インタビュー・モノ

今、新たな鼓動をもって展開している「東海のものづくり」にスポットを当てて、作り手の想いやこだわりに迫ります。ものづくりの宝庫ともいえる、東海エリア。有名どころから知られざる逸品まで、掘り起こします。

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どこか懐かしさを感じるレトロなフォルムと温かみのあるやさしいオレンジの光――。一見、白熱電球を思わせるこの電球、実はLEDなんです!「日本の照明を”ほんの少し”良くしたい」。そんな思いで開発されたのが、この「Siphon(サイフォン)」。発案、開発に携わった株式会社ビートソニックの戸谷大地さんと山下千晶さんが、Siphonへの熱い思いを語ってくれました!
 
新たな市場への挑戦。選んだのはLED電球
 
愛知県日進市に本社を構える株式会社ビートソニック。20年以上にわたって、カーオーディオを専門に扱っており、ほかにもカーナビやアンテナなど、車に関するさまざまな製品を開発、制作している会社です。なぜ、そのような会社が照明器具を作ることになったのか――。「カーオーディオの市場に、閉塞感を抱いていて。会社としても、5年前あたりから、今までの経験を生かしたものづくりをして、新しい市場に挑戦したいと考えていました。ちょうど、LED電球の普及が増えてきた時期だったこともあり、やってみようと」。
 

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左が照明の開発や広報などを担当している山下さん、右がSiphon発案者の戸谷さん。たくさんの商品が並ぶショールームで話を伺いました!

 
カーオーディオを作ってきた株式会社ビートソニックには、電気回路を設計できるエンジニアが多く存在したため、自社でLED電球を開発し、市場に参入します。しかし、さまざまな商品を作ってはみたものの、なかなか売上が上がらなかったそう。そんな中、戸谷さんに「もっと光の色や雰囲気にこだわった電球を作りたい」という思いが芽生えます。
 
白熱電球が生み出す、温かみのある光を求めて
 
「ちょうど市場に間接照明やおしゃれな電球を求める機運が高まってきたこともあって。それならば、白熱電球の光をLED電球で再現できたら、インパクトのある商品になるんじゃないかと思ったんです」。そんなタイミングで出会ったのが、理想とする技術を持った台湾のメーカー。戸谷さんたちは「Siphon」開発への一歩を踏み出します。
まず、コンセプトに掲げたのは「光にこだわる人のための照明」。それは、一般の消費者だけではなく、照明のプロと言われる人たちが納得するものを作るということ。従来の白熱電球は、最大限に照らすと白っぽく光るが、調光して光を絞るとだんだんと赤みが増してくるのが特徴。「Siphonでは白熱電球の光を絞った状態を再現したかったので、オレンジがかった光になるよう何度も研究を重ねました」と語る戸谷さん。また、他社の製品にはない、徐々に光を落としたり上げたりできる“なめらかな調光”も、Siphonの大きな強み。そこが照明のプロに高く評価されており、全国の結婚式場やテーマパークなどでも重宝されています。

 
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電球を作る技術は台湾のメーカー、デザインやコンセプトは戸谷さんたちが提案し、「Siphon」が生まれました。

 

 
機能を切り捨てても、デザインを第一に優先
 
もうひとつ、戸谷さんたちがこだわったのがデザイン。一般的なLED電球は、半分程プラスチックカバーで覆われていて、その中で電気回路などを自由に設計できるが、戸谷さんたちは、全面ガラスにしよう!とデザインを重視することを決めます。その反面、小さな口金という金属部分の中で電気回路を設計するには制約が大きく、LEDが本来持つ機能をあきらめた部分も。「まず寿命。他のLED電球が3~4万時間もつように設計されているところ、Siphonはその約半分。ただ、1日8時間近く使用しても、4~5年はもつので、下手に外見を壊してしまうくらいなら割り切ろうと。デザインを重視するが故の制約は思ったよりも大きく、どの機能を残し、どの機能をあきらめるかという機能の取捨選択は、非常に悩み、苦労した部分でした」。
 

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こんな小さな口金部分に、たくさんの電気回路が詰まっているとは驚きです!

 
Siphonをよく見ると、ガラスの中にオレンジ色のフィラメントが縦に何本も並んでいます。「昔から使われている白熱電球に、このように細長いフィラメントが何本もついているものがあり、おもしろいなぁと!それがちょうど補助的な照明に使われていたこともあり、参考にしました」。このフィラメントが、Siphonが放つオレンジがかった温かみのある光の元なんですね。
 

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悩んだ結果、フィラメントは8本に。(※「Chindelier」のみ4本。)光がついていない状態でも、雰囲気のあるおしゃれなデザインです。

 
提供したいのは、モノではなく“体験”
 
「私たちが作って売っているのは電球だけど、使う人は自分の書斎を落ち着かせたい、お店を温かみのある雰囲気にしたいなど、“体験”にお金を出している。その思いを大事にしたいと思っていて。Siphonの光の中でくつろいだりリラックスして過ごしてほしい。モノではなく体験を提供しているという意識は常に持つようにしています」。今、リノベーションやDIYなどが流行する中、自分の暮らす空間にこだわる人に支持されているSiphon。「あるお客様に、LED独特の光が気に入らず白熱電球を使い続けていたけど、Siphonを見てからLEDに変える決心がついたと言われたことがあって。こだわった甲斐があったなと思いましたね」。
 
クラウドファンディングで支援を呼びかけ
 
Siphonが完成したものの、何か効果的な発表の仕方ができないかと考えていた戸谷さん。前職がインターネットマーケティング関連だったことから、海外で広く活用されていたクラウドファンディングに目をつけます。「いくらコンセプトや品質が良くても、普通に自社サイトで売るだけでは、商品を多くの人に知ってもらうまでに時間がかかってしまうかな、と。クラウドファンディングで支援を呼びかけることで、注目を集めるきっかけになるんじゃないかと考えました」。結果的に、戸谷さんの当初していた予想より10倍も上回る資金が集まり、一躍Siphonは話題に。多くの新聞やメディアに取り上げられ、全国の百貨店や雑貨屋での販売ができるようになったのです!
 

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こだわり抜いて生まれたSiphonは、我が子のように愛おしい存在。外出しても、店や施設でSiphonが使われていないか、確認してしまうそうです。

 
社員全員がアイデアマン!
 
発売当初は、Siphonの発案・開発だけでなく、プレスリリースやメディアの取材対応、ホームページやパンフレットのレイアウトまで全てを担っていたという戸谷さん。「僕は生産管理部門に勤務しています。うちの会社は、どの部署の人でも商品開発に関わってもいいという社風。やりたいと思うことがあったら、誰でも手を挙げていいんです」。社長自ら発案することもあるというから驚きです!「今も生産管理の仕事の傍ら、Siphonの新しいモデルや、別の新しい商品など日々開発を進めています。ものづくりの技術が会社の強みなので、ほかにはないようなオリジナリティのある商品をこれからも作っていきたい」。
 

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山下さんは、アイアン作家とコラボした照明器具を開発。女性らしい発想が生み出した音符がモチーフのランプシェードはたちまち人気商品に!

 
ほかにも、ガラス作家やアイアン作家とコラボレーションした照明器具を制作している株式会社ビートソニック。時には失敗もあるそうですが、面白い!と思えるものづくりに、社員全員で挑戦しています。これからも私たちが、あっと驚くような新しい商品を作り出してくれそうですね!
 
●Siphonは全国の百貨店、家電量販店、オンラインショップで販売されています。
http://www.only-1-led.com/shop_list/
 
●Siphon製品ページはこちら
http://www.only-1-led.com/siphon/
 
 

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