人と地域と“アートの縁”を編んでいく。【岐阜県美術館アートコミュニケーター「~ながラー」中嶋健太さん】

岐阜県美術館 アートコミュニケーター ながら~

2020年より始まった岐阜県美術館アートコミュニケーター「~ながラー」の1期生が2022年3月に3年の任期を終えようとしています。美術館スタッフとは違う立場で、どんな活動をしてきたのか。1期生の中嶋健太さんにお話をうかがいました。

中嶋健太さん

文化・商業施設の内装や展示を手がける仕事、岐阜県現代陶芸美術館のボランティアスタッフを経て、岐阜県美術館アートコミュニケーター「~ながラー」第1期メンバーに。初年度の10月から普及業務専門職として運営側にも携わる。

中嶋健太さん

文化・商業施設の内装や展示を手がける仕事、岐阜県現代陶芸美術館のボランティアスタッフを経て、岐阜県美術館アートコミュニケーター「~ながラー」第1期メンバーに。初年度の10月から普及業務専門職として運営側にも携わる。

岐阜県美術館 アートコミュニケーター ながら~

なぜ、~ながラーに応募しようと?

中嶋さん(以下、敬称略):

ボランティアの枠を超えて、やりたいことを提案できるところに魅力を感じたんです。以前から、アートが好きな人たちと世代を超えた関係を築くことにも憧れていました。

東京都美術館のアートコミュニケーターが基盤になっているとか?

中嶋

東京都美術館の「とびらプロジェクト」に関わっている当館の日比野克彦館長が「岐阜県美術館でも…」と発案し、人を募りました。今では全国7ヶ所の美術館に広がっています。

~ながラーは、アートと社会の「ハブ」のような存在だそうですね。メンバーになってからは、どんな活動を?

中嶋

基礎ゼミなど学びの場を経て、企画を出していくようになります。3人以上集まると舟(チーム)ができ、プロジェクトが始動。企画書を美術館スタッフ(アートコミュニケーター運営チーム)に提出して、内容や予算、ときには使う資材についてやりとりを重ねて形にしていくんです。

今までどんな企画を形にしてきたんですか?

中嶋

「あの人・この人 インタビュー」という企画では、当時美術館のアトリエで潜在制作に取り組んでいた作家さんにインタビューした内容を発信していました。メンバーは4人いて、「人と話すこと」「文章を書くこと」など、それぞれが得意なことを生かしていて、自分は配布用リーフレットのデザインを担当していました。

岐阜県美術館 アートコミュニケーター ながら~

リーフレットのクオリティが高いですね!皆さんすごい…!

中嶋

1回目は本にして50部を1日限りの配布、2回目はウェブで発信、3回目は作家さんと相談し、少し変わった折りのリーフレットにして、できるだけ多くの人に手にとってもらえるようページ数を減らし、印刷部数を増やしました。3回目でやっと、スタイルが確立されたと実感しています。

展覧会チラシとは別の発信、ということですね。

中嶋

展覧会チラシは美術館で作ったものがあって、概要や作家さんのコメントも載っていますが、「あの人・この人 インタビュー」では一般の人の目線で素朴な質問をしたり、作家さんの人間らしい部分を引き出したりしています。美術館スタッフさんも「おもしろい」と読んでくれているんです。

アートの敷居がフラットになりそう!

中嶋

ほかの~ながラーさんの活動では、今年開催されていた「塔本シスコ展」のときに、「塔本シスコさんの作品への愛情をみんなで共有しよう」と、一般の人も募ったワークショップでシスコさんがよく描いていた花を立体で表現したフォトスポット制作がありました。

岐阜県美術館 アートコミュニケーター ながら~
塔本シスコ展に向けたワークショップの様子。
岐阜県美術館 アートコミュニケーター ながら~
~ながラーがシスコさんの作品を鑑賞した感想を原稿用紙7枚分にわたって綴り、展示。
それを見て、一般の人が感想を付箋に書いて貼り、シスコさん愛が連鎖していくようなプロジェクトも。

人とアートの接点を、どんどん増やしているんですね。

中嶋

リアルの場だけでなく、YouTubeを使った活動も。「~ながラジオ」というもので、作品を見て思ったことを好きにしゃべり、編集して公開しています。

なんだこれ?っていう興味だったり、美術館って楽しい場所なんだと気づかせてくれたりする「ハブ」を生み出しているのが、「~ながラー」なんですね!

中嶋

そうですね、鑑賞を目的に美術館に訪れた人だけでなく、ワークショップを楽しんでもらうことを入口にしたり、はたまた美術館ではなくYouTubeで接点を持ってみたり。

岐阜県美術館 アートコミュニケーター ながら~
展示以外の美術館ネタを新聞にしている舟(チーム)も。
この号は、岐阜県美術館の敷地内にある、さまざまな「きのこ」にフューチャー。
岐阜県美術館 アートコミュニケーター ながら~

中嶋

今年度は1期メンバーにとって最後の年であり、私たちスタッフにとっても卒業のような「出港式」をする初めての年。どういう終わり方をデザインしていくか。任期が終わったあと、どう寄り添っていくか、いろいろ考えているところです。

9月30日からは開館40周年のメインとなる展覧会「前田青邨展」がスタート。中津川出身で、岐阜を代表する日本画家・前田青邨。日本画家という、敷居をフラットにするのが難しいテーマではありますが、~ながラーたちが、どんなプロジェクトを考えているのかも楽しみです!

