体験

「しょく」=食、職、触。さまざまな情報を手に入れることがたやすくなった今の時代においても、生の体験、実際に自分の手で触れることを大事にしていきたい。1人でも、友人やお子さんとでも。「触れる」魅力を宝物に。

岐阜県山県市で主に栽培されている渋柿、伊自良大実柿(いじらおおみがき)。11月上旬から収穫がはじまり、11月中旬から下旬にかけて軒先に吊るされる鮮やかなオレンジの柿が山県市の秋の風物詩となっています。
一般的な柿よりも少し小ぶりで細長い伊自良大実柿は、皮をむく作業もひと苦労。地元では昔から愛される柿むき用のカンナもあるんだそうです。今回は、柿むきカンナ職人の梅田弘司さんのもとを訪ね、伊自良大実柿の干し柿づくりについて教えてもらいました。

 

柿むき用のカンナはこちら。竹を細く割って1ヶ月ほど乾燥させてから、柱時計に使われていたゼンマイをカットした刃をつけていきます。もともと梅田さんの父親が昭和初期頃からつくっていたそうですが、平成元年に亡くなって以降、まわりの要望もあり、家に揃っていた道具を使って梅田さんが試行錯誤してつくるようになったのだそう。

 

 

すべて梅田さんによる手仕事。1年ほどで切れ味がわるくなってしまうため、使う人は毎年この季節になると新調するのだそう。

 

 

かなづちで歯先を斜めに整えてから、本体に取り付けます。

 

 

むつかしいのが歯の勾配。角度によって切れ味が変わるそうです。

 

干し柿づくりも、少し見せてもらいました。皮のむき方にもコツがあるとのこと。まずヘタのまわりを2周むいてから、縦にむいていきます。その際、柿を動かすようにするとむきやすいのだとか。

 

 

皮をむいたら、串に3つずつ刺していきますが、ポイントは両端の柿から串がはみ出ないようにすること。そのため串は5寸、5.5寸、6寸と3種類あります。

 

 

3つ横並びに串に刺した柿を、わらで縦に10個つなげたのを1連と数えます。このスタイルは、昔から伊自良地区で伝承されていた方法。3つは親子孫を意味し、子孫繁栄を願ってのものだそう。柿をよく見るとヘタが少し高い側があり、そちらを「おもて面」として、すべての柿の面を揃えて連ねるのだそうです! 細やかなところにまで伝統が息づいています。

 

 

この後、室内に入れて柿の表面にわらで傷をつけて白い粉をだし(これが糖分となり、甘さが増します)、外に出す…という作業を3~4回繰り返して、干し柿の完成。12月中旬頃に山県市の直売所などに出回ります。

 

11月25日(日)には、山県市で連柿(干し柿)の魅力に触れられるイベント「連柿の郷ふれあい秋まつり2018」が開催。ちょうど山県市では連柿の風景が見頃となる時期。秋の風物詩を楽しみに出かけてみては。

 

(文:広瀬良子)

 
 

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