インタビュー・モノ

今、新たな鼓動をもって展開している「東海のものづくり」にスポットを当てて、作り手の想いやこだわりに迫ります。ものづくりの宝庫ともいえる、東海エリア。有名どころから知られざる逸品まで、掘り起こします。


 

森の郷、高山で生まれたアロマブランド

 
小さな瓶の中から漂う香りが導く、癒しの世界。ふわりとやさしい木の香りはとても心地よく、それでいてどこか懐かしさを感じさせます。瓶の中に入っているのは、間伐材や採集した枝葉を原料として抽出したエッセンシャルオイル
日本で流通しているアロマオイルの95%が海外製品という中で、国内産の木を原料としたエッセンシャルオイルづくりに挑戦しているのが、高山市で木製の家具・テーブルウェアを製造する木工ブランド「オークヴィレッジ」を運営する正プラス。40年以上にわたり木工製品をつくり続ける木のスペシャリストならではの、木の香りを詰め込んだ国産アロマオイルブランド「yuica」は2008年に誕生しました。
 

↑「yuica」には日本育ちの木々の魅力がぎゅっと詰まっています。
 

↑高山市の山間にある正プラス本社。その敷地内に「yuica」のショールーム「yuicaミュージアム」があります。
 

森林大国・日本が誇る木々の香りを一瓶に

 
日本は国土に占める森林の割合が世界で3番目に高いんです。しかも、北は亜寒帯、南は亜熱帯と気候も地域によって異なるため、多様な木々が生育しています。木を原料とするアロマづくりにおいて、これほど適所はありません」と話すのは、「yuica」の生みの親である稲本正さん。
10年間ブラジルのアマゾン森林研究所で樹木とエッセンシャルオイルに関する研究を重ね、帰国後、日本の木を原料とする国産エッセンシャルオイルの開発に着手しました。
 

↑「yuica」誕生の経緯を話してくれた稲本さん。
 
帰国時、稲本さんにはエッセンシャルオイルの原料として着目していた木がありました。日本に広く分布するクスノキ科の低木、クロモジです
「古くから爪楊枝の原料として用いられてきたクロモジですが、研究の結果、アマゾンに生育する高級木ローズウッドと同じ芳香成分が含まれていることがわかったんです。これを原料として活用できれば、世界に誇れる国産エッセンシャルオイルをつくれる。その思いが開発の原動力となりましたね」と稲本さん。日本に自生するありふれた木が、人々を癒す香りの素となった瞬間です!
 

↑黒い斑点がその名の由来と言われるクロモジ。樹皮を削るとすっきりとした香りが漂います。
 

森の香りを生活に息づかせたい

 
「yuica」では、シャンプーや入浴剤、アイクリームなど、エッセンシャルオイルを原料とするアロマ製品を開発。クロモジをはじめとした木々の豊かな香りは、全国各地で人々の暮らしの中に癒しの時間をもたらしています。
「木の香りがしっかりと感じられる製品に仕上げるためには、洗浄成分や抗菌成分などとのバランスが重要。長いものでは2年かけて製品化にたどり着きましたね」と、「yuica」商品開発室長の三津家規瑛さんは語ります。
 

↑香りや植物に関する多彩な知識と繊細な嗅覚で、数々の「yuica」製品を開発してきた三津家さん。
 
「心をリラックスさせ、また奮い立たせるなど、心身にもたらす香りの効果は科学的に実証されています。現代社会における悩みを、香りの力で解消したい。お客様の快適な暮らしを演出する製品を、気軽に暮らしの中に取り入れてもらえたらうれしいです」。
製品一つひとつの特徴を丁寧に説明する姿は、製品への愛情と、なにより三津家さんが「yuica」のファンであることを感じさせます。
 

↑植物由来成分100%のアイクリームは、クロモジのエッシェンシャルオイル配合。木のケースを含めた製品デザインも三津家さんが担当しています!
 
長い年月をかけて森林が蓄えてきた自然の力を生かす「yuica」の取り組み。広大な森に抱かれるまち高山市で誕生したナチュラルブランドは、エッセンシャルオイルの多彩なアロマ製品で、その豊かな香りをこれからも人々の暮らしに漂わせていくことでしょう。
 
11月17日アップ予定の後編では、エッセンシャルオイルの製造工程と「yuica」が掲げる今後の目標を紹介します。お楽しみに!
 

↑自然豊かな高山市からつくり手のこだわりを乗せて「yuica」は届けられます。
 
(写真:西澤智子 文:西村友行)
 
 

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