インタビュー・ひと

「こんなことしたらおもしろいかも!」を実現した人、また、東海エリアに新たな息を吹き込んだ立役者となる『仕掛け人』にインタビュー。仕掛け人の存在や想いを知ることで、イベントや場所がよりイキイキと目に映るはず!

 

 
愛知県全域から、静岡県浜松市まで――。車夫の衣装に身を包み、人力車に見立てた車いすで拠点の豊橋市から依頼先に向かう訪問美容サービス「美右衛門(びえもん)」。訪問美容とは、病気や怪我、障がい、高齢、妊娠中など1人での外出が困難な方の自宅や介護施設などに訪問し、髪のカットやカラーリングなどの美容サービスを提供する取り組みです。質のいい訪問美容の発展を目指し、エネルギッシュに活動する美右衛門の代表エリック・バリオスさんに話を伺いました。
 

 

― エリックさんの経歴を教えてください。

 
エリック:日本人の父とボリビア人の母の間に生まれ、3歳までボリビアで育ちました。その後は神奈川県や豊橋市内の小中学校に通いました。工業地帯で育ったため、将来は工業に携わるものだと思い工業高校に進学しましたが、中学時代に抱いた美容師への憧れを諦めきれず、美容師の道に進んだんです。美容師免許の取得後、市内の大手美容院で経験を積みました。売り上げの功績を認められ、店舗のマネージャーを経験するなど刺激的な日々でしたが、訪問美容に興味があったのでフリーランスで活動し、訪問美容とサロン勤務を両立していたんです。
 

↑明るく気さくで芯の強いエリックさん。車夫の姿でお出迎えいただきました。
 

― そんな中、ご自身で美右衛門を立ち上げたきっかけは?

 
エリック:訪問美容の活動をしていく中で、病院や介護施設で訪問美容を受けた方やその家族が「女性なのにバリカンだけで髪を処理された」「人の対応が冷たい」「本当はカラーをしたいのにしてもらえない」という悩みを持っていることを耳にしました。介護施設などの現場で、質の高いサービスが求められている現状を知り、訪問美容の質を高めたいと思うように。福祉訪問理美容の社団法人で1年半ほど修行し、2016年に訪問美容サービスの「美右衛門」を設立しました。

 

↑JVPA(一般社団法人 日本訪問理美容推進協会)の一員として、全国で訪問理美容の活動を増やす講師としても活躍されています。
 

― 美右衛門のコンセプトはどういったものですか?

 
エリック:車夫の格好をし、人力車に見立てた車いすを用意しているのは、旅の前のワクワクする胸の高ぶりを訪問美容でも届けたいという想いからです。また、訪問美容を学ぶと同時に福祉も学びました。福祉の現場で人が人を思いやる心を目の当たりにし、美容にも“人の愛”が必要不可欠なのだと気づきました。美右衛門のロゴには、“人ノアイ”という文字が入っているんです。人の愛が美右衛門のテーマです。
 

↑赤字で「人ノアイ」と入っている美右衛門のロゴ。訪問美容を広げたいエリックさんの原動力であり、伝えたい想い。
 
エリック:どんな人に対しても、美容室レベルのサービスを提供したいんです。その甲斐あって、2017年に美右衛門が豊橋市の第三セクター主催の「東三河ビジネスプランコンテスト」で最優秀賞に選ばれたことは自信につながりました。
 

― これまでの活動の中で特に印象的だったことはありますか?

 
エリック:自宅療養されている40代の女性の自宅に1年間ほど通ったことがあるのですが、亡くなる1週間ぐらい前に「最後にきれいになれてよかった」と口にしてくれたんです。美は女性にとって人生の満足度を左右するものであり、それを担っているんだと改めて身が引き締まったと同時に、親身に丁寧に行う訪問美容の存在を多くの人に伝えたいという気持ちがさらに大きくなりました。施設利用者の方々が美右衛門で明るい気持ちになってくれることにも、とてもやりがいを感じています。
 

↑美右衛門のロゴの入ったハイエースで、病院や施設、自宅まで美容機器を載せて駆け付けてくれます。
 

― そういう方々を目の当たりにすると、質のいい訪問美容の普及にますますやりがいを感じますね。今後の展望はありますか?

 
エリック:これからもどんどん高い質を保った訪問美容を広げていきたいですね。以前、急な連絡を受けたものの、別の仕事があって伺えなかった高齢者の方がいらっしゃって、実は次の予約日の前に亡くなられてしまったんです…。それ以降、たとえ用事があったり遠方にいたとしても、呼ばれたらすぐに駆け付けるぐらいの気持ちで活動を続けていきたいと思っています。いずれは訪問美容の普及と自分の腕試しのためにも世界への進出を果たしたいと考えています。
 

↑2019年2月には実店舗もオープン。美容院「UN1CA de BIEMON」の入口は、車いすの方でも利用しやすいようスロープが設置されています。
 

↑育児中の方にも美容を楽しんでほしいという思いから、「UN1CA de BIEMON」にはキッズルームも。
 

 
(文:青野凌)

 

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