インタビュー・ひと

「こんなことしたらおもしろいかも!」を実現した人、また、東海エリアに新たな息を吹き込んだ立役者となる『仕掛け人』にインタビュー。仕掛け人の存在や想いを知ることで、イベントや場所がよりイキイキと目に映るはず!


 
東海エリアで昭和の面影を残す商店街の代表格といったら、岐阜市の「柳ケ瀬商店街」。レトロな雰囲気の食堂やブティックが軒を連ねています。ここで、築50年の5階建てビルをリノベーションしたことを皮切りに、毎月第3日曜に開催される「SUNDAY BUILDING MARKET」(サンビル)や、空き物件をシェアアトリエにリノベーションする「カンダマチノート」など全7プロジェクトを手掛けているのが、地元に根差した設計事務所「株式会社ミユキデザイン」です。なぜこんなにパワフルに企画を立てられるのか、その想いの根底にあるものや柳ケ瀬の魅力について、代表取締役で建築士の末永三樹さん伺いました。
 

↑ 取材場所の「まちでつくるビル」は株式会社ミユキデザインが2012年にリノベーションを手掛けた物件。柳ケ瀬商店街にほど近く、築50年の家具展示場だった場所を1階は日本酒バー&カフェ、2~4階をシェアオフィス、アトリエとし4階にミユキデザインも入居しています。月に一度入居者同士の交流会を行っており、建物だけでなく、まちの情報も大切にしています。
 
― 2012年6月に設立されたミユキデザインさんですが、すでに7つのプロジェクトを立ち上げられているんですね!
 
末永:ミユキデザインは2012年6月に私と主人で立ち上げました。立ち上げとほぼ同時に始めたのが、柳ケ瀬界隈の空き物件ツアーやDIYワークショップを行う「ファンタスティック不動産」と、ここ美殿町の築50年ビルをリノベーションした「まちでつくるビル」プロジェクトです。まちづくりというより、自分たちがいる場所を面白くしたいよね、という感覚。「まちでつくるビル」の大家さんが、この美殿町で商店街振興組合の理事長をされていて、このまちに若い人を呼びたいと仰っていたことに共感して始めました。
 
― 「SUNDAY BUILDING MARKET」(サンビル)にいたっては毎月開催。かなりパワフルですね!
 
末永:「手づくり」と「こだわり」のつまったマーケットを毎月第3日曜に開催しています。SNSを活用して拡散するなどして、当初50店舗だった出店者数が、いまでは150店舗になりました。飲食、雑貨、アパレル、古本など、様々なジャンルの出店者さんが集まり、会場である商店街の空気を楽しんでくれています。「自己表現」や「商売」の活気があり、主催者である私たちも元気をもらいます。大型ショッピングモールなどの徹底した商業空間に、こうしたエネルギーや、人と人との間からの偶然の相乗効果のようなものは生まれにくいですから。
 

↑「SUNDAY BUILDING MARKET」(サンビル)の様子
 
― 建築士の方って、新築物件を手掛けたいと思っている方が多いですよね。あえて中古物件に目を向けて、建物だけでなく、まち全体をプロデュースしようと思ったのはなぜなんですか?
 
末永:建物の価値は、一般的に、立地条件や築年数などで評価されてしまいます。新築であれ、中古物件であれ、言葉にできない雰囲気の良さまで加味された価値の付け方があったらいいな、と思ってきました。ですから、私たちは、空間のデザインと一緒に、何か新しい価値が「うまれる」ことを目指しています。結果として、建物やそのまわり、まちまでに目線が広がっていき、まち全体を考えるようになりました。中古物件の面白さは、ある意味「諦められている」状況が多いので、価値を飛躍させることができるからでしょうか。
 
― 新築はイチからつくる面白さがあるけれど、年々価値が下がる中古物件に新たな価値を付けていくことは、「モノよりコト」の消費が求められる時代にふさわしいですね。
 
末永:「そこで誰が何をするか」を考えて、私たち建築士は、建物と向き合っていくことが大切なんです。ミユキデザインで手掛けている他の活動に「おとなの学校」がありますが、身近にいる普通の方に、興味のあることや仕事のことなどを、先生としてゆる~い感じでレクチャーしてもらうというもの。「カンダマチノート」という、自分たちがリノベした場所が会場なのですが、先生や参加者の人たちによって、おとな学校独特の居心地のいい雰囲気が出来上がります。これも、空間づくりのひとつだと思っています。
 

 
― 2016年には「柳ケ瀬を楽しいまちにする株式会社」を近隣の事業主の方と一緒に設立されているんですね。
 
末永:今はいろんなところでマルシェが開催されています。「SUNDAY BUILDING MARKET」(サンビル)はまちがお祭り的に一瞬盛り上がるためではなく、常に何かを発信し、訪れたいまちにするための取り組みです。非日常の空間づくりではなく、柳ケ瀬の商業地としての日常をつくりたい。長い目で取り組んでいくために、その目的を共有する人たちと一緒に会社を設立しました。最初の事業として、柳ケ瀬の中心にあり映画館が入居する「ロイヤルビル」の再生を計画。柳ケ瀬が若い起業家を呼び込むまちと発展していくことを目指しています。
 

 
― ここまで柳ケ瀬をなんとかしたいと思うのは、なぜなんでしょう。 地形が面白いとか、そこにいる人のキャラが面白いとか・・・
 
末永:まちは、生き物だと思うんです。柳ケ瀬界隈の地図を見ていると、さまざまな道が交差している様子はまるで血管が入り組んでいるよう。自分たちがやっていることが、そこに暮らす人、訪れる人を元気にし、まち全体の新陳代謝を上げているんです。新築の建物も大型施設も、便利だし、きれいだし、決して悪いものじゃない。でも、多くの人が行き交う新陳代謝のいいまちでは、ここでしか見られない驚きや発見がたくさん生まれる。だからこそ、柳ケ瀬という「生き物」のオンリーワンの生き方に、私たちは惹かれているんだと思います。
 

 
 

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