アイスクリーム愛が高じて見つけた、革命的スプーン!
心の滞りまで溶かしてくれるような、ひんやりとした甘さ。仕事や家事、育児なんかで疲れた夜、アイスクリームを自分へのご褒美に楽しんでいる人もいるのでは?かくいう私も、そのひとり。編集部イチ、アイスクリーム好きを公言しているライター西村です。ところで、アイスクリームって、食べる少し前に冷凍庫から出しておき、ほんのり溶けたくらいが口当たりなめらかでおいしいんですよね。でも、今すぐ食べたい!それなのに、今、冷凍庫から出したばかり…ってとき、ありませんか?まだ固くてスプーンが入っていかない。そんな葛藤を感じていたときに見つけたのが、「WARM TECH SPOON」の存在です。
スタイリッシュなデザインが目を引くこのスプーン。その凄さは、アイスクリームに差し込むとわかります。触れた部分がすぐさま溶け、スーッとなめらかにアイスクリームに入っていく――。ちょっとした非日常体験に、感動を覚えます!表面がとろりと溶けたシルキーな質感。なめらかな口当たりで、いつものアイスクリームとは一味ちがうおいしさを感じられます。
なぜ溶ける?秘密は最先端素材による、手の体温の熱伝導
どうしてアイスクリームは「WARM TECH SPOON」にふれると溶けるのか?その秘密は、素材に使われている「炭素繊維強化プラスチック(CFRP)」にあります。軽量で高強度なCFRPは、自動車や航空機をはじめ、なんと人工衛星にも使われている素材。CFRPの特性のひとつが、高い熱伝導率です。一般的なスプーンの素材であるステンレスの約25倍!そのため手の体温が瞬時にWARM TECH SPOONに伝わり、その熱がアイスクリームを溶かしているというわけ。宇宙という壮大な分野で活躍する最先端素材がアイスクリームスプーンに使われているなんて、とても贅沢ですね!
機能とデザインを兼ね備えた「WARM TECH SPOON」。実は、私が心惹かれた部分は他にもあるんです。なんと、専用の携帯ケースも販売!ポケットにしまえるカード型になっており、ステンレスのカバーをスライドさせるだけで、簡単にスプーンを取り出せます。これなら常にポケットに携帯し、外出先でも使えますよね!
新幹線での歯がゆいエピソードがきっかけとなり――
「WARM TECH SPOON」をつくっているのは、岐阜県中津川市にある鈴木工業株式会社。家電機器や輸送機器に使われる金属部品を製造する一方で、イチゴやレタスなど農産物の栽培やドライストロベリーの製造、オフィス用品の開発といった新規事業にも積極的に取り組んでいます。開発に携わったのは、企画開発室の多賀さん、町野さん、田中さん、原さんの4人。
多賀さんが何か新しいモノを開発できないか?と調査するなかで目に留まったのが、先にも書いた「炭素繊維強化プラスチック(CFRP)」。人工衛星のバッテリーから出る熱を宇宙に放出するために用いられている最先端素材。「この熱伝導率の高い素材を、新製品に応用できないだろうか」。そのとき思い浮かんだのが、新幹線での経験でした。車内販売のアイスクリームがカチカチに凍っていたため、付属のスプーンでは全く歯が立たず、食べごろになるまでしばらく待つことに。「大好きなアイスクリームをすぐに食べることができたらいいのに…」。この小さな気づきが発端となり、手の体温でアイスクリームを溶かすスプーンの開発が動きだしました。
当時の状況について多賀さんは「アイスクリームスプーンのことを企画開発室のみんなに提案しましたが、全員に反対されましたね(笑)。それでも諦めきれませんでしたので、1人で少しずつ研究を進めました」。日々、アイスクリームスプーンの研究に打ち込んだという多賀さん。そのひたむきな姿に町野さん、田中さん、原さんも感化され、4人で研究に取り組み始めたことで、アイスクリームスプーン開発は一気に加速していきました。
高い技術力をもって革新的なスプーンを生みだした企画開発室。ものづくりのスペシャリストである面々には共通点があります。それは、4人ともアイスクリームが大好きだということ。外出先でアイスクリームを食べるときにも、自分の「WARM TECH SPOON」を颯爽と取り出して食べるほど、アイスクリームと「WARM TECH SPOON」を愛してやみません!最先端技術を巧みにあやつる職人集団をイメージしていただけに、そのギャップに親近感がわいてきました。そんなアイスクリーム好きなメンバーの「WARM TECH SPOON」の開発秘話については、また次週ご紹介します。お楽しみに!