インタビュー・ひと

イベントやスポットなど、新たなムーブメントの「仕掛け人」にインタビュー。


↑写真左から藤田さん、水谷さん
 
空き家活用をはじめ、コミュニティ運営や空間デザイン、イベント企画など、東海エリアを中心にクリエイティブな事業を手がける「On-Co」共同代表の水谷岳史さんと藤田恭兵さん。2020年6月には、借りたい人が夢や希望条件を掲載し、そこに共感した大家さんがアプローチするという、一般的な家探しとは“さかさま”な空き家マッチングサービス「さかさま不動産」をスタート。空き家が増え続けている今、新しい切り口で社会問題を解決しようとするおふたりのビジョンを伺いました。

― まずは、「さかさま不動産」をはじめたきっかけについて教えてください。

 
水谷:空き家を活用して多くのシェアハウスを運営していくなかで、「空き家で新しいことを始めたい」「どうしたら希望の物件が見つかるの?」など相談されることが多くなったんです。既存の空き家マッチングサービスは、物件が掲載されていても地域の知名度が低かったりと、ネット検索でマッチングしないという課題を感じていました。そこで、借りたい人をクローズアップしたら、新しい道が開けると思ったんです。
 

 

― なるほど!今までにない“逆の発想”ですね!

 
水谷:立地や金額だけで物件の貸し借りをするのではなく、借りたい人の思いをサイトに掲載することで「この人に空き家を使ってほしい」「空き家を町が盛り上がることに役立ててほしい」といった貸し手の共感がマッチングのポイント。また、不動産を新しく運営したい人にとっても、先に借り手が決まっていればすぐに家賃収入の目途がたつし、リノベーションするかしないかも借り手と話し合いながら決められますよね。
 
藤田:空き家を探している人って個性的で面白い人が多い。「さかさま不動産」はそんな魅力的な人たちの夢を後押しできるサービスになると思います。低コストで借りられる空き家は、夢へのファーストステップを踏み出したい人を応援するツールにもなるんです。

 


 

― 貸す人も借りる人にも幸せをもたらすサービス、素敵です。6月にスタートされたばかりですが、今のところの反響は?

 
藤田:サイトを通じて出会った大家さんからさっそく「自分が共感した人に貸せるところがいい」「こういうサービスを探していた」など、嬉しい反響がありました。思っていた以上に、借り手の思いを大切にしてくれる大家さんが世の中にたくさんいることも発見でした。「この人の夢を応援したい」と、縁もゆかりもないエリアに物件を買う提案をしてくれた大家さんまでいたりと、想定外の嬉しいことが起きています。物件を探している人からは、「さかさま不動産」に登録をすることで住宅環境を改めて深堀したり、夢を可視化する機会になった、という声もありました。
 
水谷:地方の空き家だけでなく、名古屋市内のマンションで物件を探している人も多いんです。「名駅付近で伊勢茶の魅力を伝えられるような空間を作りたい」など、街中で個性的な物件を探したいという人にもおすすめです。
 

 

― 地域に限定されず、いろんな夢を持った人が活用できるんですね。「さかさま不動産」の今後のビジョンについて教えてください。

 
藤田:これまでは契約書を書いて保証人をつけて、審査をして…と何段階もあった物件契約のフローを、純粋な大家さんからの「共感」というシンプルなかたちに変えていけたらいいな、と思っているんです。ユーザーの声に耳を傾けながら、随時サイトを使いやすく改善していく予定です。また、イベントなどで「さかさま不動産」の知名度を上げて、一般的な不動産サイトと並んで、「さかさま不動産」が物件探しの選択肢になる未来をイメージしています。
 

― 「さかさま不動産」の運営のほかにはどんなことを?

 
藤田:今ちょうど動いているのが2020年8月に岐阜県美濃加茂市の美濃太田駅前に完成予定の町づくり拠点「エキラボ(仮)」のプロデュースです。
 
水谷:私たちは、何もない状態から地域の人と一緒になって作り上げていく過程の「変わっていく面白さ」を楽しみながら空間設計を行っています。空き家にも共通することですが、手をかけて作り上げることが空間への愛着につながります。また、プロジェクトに直接関わっていない人たちにもまっさらな状態から変わっていくプロセスを公開することで、次第に愛着をもってもらえるようになり、多くの人が集うコミュニティが形成されていくんです。

 

― ―― 「変わっていく面白さ」を共有することがコミュニティ作りのポイントなんですね。イベント運営についても教えてください。

 
藤田:2020年6月には「三井アウトレットパークジャズドリーム長島」で地域と連携して「オンライン商店街」を企画しました。
 
水谷:コロナの影響で各業界の売り上げが低迷している中、生産者さんたちが「商品の新しい売り方を試したい」と模索しており、いつも率先して実証実験を行っている僕たちだからこそできることがあると思ったんです。
そこでショッピングモールに大型モニターで三重県鳥羽市の漁師さんなど生産者の生中継を行い、商品を販売。
ところが、売り上げはゼロ(笑)。でも、出店した生産者さんたちから「いい経験になった」「ヒントを得た」と言われ、各々の次のチャレンジに繋がったようなので、トライしてみてよかったと思いました。
 

― 失敗してもどんどん新しいことに挑戦し続ける原動力は?

 
水谷:私たちの会社のコンセプトは「熱狂」なんです。自分たちが熱中できること、面白いと思ったことに果敢に挑戦していく。これまでスタンダードでなかったものでも、試してみたら何かが解決できるかもしれないし、新しい価値が生み出されるかもしれない。そんな思いで、常にワクワクすることを探しています。社会の実験台として、今後もたくさんのことに挑戦していきたいです。
 

藤田:新しい事業を考えるときは成功するかどうかよりもこれまでになく、本質的に面白いものかを軸にしています。これからも面白さを追求して、自分たちが心から熱狂できる仕事をしていきたいです
 
 

(文:岩井美穂)

 

 

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