インタビュー・モノ

今、新たな鼓動をもって展開している「東海のものづくり」にスポットを当てて、作り手の想いやこだわりに迫ります。ものづくりの宝庫ともいえる、東海エリア。有名どころから知られざる逸品まで、掘り起こします。

前編はこちら
 

明治41年に三重県津市で創業。明治時代から大正、昭和初期頃までタオルといえば“おぼろタオル”といわれるほど一世を風靡し、今なお多くの人に愛されるタオル。
後編では、創業以来変わらぬ製法により自社工場でタオルを一貫生産する「おぼろタオル」の製造現場に潜入。薄手で軽く、肌触りがよく、乾きやすい。使い心地にこだわったタオルの秘密に迫ります。

 


↑水にぬらすと図柄がはっきりと浮かび上がる「おぼろタオル」。

 

目の届く範囲で、思うようなタオルを作りたいから

 

分業で行なうことが多いタオル製造ですが、「おぼろタオル」は自社工場での一貫生産。製織をはじめ、不純物を取り除いて漂白する工程、染色、切断、タオルの両端にミシンをかける工程など、その作業は多岐に渡ります。その根底には創業当時から、“自分たちの目の届く範囲で、自分たちの思うようなタオルを作りたい”という思いがあったのだそう。

 


↑こだわりは一般的なタオルの半分以下の細い糸で織っていること。作業効率が悪くコストもかかりますが、使い心地を追究するからこそ。

 


↑大きな織機でタオルを織っていきます。

 

↑製織した後、タオルの両端にミシンをかけていきます。

 

吸水性を高めるため、製織した後に晒し(さらし)工程を

 

細い番手の糸を使っていることのほかに、もう1つ特徴的なのが、織物や糸から不純物や糊を取り除き、白く漂白する晒し(さらし)工程を、製織した後に行なっていること。糸の状態で晒し工程を行なう産地もあるなか、後晒し製法にこだわることで、綿本来が持つ高い吸水性を最大限に引き出しています。

 


↑2日間かけてしっかり洗う晒し工程で、新品の状態でも肌触りや良く、吸水性が抜群です。

 


↑1枚1枚の大きさに切り離したタオルの切断面を手作業で縫製していきます。

 

ボリュームがあっても乾きやすい「おぼろ百年の極」

 

「お風呂あがりに使えるような、もっと吸水量があってボリュームのあるタオルが欲しい」。そんなお客さまの声をもとに生まれたのが、2017年に発売した「おぼろ百年の極」。
 
ボリュームと給水量をあげるためにどうすればいいか。タオル表面のループ状の糸を太くすれば叶うけれど、それではタオル自体が重くなり乾きづらくなってしまう。そこで取り入れたのが、おぼろタオルが昔から行なってきた、細い糸を2本引きそろえてパイルを出すという独自の技術です。

 


↑「おぼろタオル」や「おぼろ百年の極」の製法について話してくれた広報の森田壮さん。
 

目指したのは、肌にあてた瞬間に水分が吸収される肌心地

 

「2年にわたる『おぼろ百年の極』の開発で最も苦労したのが肌心地でした。肌についた水分を拭くという感覚ではなく、肌にあてた瞬間にタオルに吸収されて水分がなくなるような心地良さを追求したかったんです」とは森田さん。

細い糸を2本引きそろえてパイルを出すだけでは、今までのおぼろタオルの拭き心地をさらに超えるというインパクトに至りません。そこで、糸とタオル両方の加工方法を見直すことに。社内にいる技術者全員が集まって研究開発を重ね、ある加工を施した糸で織り上げたタオル生地に独自の加工処方で通常の晒しに更にひと手間加えることで今まで以上の吸水性や速乾性、さらには軽量感も満足できるタオルが仕上がりました。
 


↑まさに、極上の肌心地!「おぼろ百年の極」。

 

↑ハンドタオル、フェイスタオル、バスタオルで展開。

 


↑「顔専用 専顔(せんがん)タオル」は、その軽さに驚き! 肌にやさしいことから「おぼろ百年の極」とともに日本アトピー協会推薦品にも選ばれています。

 

景品やギフトなどでもらう機会の多いタオルですが、そんな“もらう時代”を経て、最近は“自分で選んで使う時代”へとシフトしつつあるよう。
毎日使うものだからこそ、肌心地が良いというささやかな積み重ねが、暮らしを贅沢にしてくれそうです。
 
(写真:西澤智子 文:広瀬良子)

 
 
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