インタビュー・ひと

「こんなことしたらおもしろいかも!」を実現した人、また、東海エリアに新たな息を吹き込んだ立役者となる『仕掛け人』にインタビュー。仕掛け人の存在や想いを知ることで、イベントや場所がよりイキイキと目に映るはず!

文=塚本千晃
 
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名古屋市内で1年に3~4回ほど開催される「ポートランドリビング」。野菜や果物、珈琲など、生産者自らがこだわりの詰まったものを販売するマーケットです。ポートランドとは、アメリカの北西部、オレゴン州にある都市。サードウェーブコーヒーの発祥地でもあり、独自のカルチャーやライフスタイルから、アメリカで「最も住んでみたい街」「最も環境に優しい都市」として近年注目を集めています。2013年に名古屋テレビ塔下の公園からスタートした「ポートランドリビング」。立ち上げ人は、東海エリアで人気のラジオ局でミュージックナビゲーターを務める、小林拓一郎さん。なぜマーケットを立ち上げようと思ったのか?なぜポートランドなのか?小林さんの思いに迫りました。
 
 
 
― 「ポートランドリビング」とは、どんなイベントなんですか?
 
小林:野菜やお菓子、珈琲など、地元でつくられたものや生産者の思いが詰まったものを生産者自らがお客さんとコミュニケーションを取りながら販売したり、陶芸家やミュージシャンが彼らの作品やパフォーマンスを表現したりする場。ポートランドでは、「ファーマーズマーケット」が一年を通して開催されますが、そこでは地元で育てられた野菜や果物、手づくりのお菓子など、季節の食材やここにしかないローカルフードを求めて遠方からも多くの人が足を運びます。名古屋でもそうした場をつくりたいなと考えたのが「ポートランドリビング」です。

 
 

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生産者さんとお客さん、また生産者さん同士で会話が弾み賑やかな場内

 
 
― ポートランドの物を売るのではなく、ポートランドのライフスタイルを取り入れて人とのふれあいやローカリティを大切にしているんですね! ところで、どうしてポートランドなんですか?
 
小林:僕が大学時代、ポートランドがあるオレゴン州に留学していたんです。買い物をするときはよくポートランドに行っていたので、なじみのある街でした。街全体がリラックスした雰囲気で、みんなゆったりと過ごしていたのを覚えています。そして僕がお世話になったホストファミリーは散歩の時間を大切にしていたり、家をDIYしたりピザ釜を手づくりしたり。自然と共生しながら地元の物や日常の生活を大切にしている人が多かったですね。今でいうスローライフに近い暮らし。そうしたポートランドの人々のライフスタイルやオレゴンの空気に魅了され、今でも毎年数回はポートランドに“里帰り”しています。そんな大好きなポートランドのライフスタイルを名古屋で再現するために「ポートランドリビング」を考えました。

 
― ポートランドは今や「全米で最も住んでみたい街」にも選ばれるほど人気ですね。
 
小林:ポートランドが人気なのは、都市的な要素と自然がバランスよく共存しているという部分が大きいと思うけど、「アメリカの中でも変わった人たちが集まることで生まれるユニークさ」というのも大きな魅力だと思っています。ポートランド市民は風変わりな気質で知られていて、「Keep Portland Weird(ずっとヘンテコなままでいようよ)」という標語を自分たちでつくるほど。そうした人々が集まってつくる文化や暮らしが、ポートランドの魅力をつくっているのだと思います。「ポートランドリビング」も、その流れを受け継いでいて、大好きなことをとことん追求している人たちが、大好きなことをもっと大好きになれる場所を目指しています。ここに来れば東海エリアのヘンテコな人たちに出会える面白い場所です。
 
― ポートランドに住んでいる人も大きな魅力なんですね。名古屋で「ポートランドリビング」を行うにあたって、大切にしていることは何ですか?
 
