体験

「しょく」=食、職、触。さまざまな情報を手に入れることがたやすくなった今の時代においても、生の体験、実際に自分の手で触れることを大事にしていきたい。1人でも、友人やお子さんとでも。「触れる」魅力を宝物に。

 
2016年に大ヒットしたアニメ映画「君の名は」を機に注目を浴びた「組紐」。その歴史は古く、奈良時代に大陸から日本に伝わってきたのだそう。古来から仏具や武具の装飾に用いられ、今もなお和装の帯締めとして使われています。東京、京都とともに三大生産地として発展したのが三重県伊賀市。組紐技術を使ったさまざまな挑戦をしている「松島組紐店」の工房で組紐体験ができると聞き、でかけてきました!
 

↑寄棟屋根が立派な「松島組紐店」の工房。
 

老舗組紐店が挑む、新しい組紐の魅せ方

 
伊賀市の小路を抜けてたどり着いたのは、空き家になっていた古民家を改装した趣ある工房。その昔、屋根裏で養蚕をしていた建物なんだそう!絹糸を材料とする組紐。ものづくりの縁を感じながら体験ができます。
 

 
今回お邪魔した「松島組紐店」は、1932年創業の老舗。かつて100軒近くあった伊賀の組紐店は、今では25軒ほどに。「私たちは量産ができる“機械組み”と、伝統的な技法の“手組み”の両方をバランスよく生産できるのが強みですね」と伝統工芸士である3代目の松島俊策さんは話します。そんな父の背中を見て育ったのは4代目となる健太さん、康貴さん兄弟。専門学校でデザインを学んでいた次男の康貴さんは、前職から松島組紐店に戻り、新しい視点で組紐技術を使った斬新かつ先進的な挑戦を行っています。
 

↑3代目の松島俊策さん(右)、息子さんの康貴さん(左)。
 

↑BEAMS JAPANとコラボしたBEAMSカラーのキーホルダー(一番手前)。※現在は販売していません
 

↑LEXUS NEW TAKUMI PROJECT 2018で制作に取り組んだ時計バンド。※受注製造販売
 
組紐というと帯締めが一番に浮かんできますが、視野を広げると用途はさまざま。現在は画家と一緒に個展の企画をしているんだとか。組紐の新しい可能性を知って、より体験が楽しみに!
 

映画のシーンにも登場した丸台を使って、組紐を体験!

 

 
組紐の歴史や魅力を教わったところで、早速、体験させてもらいます!
通常は5名以上からの受付で、体験に訪れるのは女性がほとんどなのだそう。
体験するのは、最も歴史深く初歩的な道具「丸台」で行う手組み。映画「君の名は」でも登場しましたね。「8玉金剛組」と呼ばれる、糸玉を8玉使った「金剛組」という比較的簡単な組み方を教えてもらいます。ちなみに、組み方の種類は数え切れないほどたくさんあるのだとか!
 

↑丁寧に組み順を教えてもらいます。
 
自分から見て、奥に置かれた縦向き糸の右側と、手前にある対角線上の糸を持って時計回りにくるり。横になっている糸2本を超えたら、残された縦の糸の手前に置きます。次は横向きの糸で同じことを行い、次は縦…と繰り返します。慣れないうちは少し混乱気味…!
 

↑次に動かす糸がわからなくなってしまわないよう、十字の配置を保つように整えます。
 

↑ここでポイント。「糸玉と丸台の中心にぶら下がる袋は、鉛でできた重り。この重さで紐が程よく締められるので、力は入れないように」。
 

↑組んでいると糸が短くなり糸玉が上がってくるので、時々糸を延ばします。
「スルスル~っと糸玉を回す感覚が心地いいのか、みなさんやたらとやりたがるんですよね」と康貴さんは笑います。
 

↑組んだ紐が下に見えてきました!もう少し!
 

完成!
体験では、組んだ紐をブレスレットもしくはキーホルダーにしてくれます。
伝統工芸品と聞くと和のイメージが強いですが、色合いや組み方によっては普段の洋服にもピッタリのアクセサリーに。「力の入り具合やスピードなどによって、仕上がりに組む人の性格が出るんです。出来上がりの表情がそれぞれ異なるのも、面白いところですね」。
 

↑高台で組むことによって複雑な柄を表現することも可能。
 
後継者の減少は否めないながらも、若い風が伝統を新たな境地に運び、挑戦的な取り組みを行っている伊賀の伝統工芸「組紐」。手軽にできる体験から、組紐の魅力を感じ取ってみてはいかがでしょうか。
 
 
(写真:岩瀬有奈 文:佐藤奈央)
 

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