インタビュー・モノ

今、新たな鼓動をもって展開している「東海のものづくり」にスポットを当てて、作り手の想いやこだわりに迫ります。ものづくりの宝庫ともいえる、東海エリア。有名どころから知られざる逸品まで、掘り起こします。

美濃和紙とヒノキのぬくもりを感じる「かげえライト」。付属のかげえシートを本体にセットすると壁や天井に影絵が投影でき、子どもと一緒に楽しめるライトです。
 
企画・販売するのは、岐阜県関市にある「彩光デザイン」。クラウドファンディングで先行販売したのち、2019年から商品化しました。現在、公式オンラインショップ限定で販売中。
“子どもを想う”、新しい和紙照明のカタチはどのように生まれたのでしょうか。彩光デザインの直営店にて、代表の中村ちゑみさんにお話を聞きました。

 

和紙の魅力を生かした照明づくり

 


↑「美濃あかり館 彩~irodori~」があるのは関市のお隣、美濃市。1300年の伝統を誇る美濃和紙のまちです。
 
歴史的な景観が残る「うだつの上がる町並み」の一角に佇む「美濃あかり館 彩~irodori~」は、古い建物を改装した店舗です。

 

↑有限会社 彩光デザイン・代表の中村ちゑみさん。店内は和紙照明がずらりと並び、あたたかな灯りに心落ち着く空間です。
 
美濃手漉き和紙の美しさに魅了され、和紙照明の企画・製造・販売を行う現在の会社を立ち上げたという中村さん。伝統工芸士であった故・市原団若氏と出会ったことが和紙の道の始まりでした。「初めて市原氏の和紙を見たとき、あまりの美しさに頭を殴られるほどの衝撃を受けました」と振り返ります。

 

親子のふれあいのために生まれたライト

 

↑生き物や星たちを映し出し、物語の世界へ誘う「かげえライト」。感性を豊かにしてくれそうです。
 
「子どもは“灯り”が大好き。親子連れのお客様が来店すると、子どもは商品の前に座りこんでじーっと眺めていることが多いんです。和紙を透した灯りには、子どもの心に語りかけるような何かがあるのではと思っていました」。
 
そこで、親子で一緒に灯りを楽しめるようにと開発されたのが「かげえライト」です。本を読み聞かせしたり、お話をしたりするように、眠る前の子どもとのひとときを優しく過ごせるように。そんな想いが込められています。

 

↑磁石で留めるだけで楽々セットできるので、子どもが自分で触ってみるのがおすすめ。
 
かげえライトの遊び方は簡単。付属の「かげえシート」をかげえライト本体のフタに置きます。磁石がついている本体を乗せれば、セット完了。電源ボタンを押せば、壁や天井に影絵を投影して遊ぶことができます。

 

↑影絵に描かれたストーリーがよく分かる絵本もセットに。

 

画像提供:有限会社 彩光デザイン

↑宇宙をテーマにした「コスモシリーズ」の絵本1冊・かげえシート4枚と、海や陸の生き物をテーマにした「大自然のいきものシリーズ」の絵本1冊・かげえシート3枚が全て同封されています。

 

手触りまで気持ちよく、細かなパーツにも気を抜かない

デザインを手がける「ホリデザイン」とともに、開発は1年がかり。「デザイナーさんのお子さんに見せて反応を伺いながら、実践的に開発をしました。子どものリアルな反応は、いちばん参考になります」。
 
形ができあがってからも細かな修正を繰り返し、より完成度を高めていきました。ライト本体の大きさ、美濃和紙の厚さ、LEDの色など試行錯誤の末、耐久性と灯りの美しさを実現しています。

 

↑角は大きく面取りしてあり、どこを触ってもなめらかな触り心地。子どもが使っても安全です。
 
持ち手やフレームには、岐阜県東濃地方のヒノキを使用。厳しい寒さの環境で時間をかけて育ったヒノキは細かい木目が美しく、しっかり締まって丈夫なのが特徴です。側面には、破れにくい加工を施した美濃和紙を張り込みました。
伝統の美濃和紙と、職人の手で組み上げたヒノキのフレームでつくられたライトは、手に取る人にやわらかな印象を与えます。

 

↑かげえシートに使っているのは、美濃手漉き和紙の中でも高度な技術を保持した職人だけが漉くことのできる「本美濃紙」。
 
繊細でなおかつ丈夫な本美濃紙に、レーザーで絵柄を切り抜いた「かげえシート」。ドットのサイズの大小を変えることで色の濃淡を調整するなど、驚くほど細かな表現がされています。

 

“モノ”に触れるからこそ得られる体験を

 

↑中村さんのお孫さんにも「かげえライト」を渡したところ、大喜びだったそう。
 
付属のかげえシートのほか、自分で用意した紙に好きな絵柄を切り抜けば、オリジナルの影絵を投影することもできます。子どもの“創造力”と“想像力”をかきたててくれそう。
「スマートフォンにもライトの機能はありますよね。でも、実際に自分の手で触って、和紙やヒノキの感触を知って、感性を育む体験は、デジタルにはない魅力だと思います」。

 

画像提供:有限会社 彩光デザイン

↑テーブルライトとして使えば、部屋のインテリアにもなります。
 
「かげえライト」は公式オンラインショップのみで販売していますが、いずれは販路を拡大して店頭でも販売できればと構想中。
 
「部屋を明るくするだけが照明ではありません。和紙照明を通じて、親子の触れあいの時間や、ほっとする空間づくりのお手伝いをしていきたいです」と語る中村さんの瞳にも、優しい灯りがともっていました。

 
 
(写真:西澤智子 文:齊藤美幸)
 
 

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