し、ディーンフジオカさん主演の劇場未公開作品を上映します。また、知多半島映画祭は映画を観るだけではなく、お客様にも参加してもらえるイベントにしたいと思っています。ゲストや監督に質問したり、気に入った短編映画に投票するという参加型の映画祭は結構珍しいと思います!
 
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先日、鈴木さんら知多半島映画祭メンバーが主催した、映像作りに触れられる若者向けのワークショップ。「5分でとと姉ちゃん」「とと姉ちゃん一週間」の映像ディレクターによる講義と撮影指導が行われていた。真剣に話を聞く参加者の中には、県外からやって来た人も。

 
 
 

 
 

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