![和水香庵,香川絢子,円頓寺商店街,茶室,体験,生コーヒー,茶道](https://hiroba-magazine.com/wp-content/uploads/2023/04/Movement_top.jpg)
2023年4月に名古屋市西区・円頓寺商店街にオープンした「和水香庵(なごみこうあん)」は、路面に面した茶室で誰でもお茶を点てて味わうことができるという、日本文化に気軽に触れられる場所。手がけるのは創業400年の老舗料亭で11年若女将を務めたのち、独立した香川絢子さん。どのような思いでこの場所を作ったのか、お話をうかがいました。
香川絢子さん
ホテルやレストランを展開するPlan・Do・See在籍中に名古屋の老舗料亭で11年若女将を務めた。その最中、G20愛知・名古屋外務大臣会合の夕食会場・文化行事会場に選ばれ、若女将として対応した功績も。コロナ禍でお店の営業の空き時間にお茶のお稽古を始めたのを機に、日本文化や歴史をもっと伝えることをしたいと2021年1月に独立。2023年4月に円頓寺商店街に「和水香庵」をオープン。
香川絢子さん
ホテルやレストランを展開するPlan・Do・See在籍中に名古屋の老舗料亭で11年若女将を務めた。その最中、G20愛知・名古屋外務大臣会合の夕食会場・文化行事会場に選ばれ、若女将として対応した功績も。コロナ禍でお店の営業の空き時間にお茶のお稽古を始めたのを機に、日本文化や歴史をもっと伝えることをしたいと2021年1月に独立。2023年4月に円頓寺商店街に「和水香庵」をオープン。
「和水香庵」とは、どういう場所ですか?
香川さん(以下、敬称略):
お茶とお菓子のセット「甘味(あまみ)膳」1,000円と一汁二菜の食事「一汁二菜膳」1,500円の2つのメニューがあり、「お茶とお菓子のセット」では茶室の空間でお客さまがご自身でお茶を点てるところから楽しんでいただけます。
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お茶を自分で点てられるのは珍しいですね。抹茶だけでなく、茶筅で点てて味わう「生コーヒー」もあるとか。
香川:
抹茶が苦手な人もいらっしゃるので。生コーヒーは、通常の1/4のカフェイン量で、濃いめのほうじ茶のような香ばしい味わい。コーヒー豆が抹茶の粉くらい細かく粉砕されているので、抹茶と同様に豆すべてを味わうことができるんです。
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香ばしくておいしいです!」
なぜ、このような場所を開こうと思ったんですか?
香川:
いくつか場所を借りてお茶のお稽古をしていたのですが、生徒さんが場所を間違えてしまうこともあり、やはり定まった場所のほうがいいなと気づいたんです。今の生徒さんの人数だと週1~2日で十分なので、それ以外の日にこの場所をどう活用しよう?と悩みました。
なるほど!場所があるのに空いているのはもったいないですもんね。
香川:
お茶の世界って、ベテランの先生になるとお茶会を依頼されることがあり、そこに生徒さんも同行して本番の機会に恵まれるんです。でも私のように3年ぐらいの経験だと、生徒さんはお稽古ばかりで、なかなか実践する場がない。そこで、この場所にお客さまをお迎えしたら、生徒さんにも実践経験をさせてあげられると思ったんです。
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生徒さんも新しい経験ができるし、場を開放することでお茶の間口が広がりますね。
香川:
私も料亭で若女将になったとき、多くのお客さまにいろんなことを教えていただきました。お客さまに育ててもらったようなものなんです。実践する場所があってこそ、学びや出会いも広がります。
円頓寺商店街の路面にあり、通りすがりの人からも見える場所。ロケーションにはこだわりがあったのですか?
香川:
お茶を通して日本の文化を発信したいという思いがあったので、1階の路面にこだわりました。まずは、目について、認知されることが大事かなと。地元の方や円頓寺商店街に訪れた方はもちろん、海外から訪れた方にも、目についてちょっと寄ってみようかって思ってもらえるような場所がよかったんです。
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お茶とは、日本文化においてどんな存在なのでしょう?
香川:
茶道は書、絵、お花、全体的なしつらえといわれる空間的なデザイン、器、所作など総合芸術といわれるぐらい、いろんなことが凝縮されているんです。
一般的なお茶は、生菓子と抹茶のイメージですが、正式なお茶会では懐石料理やお酒が出ることも。お料理、お酒、食べ方の所作など、お客さま側のルールもあれば、お出しする側のルールもあります。
「無茶苦茶」という言葉に「茶」が入っているように、茶道を知ることってとても大切なんです。
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若女将時代に印象に残っていることはありますか?
香川:
務めていた料亭がG20愛知・名古屋外務大臣会合の夕食会場・文化行事会場となり、お手伝いさせていただいたのですが、打ち合わせに来られる日本のトップクラスの警察の方や外務省の方など、誰ひとり玄関の敷居を踏まない。所作をしっかりわきまえていらっしゃるんです。
当日いらっしゃった各国の大臣の方々も、自分の国を背負って気を配らなければいけないことがたくさんあるなか、日本家屋でどうやって過ごすか、和食をどう食べるか、しっかり勉強されて、所作をわきまえていらっしゃったことに感動しました。
それはすごいですね…!私自身、勉強しないといけないなと考えさせられます。
香川:
G20愛知・名古屋外務大臣会合でみなさんの所作を目の当たりにしたからこそ、日本の文化、和の所作をたくさんの方に広めたいと考えるようになりました。
ターニングポイントにもなった出来事だったのですね。
香川:
まずは気軽に体験できる場所があるのが第一だと思い、辿り着いたのが「和水香庵」です。お茶の所作を知らない方でも、気軽に訪れて、お茶を体験していただけるとうれしいです。
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(文:広瀬良子)