小林: 1つは、ポートランドを表すキーワードでもある「ローカル」。野菜や果物だけでなくコーヒーやビールなど、地元でつくられたものを地元で循環するポートランドにならって、僕たちの地元でつくられたもの、手づくりのものを販売しています。そしてもう1つは「つながり」。生産者本人が、お客さんに説明をしたり会話をしながら商品について納得して買ってもらうスタイルにしたいと考えました。例えば変わった野菜があったら「この野菜は何ですか?」という会話から始まり、「どうやって料理したらおいしいですか?」などの質問に広がる。会話をすることで新しい発見や魅力に出合えることが楽しいんじゃないかと思います。そして生産者さんのファンになってもらいたい。例えば、「ポートランドリビング」に出店している生産者さんのファンになった人が、この場以外でも生産者から直接買うようになってくれたり、直売所があるならそこへ行ったりと、「ポートランドリビング」がその先の関係づくりのきっかけになれば嬉しいと思っています。さらにはローカルなものに興味を持つきっかけになるといいですね。

 
 

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コーヒーとマフィンを販売していたMITTS。コーヒーの芳ばしい香りが広がります。

 

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野菜は試食もできるんです!

 

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焼菓子を販売していた笑顔の素敵な女子3人。

 
 
― お客さんと生産者さんとの橋渡し的存在ですね! そういえば、小林さんが着ているシャツにも橋が描かれていますね。
 
小林:これは今回(取材した11月の「ポートランドリビング」)のためにつくったオリジナルデザインのTシャツです。案出しからデザイン、印刷まで全て仲間たちと行ったんですよ。ソーセージを持っているのはポートランドのこだわりおやじをイメージ、右の男性は「ポートランドリビング」に出店しているトマト農家の石原さん。橋が多いことからブリッジタウンと呼ばれるポートランドに掛けて、名古屋とポートランドを橋でつなぎました。ポートランドイムズを受け継いだ名古屋でのイベントを、「楽しそうなことやってるな」という目でおやじがこちらを見ています。
 
 

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オリジナルデザインのTシャツも制作。

 
 
― そういう意味が込められたシャツだったんですね! デザインは毎回変わるんですか?
 
小林:毎回変わります。今回のシャツ、実は「Living」のつづりが間違ってるんです(笑)でも、そこをお客さんに説明して、納得して買ってもらうというのもまた、「ポートランドリビング」の真髄だなと思いました(笑)。普通、こんな間違ったものを納品したらクレームで返品されてしまうけど、対面で販売するからこそ笑い話になるし、逆にレアだと言って買ってくれる人もいました。もちろんみんな了承していただいて、ほぼ売り切れました。会話が成り立つからこそ生まれる面白さが大きな魅力ですね。

 
 

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たしかによく見ると、Livingが“Linving”に!

 
 
― 毎回、ローカルなものを楽しみに多くの人が訪れる「ポートランドリビング」ですが、毎月開催しないのですか?
 
小林:そう考えたこともあるんです。だけど、例えば農家さんだと野菜が収穫できる時期とそうでない時期があったり、仕事やお店が忙しくて参加できない時期があったりなど、毎月となると出店者さんにとても負担がかかってしまいます。あくまでも主役は出店する生産者さん。だからなるべく彼らの負担にならないよう、2~3カ月に一度の頻度になりました。でも今年はミーティングの結果、4月、6月、8月、9月、11月とたくさん開催できそうです!
 
 

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手づくりのお菓子やパンをおしゃれなワゴンで販売。

 
 

― ファンには嬉しい情報ですね! 今後、「ポートランドリビング」をどのように続けていきたいですか?
 
小林:今は名古屋市名東区にある「スイートオブオレゴン」の駐車場をお借りし、またミーティングルームを使わせてもらうなど多大に協力してもらって開催しています。今後はここでの開催のほか、別の場所でも同じようなファーマーズマーケットが派生していくといいなと思います。実際に、出店者であるトマト農家の石原さんが、地元の愛西市で規模は小さいけど「ポートランドリビング」と同じようなスタイルでファーマーズマーケットを開いてくれたのが嬉しくて。そのように展開していけたら、東海エリアのポートランド的“ヘンテコな人たち”に会える場所が増えたり、つながりが広がったり、東海エリア全体がもっとずっと面白くなると思います。

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会場はお客さんも出店者さんも、多くの笑顔であふれていました。

 

 
 

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