インタビュー・モノ

今、新たな鼓動をもって展開している「東海のものづくり」にスポットを当てて、作り手の想いやこだわりに迫ります。ものづくりの宝庫ともいえる、東海エリア。有名どころから知られざる逸品まで、掘り起こします。

もうすぐ春、色とりどりの花が咲く華やかな季節だからこそ、暮らしのなかに花を飾りたいという人も多いと思います。そんな時に、花の美しさを引き立たせるインテリア鉢があるとうれしいですよね。今回紹介するのは、愛知県西尾市でつくられている「スーナポット」。鋳物づくりで使われる、砂製の型“中子(なかご)”を再利用してつくられるエコロジーなインテリア鉢です。
 


↑植木鉢としてだけでなく、造花などを飾るアイテムとしても使えます。

 

見て、触れて、持って驚く「砂の鉢」

 
一般的なインテリア鉢といえばプラスチックや陶器が挙げられますが、「スーナポット」は砂が原料。その特長は、触れることですぐに実感! ざらっとした触り心地はアンティーク雑貨のような風合いで、表面をじっくりと見ると砂が密集することによりできるぽつぽつとした凹凸があり、天然石を削ったかのようなナチュラルな質感。シックな色合いの表面は所々きらきらと輝いており、モダンな上質感が漂っています。さらに、陶器製と比較して軽いので、 部屋の模様替えや掃除の際に手軽に持ち運ぶこともできます。
 


↑大きさ・フォルムのバリエーションもいろいろ!

 
「スーナポット」の原料である砂は、鋳物の製造工程で溶かした鉄を注ぎ込む型の一種である“中子”をリサイクルしたもの。砂でできている中子は、1回の鋳物製造を終えるとさらさらとした砂に戻り、一般的には廃棄されています。
 
「スーナポット」は鋳物メーカーから譲り受けた砂をもとに、樹脂を加え固めて製造。砂と聞くと水に弱いイメージがありますがご安心を! 耐水性のある樹脂を用いているので、屋外に置いてもOK。また、砂同士を結合していることから、所々細かな隙間があるため通気性もあり植物の根腐れを防いでくれるので、インテリア鉢としての機能はバッチリです。

 

↑砂には鋳物の微粉も混ざっているので、光の当たり具合で表面がキラキラと輝きます。

 

鋳物づくりの名脇役に光を当て、主役にプロデュース

 

この独自製品を開発・製造しているのは愛知県西尾市にある中子メーカー「SRサービス」。「スーナポット」開発の根底にあるのは“もったいない精神”にあると同社の伴千寿樹さんは話します。
 
「当社は2008年に市内の老舗中子メーカーから独立して設立されました。中子メーカーとして活動する一方で、掲げていた目標が『リサイクル事業の展開』。役割を終えた中子の砂を何とか活用したいと思い、日々開発のヒントを探っていました」。
そんななかで伴さんが着目したのが、暮らしを彩る身近なアイテムであるインテリア鉢でした。
 

↑「スーナポット」開発当時を振り返る伴さん。
 

中子一筋のメーカーが挑戦するインテリア鉢づくり。伴さんは中子職人とともに一から開発に取り組みました。
「鉢屋さんに教わりながら試作を繰り返しました。ただ、これが奥深い。砂に混ぜるフェノール樹脂の割合といった製造工程だけでなく、市場に流通するインテリア鉢について勉強し多くの人に受け入れられるデザインを追求。1年半の開発期間を経て納得のいく製品に仕上げました」と伴さんは当時を振り返ります。
 

↑「スーナポット」を形づくる型の形状、砂と副材料の割合など、機能とデザインの両立にこだわっています。
 

女性スタッフのアイデアが、鉢の魅力を一層高める

 
2015年に販売を開始した「スーナポット」。自分で好きな植物を植えるのもいいですが、観葉植物や多肉植物の造花をあしらったアレンジメントフラワー「スーナフラワー・スーナグリーン」も人気を集めています。
「『スーナポット』と造花の組み合わせは女性スタッフのアイデアがもとになっています。普段花を扱わない人でも親しみやすいと好評です。こうした形を通じて、中子を再利用した『スーナポット』や中子メーカーの存在を一人でも多くの人に知ってもらいたいですね」と伴さんは製品に込めた思いを話します。
 
職人やスタッフそれぞれの知恵が結集し、世の中に少しずつ広まっていく「スーナポット」。後編では、中子の製造技術が散りばめられた「スーナポット」の製造現場と、伴さんが思い描く製品の将来像をご紹介します。お楽しみに!(後編は3月19日アップ予定)
 

↑「スーナフラワー・スーナグリーン」は女性スタッフの手づくり。製品一つひとつに温もりが込められています。
 
後編はこちら
 
(写真:西澤智子、文:西村友行)
 
 

SHARE

  • Facebook
  • Twitter
pagetop