(文:広瀬良子)

岐阜県美術館
住所岐阜県岐阜市宇佐4-1-22
開館時間10:00~18:00(展示室の入場は17:30まで)
休館日月曜(月曜が祝日の場合は翌日)
駐車場あり
アクセスJR「西岐阜駅」より徒歩15分、JR「岐阜駅」より岐阜バス
TEL058-271-1313

★2023年度~ながラーの募集は12月1日より開始

岐阜県美術館公式サイト

New Report

2026-01-28

TOPICS

古生物を身近に楽しむ「ポケモン化石博物館」1/17(土)~4/5(日)

人気ゲーム『ポケットモンスター』シリーズに登場するカセキから復元されるポケモン(以下「カセキポケモン」と呼ぶ)と、私たちの世界で見つかる化石や古生物を並べて紹介する展示会「ポケモン化石博物館...
蔵開き,日本酒,試飲,蔵元,常滑,愛知,2026

2026-01-26

TOPICS

常滑で2つの蔵開き「ねのひ蔵開き」2/14(土)、「白老酒蔵開放」2/21(土)・22(日)

知多半島を代表する老舗酒造「盛田」と「澤田酒造」で2026年2月、蔵開きイベントが開催されます。 創業360年を誇る老舗日本酒蔵元・盛田ではブランド酒「ねのひ」の蔵開きを2月14日(土...

2026-01-24

書店員の本棚

謎解き好き必見、おすすめの本3冊:体験型ミステリー専門書店「謎解き生活」(愛知県名古屋市)

名古屋・大須に2025年10月23日に誕生したミステリー専門書店「謎解き生活」は、全国でも類を見ない個性派書店として注目を集めています。東海エリア最大級の専門書店として、話題の新刊から貴重な...
三浦太郎,展覧会,刈谷市美術館,絵本,イベント

2026-01-22

TOPICS

「三浦太郎展 絵本とタブロー」1/31(土)~3/22(日)

2004年にヨーロッパで絵本作家としてデビューし、日本国内でも『くっついた』『ちいさなおうさま』などを発表してきた三浦太郎さん。優れたデザイン感覚やアイデアあふれる展開で読者を魅了する絵本は...

2026-01-18

シーズントリップ

愛知・岐阜・三重のおすすめ!冬のフォトジェニックスポット2026

イルミネーションや雪景色など、冬を満喫する愛知・岐阜・三重のフォトジェニックスポットを紹介! 湧水広場の氷瀑/愛知県豊田市 昼も夜も美しい!自然が織りなす氷のアート 豊田市...

2026-01-05

しょく育

器に自然の風景を表現!名古屋市千種区「雑貨と植物の店Kitowa」で盆栽作り体験

近年、世界的なブームとなっている盆栽。少し渋めな趣味というイメージが強かった盆栽も、いまでは若い世代にとっても身近な存在に。とはいえ、「盆栽って何を楽しむもの?」「どんなところに魅力があるの...

2026-01-02

HIROBAくんと行く

たくさんの猫がお出迎え!春日井市「玉野御嶽神社」で自然と猫に癒される参拝を

愛知県春日井市に“猫神社”と呼ばれる神社があるのを知っていますか?呼び名の通り、たくさんの猫たちがお迎えしてくれる神社なのです。 山奥の自然に囲まれ、神聖な空気感と愛くるしい猫たちとの...

2025-12-30

東海ムーブメント仕掛け人

竹あかりイベントでまちや人をつなぐ“循環”を生み出す!燈和・廣濱修平さんの挑戦

竹にさまざまな形の穴を空け、その中に入れたろうそくやライトがやさしく光る竹あかり。無数の竹あかりが集まり、生み出される空間は幻想的で、日本の和を尊ぶ心が呼び起こされます。 そんな竹あか...

2025-12-20

TOPICS

名古屋の夜を彩る「天空のSTAR ILLUMINATION」12/1(月)~2/28(土)

名古屋市中区の中部電力MIRAI TOWERにて、冬季イルミネーション「NAKED 天空のSTAR ILLUMINATION」が2025年12月1日(月)~2026年2月28日(土)に開催。...
竹灯り,犬山, 善師野,ライトアップ,イベント,2025

2025-12-04

TOPICS

竹あかりのナイトウォーキング「INUYAMA YOI NO MICHI」12/5(金)~1/31(土)

犬山市で、竹のライトアップで幻想的な時間を楽しむイベント「INUYAMA YOI NO MICHI」が2025年12月5日(金)~2026年1月31日(水)に開催されます。 期間中は、...

2025-11-29

TOPICS

廃線路と紅葉の絶景「愛岐トンネル群 秋の特別公開」11/29(土)~12/7(日)

庄内川渓谷に沿って1900年の開通当時のまま残されている愛岐トンネル群。普段は立ち入り区域となっているこの場所が、春と秋に一般公開されています。 秋は紅葉スポットとしても人気!「愛岐ト...
pagetop
もくじ