インタビュー・モノ

今、新たな鼓動をもって展開している「東海のものづくり」にスポットを当てて、作り手の想いやこだわりに迫ります。ものづくりの宝庫ともいえる、東海エリア。有名どころから知られざる逸品まで、掘り起こします。

前編はこちら
 

暮らしの中で質のいい音楽を気軽に楽しめるよう製作された「Clappin Jam(クラッピン・ジャム)」。手掛けるのは愛知県半田市にある木工工房「Clappin Jam Wood」の原田佳文さん。前編では原田さんのスピーカー作りのルーツや、製品へのこだわりを紹介しました。後編は、「Clappin Jam」の製作現場に潜入!心地よい音色を生み出すためのこだわりを見学してきました。
 


↑iPhoneを差し込むだけで、深みのある音色を楽しめるウッドホーンスピーカー「Clappin Jam」。

 

工房にはお手製の道具がずらり

 

全ての工程を手作業で行う原田さんの作業場には大きな機械のほかにもたくさんの道具があります。壁に所狭しとかけられている道具は冶具(じぐ)と呼ばれるもの。部品を正確に切り出すために使われる木製の道具で、製品をつくる際の型紙のような役割をします。「冶具は木工製品を作るために一番大事な道具です。冶具があるから同じ形の部品を量産することができるんです」。

 


↑作業場で「Clappin Jam」の製作工程や素材について教えてくれた原田さん。
 

↑壁にかかっている冶具は、作りたい部品に合わせて原田さんが手作りしています。
 

↑大きな木材から部品ごとに切り出していきます。ここでも正確さが大切!

 

曲線や厚みにこだわって音色を追求

 

「丸い木材を単純に4等分にしていると思われるんですが、実際は側面の曲線も計算して切り出しています。曲線部分が長すぎると音がぼやけてしまうんです」。さらに、原田さんはプライウッドの厚さを自身で圧着しながら調節。厚みも音色に影響するんだそうです。「音への影響が第一ですが製品の強度と見映えの良さも考えて、今の厚さに落ち着きました」。曲線や厚みの部品のわずかな差でも奏でる音に微妙な違いが生まれるため、一番いい音となる状態を徹底的に追求しています。

 


↑内側に向かって施されたカーブにより、断面にも表情が生まれます。

 

木目の美しさを引きたてる光沢感をプラス

 

『Clappin Jam』はレオとブラックチェリーの天然木突板仕上げ。「レオは、ニューギニアでしか採れないクルミの木、別名ニューギニアウォルナットとも言います。珍しい縞模様とサテン生地のような光沢があるんです。ブラックチェリーは時間が経つと飴色に変化して味わいが増します」。木目を最大限に美しく見せるため、塗装は2~3回。3分艶と言われる光沢加減にしているそう。「刷毛塗りだと塗り跡が残ってしまうので、塗装は吹付けで行います」。吹付けで使用する塗料は半分ほど空中に飛散。作業は苦労しますが、美しい仕上がりを求めるからこそのこだわりです。

 


↑原田さんが使用している突板。裏面に和紙を貼ることで強度を上げ、加工がしやすくなります。(手前:裏面 奥:表面)
 

↑左がブラックチェリー、右がレオを素材に。ひとつひとつ木目の表情や色が違い、好みに合わせて選べます。
 

個体差をできるだけなくし、オンリーワンの商品を

 

原田さんが一番こだわっている工程は磨き。「木目の表情が違うからこそ、できるだけ仕上がりに差ができないよう気をつけています」。磨きの作業は、塗装加工をする前にも行い、突板や木材の地肌の毛羽立ちをなくすのだそう。手触りで塗装の重なり具合を確認しながら、磨きの回数を判断するという原田さん。塗装後はひたすら磨き、滑らかで納得できる仕上がりを目指します。「一番疲れるし、一番時間のかかる作業ですが、磨けば磨くほど製品がよくなっていく気がします。地味ですがとても大切な作業です」。

 


↑磨きをすることで加工前(手前)よりも木目が美しく見えます。
 

↑塗装前には、サンドペーパー(紙やすり)で角の面取りをします。取りすぎるとぼてっとした印象になってしまうので、角はないが丸すぎない塩梅に。
 

原田さんの職人技と、製品のクオリティへのこだわりにより生まれた「Clappin Jam」。「私にとってはたくさんの商品のうちの1つでも、お客様にとっては手に取ったものが唯一の商品。作り手との距離が近い製品だから、お客様にこんなものかと思われないように丁寧さにはこだわっていきたいです」。売れ筋のS・Lは持ち運びにも便利で、アウトドアでも大活躍。毎日の暮らしの中で、心地よい音楽を楽しんでみては。

 
(写真:西澤智子 文:堀絢恵)

 
 
 

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