インタビュー・モノ

今、新たな鼓動をもって展開している「東海のものづくり」にスポットを当てて、作り手の想いやこだわりに迫ります。ものづくりの宝庫ともいえる、東海エリア。有名どころから知られざる逸品まで、掘り起こします。

手間をかけずに美味しい料理ができたら…。そんな主婦の願いを叶える、蓄熱調理と無水調理の機能を持ち合わせた土鍋「best pot(ベストポット)」が2018年4月に発売されました。手がけるのは三重県四日市市にある「MOLATURA(モラトゥーラ)」。地場産業である萬古焼と鋳物を掛け合わせてつくられる「best pot」はどのように生まれたのでしょうか。

 


 

強みである削り技術を生かして

 
「MOLATURAは“空気以外なんでも削ります”をモットーにモーターやロケット部品などを切削加工する中村製作所の自社ブランドとして立ち上げました」。そう話すのは、MOLATURA 代表の山添卓也さん。リーマンショックで売上がダウンしたことをきっかけに、中村製作所の強みである削りの技術を生かした自社ブランドは、「best pot」以前にチタン製の印鑑「SAMURA-IN」も開発しています。

 

↑「消耗品のようなものではなく、大切に使っていただけて喜んでもらえるものをつくりたいんです」と話す、MOLATURA代表の山添さん。

 

地場産業、萬古焼とのコラボレーション

 
「『best pot』は『SAMURA-IN』のプロダクトデザインを担当していただいた岡田心さんの紹介で、当初美濃焼メーカーと協力して開発を進めていました」と山添さん。しかし美濃焼は直火で使用すると、割れてしまうことも。そこで直火に強く、日本の土鍋の約80%を占めている四日市の萬古焼とコラボレーションすることに。

 


↑美濃焼で試作した第1号。この頃は1人用サイズで制作していました。

 

蓄熱調理を可能にする構造の秘密

 
「best pot」の形状で特徴的なのが、約200℃まで温度を上げることができる二重構造と羽釜(はがま)形状。二重構造で熱を保持し、15分強火で煮込めば火を止めた後も熱が入る蓄熱調理を可能に。朝、食材を入れ沸騰させて火を止めておけば、夕方には煮込み料理が完成します。「best pot」で調理したスープは3時間放置しても、60℃ほどの温度をキープすることができるんだそうです。
また、鍋にまんべんなく熱を伝える羽釜形状で食材に火が入るスピードを速め、家事時間を短縮。切削加工で密閉性を高めているので素材の栄養分と旨味を逃がさない無水調理にも使用できます。

 


↑「best pot」の断面。二重構造だからこそ生まれる両サイドの空間が特徴的。
 

↑「best pot」の特殊な羽釜形状鍋。
 

↑食卓にそのまま置ける美しいデザイン。

 

体験型イベントで魅力伝える

 
現在「best pot」は飲食に関するイベントを企画している食トレンド発信メディア「おうちごはん」とタイアップしたワークショップイベントを不定期で開催。参加するのは、主に「おうちごはん」ユーザーの主婦や大学生たち。「best pot」を使ったご飯の炊き方をレクチャーして魅力を伝えています。「スープや角煮なども作れる蓄熱調理の利便性を体感してもらいっています」。実際に製品を使って食べてもらうことで、商品の魅力を伝えていきたいと話す山添さん。

 


↑山添さん一押しメニューはご飯。味覚センサー分析によると、炊飯器より旨味と旨味コクがあり、苦みと渋みが低いという数値に。
 
利便性とデザインにより料理の幅が広がる「best pot」。後編では製造現場に潜入。旨味を逃さない密閉性を実現する技術力や素材へのこだわりを紹介します。

 
(写真:西澤智子 文:堀絢恵)
 
 

後編はこちら
 

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