インタビュー・モノ

今、新たな鼓動をもって展開している「東海のものづくり」にスポットを当てて、作り手の想いやこだわりに迫ります。ものづくりの宝庫ともいえる、東海エリア。有名どころから知られざる逸品まで、掘り起こします。

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淡くやさしい色合いのティーポット&プレート。常滑焼に新風!?

 
ピンク、ブルー、グリーン、イエローなど、マカロンを彷彿とさせるような淡くやさしい色合い。肌にしっとり馴染むような、マットで心地よい手触り。「これほどスイートな雰囲気の陶器があったのか!」「見ているだけでワクワクする」。私、編集長広瀬良子が「TOKONAME」を初めて見たときの印象です。瀬戸・越前・信楽・丹波・備前と並び、日本六古窯のひとつである常滑焼。朱泥土でつくられた茶器を中心に、900年以上もの歴史ある焼き物産地です。その歴史に新たな風を吹かせるように登場したのが、2014年5月から販売をスタートした「TOKONAME」。手がけたのは、山源陶苑。器づくりに励む一方、東京で食器の卸問屋で働いた経験をもとに、“売り方もブランディングする”ということにも尽力している鯉江優次さんをはじめとする、「TOKONAME」プロジェクトチームによるものです。
 

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朗らかな笑顔で取材に対応してくれた鯉江さん。プロジェクトメンバーの1人は、友人の結婚式で見たサプライズ映像に感動し、その映像の作り手に声をかけたのがきっかけだとか。

 
 
まっさらな状態から、常滑焼を見つめ直す作業から
 
プロジェクトチームが立ち上がったのが、「TOKONAME」販売の約半年前。鯉江さん以外に集まったのは、プロダクトデザイナー、グラフィックデザイナー、映像&音楽クリエイター、フォトグラファー、フォントデザイナー&ウェブデザイナーの計6人。鯉江さん以外は、常滑にまったく縁のない面々。あえて先入観のない、まっさらな状態で常滑に来てもらい、客観的に「常滑焼」を見つめ直す作業を何度も行なったといいます。その作業から出てきたキーワードを精査していき、形にしていったのが「TOKONAME」。その中で、鯉江さんたちがこだわり続けたことが2つ。まったく新しいことにチャレンジするのではなく、“常滑焼の歴史を大切にしながら、伝統を更新する”こと、そして、“作ることと伝えることを同じ価値で捉える”ということです。
 

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「TOKONAME」シリーズは、3種のティーポット、3種のカップ、茶菓子用のプレートがあります。色は全6色。

 
 
まったく新しいものではなく、「伝統を更新する」ということ
 
「TOKONAMEの素材や質感について、“新しい”とよく言ってもらえるんですが、実は昔からあったものを生かし、表現の仕方を変えただけ」。何をつくるか?については、「常滑焼といえば、茶器。でもあえて茶器ではなく、ティーポットにしようと最初から決めていて――。“濃くて渋い”イメージの従来の常滑焼に対し、TOKONAMEでは“明るくて淡い”を目指したかったんです」と語る鯉江さん。表現の仕方は変えても、“お茶を淹れるもの”という大枠からは外れない。そして、機能性にこだわった常滑の急須づくりにおける高い技術力を継承しているのはもちろん、「TOKONAME」最大の特長である素材の白泥土についても、常滑に昔からあった素材だという。
 

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機能性を追求した形は、従来の常滑焼の茶器づくりの技術が生かされています。「常滑の急須づくりは世界に誇れる技術です!」(鯉江さん)。

 
 
常滑焼では今まで見向きもされなかった「白泥土」に着目
 
「白泥土はとても魅力的な素材。絶対にいいモノがつくれるという自信があった」という鯉江さん。なぜ今まで常滑焼に使われていなかったかというと、常滑=朱色、黒という固定概念が産地で強く根ざしていたため、「白いものは売れない」と問屋に扱ってもらえず、販売ルートに乗せることができなかったため。常滑焼に限らず伝統産業は“問屋を介して商品を販売する”のが常。問屋に扱ってもらえなければ、売る術がない。そこで鯉江さんは、産地ではタブーとされてきた「作り手が販売する」というチャレンジに踏み切りました。
 

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販売拠点として2015年4月にオープンしたのがTOKONAME STORE(愛知県常滑市原松町6-70-2)。倉庫を改装した開放的なスペースに「TOKONAME」シリーズほか、自社商品の器を販売しています

 
 
「自分としては、この試みも伝統を更新する手段のひとつとして迷いはなかったのですが、父は地元の問屋に律儀に頭を下げてまわってくれていました。感謝ですね。オープンして間もなく、60代や70代の常滑の急須職人が立ち寄ってくれたり、または弟子に『山源陶苑は問屋を通さず自分たちで売っている方法をとっているから、ヒントになることがあるはず。一度話を聞いてみるといい』とTOKONAME STOREについて話している、と人づてで耳にしたときは、自分のチャレンジを常滑で受け入れてくれる人がいる、地場産業に少しでも貢献することができたのかなと、うれしく思いましたね」。
 
ちなみに、TOKONAME STOREについて、「こどもが中で走りまわっても構いません。もし器が落ちて割れてしまうことがあっても“割れる”ということを肌で感じ、次から気をつければいい。割った経験から、考えることがあると思うので」。自身も3児の父である鯉江さん。大らかなスタンスも魅力です!
 

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TOKONAME STORE内には、器の販売スペース、陶芸体験スペース、カフェの3つの小屋があります。カフェでは「TOKONAME」のカップで珈琲がいただけますよ!

 
 
さて、白泥土を使い、どのようにしてパステルカラーの「TOKONAME」が生み出されていったのか。誕生までのストーリーは後編で紹介します!
 
後編はこちら
 
●「TOKONAME」は下記で販売されています。

・TOKONAME STORE(愛知県常滑市原松町6-70-2)
・TOKONAME ONLINE SHOP(https://tokoname.stores.jp/#!/)
 
 

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