インタビュー・ひと

「こんなことしたらおもしろいかも!」を実現した人、また、東海エリアに新たな息を吹き込んだ立役者となる『仕掛け人』にインタビュー。仕掛け人の存在や想いを知ることで、イベントや場所がよりイキイキと目に映るはず!

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岐阜県瑞浪市。自然豊かなこの地域で最近、地域のお年寄りを中心に話題を呼んでいるのが移動スーパー「旨味屋号」です。生鮮から惣菜、お菓子まで、1台にぎっしり詰め込んでお客様のもとへ走る「旨味屋号」は、郊外で暮らし、買い物に不自由している人々を支援する目的でスタートしました。
この事業を行う株式会社旨味屋クラブは2017年7月で会社設立1周年を迎え、また、8月には3号車が新しいルート(瑞浪市稲津町、陶町、土岐市駄知町)を走ることが決まっています。取締役の三輪祐治郎さんと三輪晃治郎さんに、このビジネスを始めたきっかけや将来のビジョンについてお話しをいただきました。

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↑ 毎週月曜~土曜、瑞浪エリアを走行する移動スーパー「旨味屋号」。月・木曜は釜戸町、火・金曜は日吉町、水・土曜は瑞浪市街地を中心に巡回するといいます。(2017年5月現在)

― 移動スーパー「旨味屋号」の後をついて巡回させていただきました。ドライバーさんは朝11時から夕方4時頃まで1軒1軒、個人のお宅を中心にまわっているのですね。とても丁寧ですね。

祐治郎:ドライバー1人につき 1日に50人以上のお客様のもとへ商品をお届けすることを目指しています。計画段階ではドライバー1人が受け持つお客様の数は月曜から土曜まででトータル150人程度と予想していたのですが、現在、200人近くのお客様がついてくださっている状況です。お客様からお客様への紹介、もしくは、ケアマネージャーさんや民生委員さんから情報をいただいて、出向くこともあります。クチコミを中心に、これだけたくさんの地域の方に旨味屋号のことが伝わって、とれもうれしく感じています。

晃治郎:お客様の多くは地域でひとり暮らしをする70代、80代の方です。家からあまり離れた場所や坂の下に停車していたら、商品を買ったはいいけど重たくて持って帰れません。特に風雨の強い日や暑い日は大変ですから。1号車ドライバーの河合宏紀は、要望があれば家の玄関に商品を並べてあげたり、買い物袋を冷蔵庫の前まで持っていってあげたりすることもあるんです。

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↑ 兄の三輪祐治郎さん

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↑ 弟の三輪晃治郎さん

― おふたりのご実家は“元祖牛まぶし”で有名な料理店「みわ屋」。飲食業を55年間続けてこられて、どうして今、新事業として移動スーパーを始めたのでしょう?

祐治郎:「みわ屋」は祖父母の代から始まったのですが、店は伝統を受け継いで続けながらも、時代の変化に合わせて新しい事業展開ができないかと考えてきました。僕らは双子で、瑞浪市日吉町という郊外の街に生まれ育ったのですが、ふと、近所に暮らすお年寄りたちが「どうやって買い物しているんだろう」と気になりました。一番近いスーパーまで出るのにタクシーで片道2500円だなんて、気軽に買い物にも行けない。もっと買い物を楽しんで、毎日の食生活を豊かにしてほしいと考えたんです。

晃治郎:僕らの代で新しいビジネスを始めていこうと意気込み、経営大学院にも通いました。株式会社旨味屋クラブは社内の従業員としてのドライバーではなく、ドライバーが個人事業主として独立した存在であることを強みとしたビジネスモデルを構築しました。組織力を強くすることを目指しています。
「みわ屋」も「旨味屋号」も「食で人を幸せにする」という根底にある精神は共通しています。食べることで幸せになるということは、時代が進んでも変わらない。「食」の価値を、新しい業態でも広めていきたいと思いました。

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― 創業のときのチャレンジ精神が、かたちを変えて受け継がれているんですね。

祐治郎:田畑や川以外何もないところで商売を始めようと思い立ち、実際に行動に移した祖父母のことは本当に尊敬しています。店舗を切り盛りし、販路を拡大してきた両親の背中も見てきて、僕らもチャレンジせずには終われないと思いました。

晃治郎:2005年にみわ屋で販売を開始した「飛騨牛まぶし」のときも、「ひつまぶしなら知っているけど」と驚く方ばかりでしたが、移動スーパーも瑞浪市では初めての試みで、お客様も最初は恐る恐る近づいてこられた感じがします(笑)。

祐治郎:特に、郊外は都会に比べて保守的です。「なんじゃそれ」みたいなことを僕らもたくさん言われて、ビジネスモデルを否定されたこともありました。でも、めげずにやるしかない。父が「商売を楽しめ」と日頃から言うのですが、自分たちが考えたものがかたちになり、反響があることに、一番やりがいを感じています。

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↑ 瑞浪エリアで走る「旨味屋号」では「みわ屋」オリジナルの総菜も販売されています。なんと、毎日新商品が出るそうです!

― 今までにないことを始めるって、とても勇気がいりますが、乗り越えて楽しむことで商売のやりがいが生まれるんですね。地域へ貢献しながら、ボランティアではなくちゃんと利益を生み出しているところも、「旨味屋号」ならではですね。

晃治郎:そうです。ボランティアだと長続きしません。あくまでビジネスとして取り組むことで利益が生まれ、事業が拡大、持続していく。そうするとお客様のニーズにもどんどん答えることができる。それが僕らが考えたビジネスモデルの大きなポイントだと思います。

祐治郎:スーパーの代行業ではなく、本部、スーパー、そして個人事業主であるドライバーが完全に独立した関係にあるのが特徴です。朝、スーパーに立ち寄ったドライバーが自ら商品をセレクトして旬の食材や、今一番売れ筋の商品を選んで「旨味屋号」に積み込む。スーパーの委託業だと、これがやりにくいんです。僕たちが売るのはスーパーの売れ残りではない。お客様が一番欲しいと思うもの。だから、選ぶドライバーも責任感とやりがいを持ってできるし、お客様にとってうれしいものを積めば評判がよくなり、結果的にスーパーにもメリットがある。

晃治郎:そうそう。価格はちょっとだけ高めに設定しているのですが、お客様から不満が出たことはありません。それよりも「欲しいものを気軽に買える」ことに価値を見出していただけているんだと思います。

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― あくまでビジネスとして利益を上げることで、お客様も、ドライバーも、スーパーもうれしくなる。そして、地域がうるおう。素敵なビジネスモデルですね。8月末には3号車が走り出すそうですね。

祐治郎:はい。3台目が走ることで、瑞浪市全体がカバーできます。これだけお客様に「待っていてもらえる」商売は、なかなか無い。それが僕らがチャレンジし続ける原動力になっています。

晃治郎:走る車両の台数を増やすことで、買い物に不便している方を減らすことができます。僕らも、ドライバーと一緒に地域を巡回して感じるのですが、ひとり暮らしだと、おそらく1日のなかで「旨味屋号」のドライバーとだけ会話した、という方もいると思います。公園や集会所に停車するときなど、お客様同士の会話が弾んでいるのを見るとうれしくなります。買い物を通じたコミュニティがもっともっと広まることを願っています。

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