インタビュー・モノ

今、新たな鼓動をもって展開している「東海のものづくり」にスポットを当てて、作り手の想いやこだわりに迫ります。ものづくりの宝庫ともいえる、東海エリア。有名どころから知られざる逸品まで、掘り起こします。

前編はこちら
 
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妥協することなく、今の色に仕上がったのが販売の約1ヶ月前!
 
白泥土を素材に、つくり出された「TOKONAME」の6つの色合い。「TOKONAME」の最大の特長ともいえる淡くやさしい色味ですが、このトーンに至るまでは試行錯誤の繰り返しだったといいます。「土に色を混ぜていくのですが、思っていたより色のコントロールができない。キレイなパステルに仕上がらないのです。100gの白泥土に対し、色を加える%を少しずつ変えて試すも、つくりたい色に仕上がらない。土の専門業者に確認したら、白泥土にはチタンが入っているため、化学反応により発色しにくいことがわかった。そこでチタンを抜き、違う素材を補って白泥土をつくり直したが、今度は色が濃すぎる…。次に土が白くなる素材を調合するも、焼いてみると汚れがつきやすい。色のもとになる顔料の種類もさまざまあり、種類ごとに%を変えて焼いて…を繰り返していきました。色を濃くすることは簡単だけど、淡い色合いを出すのがとにかく難しかった!」。最終的に今の色に至ったのは、なんと「TOKONAME」 発売の1ヶ月前ほど!ギリギリまで粘っての、こだわりのカラーバリエーションなのです。
 

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型に流し込む前の、顔料が加えられた土を見せてもらいました!左が白、右がイエローです。

 

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手前が焼き上がり後、奥が焼く前。焼き上がると色が全然違う!たしかに、調整難しそうです…!

 
製陶所が型の制作も一貫して行なっているところは、現在ではほとんどありません。山源陶苑は型の制作から、デザイン、企画、成形、焼成、そして出荷まで自社で手がけていることでも稀な存在。「TOKONAME」の型も、ここで作られているのです!
 

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型の制作場所を見られるのが珍しく、遠方から仕組みを見学したいという人が訪れることも!

 

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これが「TOKONAME」のカップ用の型。土を流し込んで数時間おいてから、型から取り出します。

 
型から外したあとは、手作業。表面を滑らかに整えていくとともに、同じく型でつくった各パーツをつけていきます。
 

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ろくろに取り付け、丁寧に表面を整えていきます。

 

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注ぎ口の内側に付ける、茶こし。この部分に陶製茶こしを付けるのが常滑焼ならではの伝統で、おいしくお茶を淹れられる秘訣となっています。

 
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工房内では分業で制作を行なっており、鯉江さん、弟さんなど熟練の職人のほか、地域の主婦やおじいちゃん、おばあちゃんも働いている温かい雰囲気が魅力です。

 
優れた技術を生かすため、「伝えること」を更新
 
立ち上げのときから、「作ること」と「伝えること」を同じ価値として捉えていきたいと、思いを強くしていた鯉江さん。職人の世界では、優れた技術を持っていても、つくったモノをどう消費者にどう伝えるか?どう売っていくか?については、力の及んでいない場合は多々あります。そんな中、鯉江さんたちがどのように「伝えること」に取り組んでいったかというと――。まずは前編にも書いた、売り方のブランディング。自分たちのコンセプトを正しく伝える、売り方。そのため販売する場所も、自社が手がけるTOKONAME STORE内と自社オンライストアに限定しています(2016年9月16日現在)。
 

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TOKONAME STORE内の販売スペース。中央の机に「TOKONAME」シリーズが、そのほかの棚には山源陶苑による器や食品が並びます。

 

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TOKONAME STORE内のカフェスペースでは、「TOKONAME」のカップで珈琲がいただけます!

 
さらに、パッケージやコンセプトブック、ウェブ、写真など「TOKONAME」を取り巻くすべてのモノを同じ空気感でつくっていくことにもこだわりました。シンプルでありながら、新鮮さを保てるようなデザイン。多くを語らず、モノが主張できるような見せ方。ちなみに、パッケージの箱に使われている紙は、段ボールに高圧水蒸気をあてて制作。地元業者とともにつくり、当時まだどこも扱っていなかった新しい種類の紙。少しざらっとした手触りは、「TOKONAME」の器の質感を彷彿とさせます。パッケージを開けたときに商品の色が映えるよう、商品の包み紙には白く質感のある薄葉紙を選びました。「TOKONAME」の商品づくりをはじめ、パッケージ、コンセプトブック、ウェブ、写真も、鯉江さんたちプロジェクトチームが試みた“伝統を更新する”というキーワードを担っているのです。
 

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「地元を一度離れたことで、常滑市が焼き物で900年以上の歴史があるということがどれだけ誇れることなのかが、よくわかったんです」と鯉江さん。

 
「TOKONAME」の今後について尋ねると、「長く愛されるブランドにしたいというのが1番。釉薬をかけていないので使えば使うほど、味わいが増す。それは常滑焼全体の素材の魅力でもあるのですが。使うほどに艶がでて、色のトーンに深みが出てくるんですよ」。「TOKONAME」が常滑焼全体の魅力を伝える手段の1つになれば、と考える鯉江さん。また、モノづくりの新しい仕組みをつくったことで、今後、作り手の“新しいものを作りたい”という制作欲求の刺激になったり、作り手の活躍を応援する一端になれば、とも考えているそう。常滑焼の900年の歴史がこれからどう進化していくのか、楽しみですね!
 
前編はこちら
 
●「TOKONAME」は下記で販売されています。

・TOKONAME STORE(愛知県常滑市原松町6-70-2)
・TOKONAME ONLINE SHOP(https://tokoname.stores.jp/#!/
 
 

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