知多半島の「食堂ひとつむぎ」が手がける、地元野菜をたっぷり味わえる体と心に優しいごはん

知多半島の野菜を使い、地域に根差した町のごはん屋「食堂ひとつむぎ」。地元のみなさんに愛される心も体も喜ぶようなランチや、オンラインショップでお取り寄せもOKな人気の豆腐マフィンなどのおやつメニューを紹介!会社員、船旅、農業研修とさまざまな経験をしたオーナー・前田寛さんのオープンまでのエピソードもお聞きしました。
 

もくじ

ゆったりとした時間が流れるカフェ

 

 
食堂ひとつむぎ」は知多郡東浦町の道路沿いに建つ、青空に映える茶色い瓦屋根が可愛らしいお店。道路の向かいには畑も広がり、のんびりとした空気に包まれています。
 

↑やわらかな日差しが注ぎ込む店内。
 
大学卒業後、会社員として働いていたという前田さんですが、25歳の時「違う価値観で生きている人たちと出会いたい」と世界一周の船旅に出る決意をします。船旅に出る直前、岐阜に住む知り合いのおばあさんの畑作業を手伝ったことをきっかけに、「自然や農的な考え方に自分の生き方のヒントがあるのではないか?」と、帰国後は農業研修で自然や畑のことを学んだそう。
 

↑農家になるか悩んだ末、経験で得た気づきを第三者に伝えたいと思った前田さん。
 
「研修後は友人の紹介から東京のオーガニックカフェで働くことに。かたわらで仲間たちと農的ライフスタイルを提案するイベントや東京近郊の農家さんを集めた朝市やフェスを開催するなど、小さくてもいいから暮らしの中に自然との関係を取り戻す場所づくりをしていました。」
 
いずれは自分で思いを伝えていく場所や環境をつくりたいと思っていたそうですが、経験してきたことや思いを還元する場所という角度で考えた際に、地元である知多半島に戻るというのがとてもしっくりときたそう。飲食店での経験を生かし、暮らしに寄り添う食堂として東浦町にひとつむぎをオープンしました。
 

2週替わりの野菜たっぷりごはん

 
そんなひとつむぎで味わえるのは、奥さまの亜弥さんと一緒に考案している野菜たっぷりの料理やスイーツの数々。使用している野菜は、前田さんの畑でお父さまが育てているものや地元農家から仕入れたものなど、知多半島産がほとんど。知多半島は温暖な気候のため、年中通してバラエティ豊かな野菜が作られているのだそう。
 
まずは、2週間に1度お惣菜が変わるという看板のセットメニューを紹介!野菜の状態を見ながら、メニューの献立はもちろん、切り方や火入れなど下処理の仕方も変えているそう。
 

↑この週のメニューは「さわのはなご飯セット」1,100円(税込み)。
 
おからがベースの「ピーマンのつくね風揚げ団子(真ん中)」は、フワフワ食感がたまりません!その他、知多でつくられている魚醤との相性が抜群だという空心菜を使った「空心菜と人参の崩し豆腐」や「じゃが芋と玉ねぎの梅オイスターソース」など、組み合わせがおもしろく、食べるのが楽しくなるようなお惣菜が5品付いたセットです。※内容は週によって変わります。
 
たくさんのおかずをちょっとずつ味わえるので、欲張り女子にはとっても嬉しいですね。
 

↑「オリジナルスパイスの青大豆トマトカレー」1,100円(税込み)。
 
スパイスの配合にこだわったカレーも人気。こちらにも、アクセントに粒マスタードを混ぜ込んだ「きのこのポテトサラダ」など、その週のお惣菜と野菜たっぷりのスープが付いてきます。
 
「せっかくのお外ご飯なのだから、いつものお野菜をちょっと違う味わい方で楽しめるように。でも、攻めすぎず普通過ぎず、普段から野菜をたくさん使って料理をする近所の方たちが、『ちょっと変わっているね、おいしいね』って言ってくれるようなところを探っています」と前田さん。野菜たっぷりで女性ウケがいいメニューのようですが、男性や子どもなど幅広い人が満足できるような“ちょうどいい”味付けを日々意識しているのだとか。
 

↑イートインのセットメニューが自宅で味わえる「ご飯弁当」850円(税込み)。
 

↑お惣菜6品がたっぷり詰め込まれたテイクアウトメニューの「デリセット」1,200円(税込み)。
 
14時までのイートインメニューは、終日テイクアウトもOK。ご飯の有り無しが選べたり、量が異なるお惣菜の詰め合わせがあったりと、仕事帰りの人や「一品プラスしたい!」という人にもおすすめ。
 

↑20種類ほどがローテーションで販売されている「豆腐マフィン」230円(税込み)。
 
オープン当時から焼いている人気おやつメニュー「豆腐マフィン」は、店頭販売に加えてオンラインショップでも販売されています。
 
豆腐を使ったマフィンは、水分量が多くしっとり!さらにタピオカ粉を混ぜ込んでいるので、モチモチさも相まって他のベジのお菓子とはちょっと違う、リッチな仕上がり。思わず全種類食べたくなってしまいます…!
 

新鮮野菜の販売にも地元の方が続々と!

 

↑毎日お店の外に並べられる新鮮な野菜や柑橘類。
 
お店の外では、農家であるお店の大家さんが育てた野菜の販売もしています。ナスやピーマン、里芋などから、スジが少なく使いやすいモロッコインゲンというちょっと変わったものまで!採れたての野菜や柑橘が毎日7時にズラっと並べられると、朝早くから地元の方が買いに訪れ、ものや日によってはすぐに売り切れてしまうんだとか。
 

↑店名には、人のつながりや、“1つの麦のように実りある場所に”といった意味が込められています。
 
「お店に足を運んでくれたお客さんには、料理を食べたりお菓子や野菜を買ってもらったりすることで、1ミリでもいいから気持ちよくなって帰ってもらいたいと思っています。なんでもない生活の一風景がちょっとでもいい方向に転ぶような手伝いができれば、それ以上の価値はないですね」と前田さんは語ります。
 
特別すぎず、地域のみなさんのちょっとした拠り所となるような場所にしたいという前田さんの思いが溢れ、ゆったりとした時間が流れるひとつむぎで、たっぷりの野菜を味わってみて。
 
 

 
前田さんは農的なライフスタイルを軸にしながら、自身の経験をもとに飲食事業を考えている人にアドバイスをしたりノウハウを伝えたりと、外部の人と連携をしながら町や人に向けて仕事をつくる機会を提供したいとも考えているそう。さまざまな経験からインプットしてきた考えや思いが町にどんどん広がり、自然と身近な暮らしや働き方が地域に根付いていくように感じました。
 

 

(文:佐藤奈央)
 

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