インタビュー・ひと

イベントやスポットなど、新たなムーブメントの「仕掛け人」にインタビュー。


↑美濃加茂市で一緒に暮らしている双子のヤギ、みみ・ももとの散歩が息抜きのひとときだという加藤さん。
 
名古屋から車で1時間ほどの場所にある岐阜県美濃加茂市。都会の喧騒とは一線を画し、心安らぐような時間が流れるこの場所を拠点に、地域活動に取り組んでいる加藤慎康さん。加藤さんは、地元の名古屋で「街がまるごとキャンパス」をコンセプトに誰もが学びを深められるNPO法人大ナゴヤ大学を創立。2014年以降は、美濃加茂市で地域住民たちとまちづくり活動に奮闘。それまで住んでいた名古屋から美濃加茂市蜂屋地区に居住を移し、2019年、さらなるまちの活性化のため、木曽三川電力みのかも、カモケンラボという2つの会社を立ち上げました。地域に根ざし、精力的に活動を続ける加藤さんに話を伺いました。
 

― 美濃加茂市のまちづくりに携わって5年後に、現地に移住されたんですね!移住の理由は何だったんでしょう?

 
加藤:美濃加茂市役所の方々がまちづくりに意欲的なところに魅力を感じたのが理由のひとつです。新しい分野に積極的にチャレンジしていくその姿勢に、胸が熱くなりました。また、美濃加茂市は木曽川の中流辺りに位置しています。私の拠点だった名古屋市は木曽川の下流。上流や中流の発展は、下流の名古屋市にもポジティブな影響を及ぼします。下流の都市と上流・中流の地域が連携して発展してこそ、持続可能な社会が実現できる。美濃加茂市は流域連携の重要拠点になると考え、思い切って移住しました。
 

― 実際に美濃加茂市に住んでみていかがですか?

 
加藤:ほどよく都会で、ほどよく田舎。住み心地がよく、ゆったりとした時間が流れるように感じます。私はそれを“ミディアム・スロー”と呼んでいます。落ち着いた時間を過ごせるのは、美濃加茂市の魅力のひとつです。さらに、地域の方々が温かく見守ってくれて楽しく過ごせています。
 

↑気さくで朗らかな加藤さん。熱い思いを持ってまちづくりに取り組んでいます。
 

― 美濃加茂市でまちづくりの活動に携わったのち、自身で会社を立ち上げたのには理由が?

 
加藤:官民一体で地域活性を行うにあたって多くの課題があることに気づきました。ひとつは、活動資金の創出。そのためには、地域内で経済を循環させる仕組みが必要です。木曽三川電力みのかもは、地域で支払われる電気料金の利益の一部を地域に還元する地域内循環を目指すべく立ち上げました。社会を豊かにするために“新しい地域”の形をつくりたいんです。美濃加茂市全体の電力代は年間約80億〜100億円。今まで市外の大手電力会社と契約していた方や企業が地域の電力会社を利用することで地域の活動資金の流れができれば、地域活性の大きなエンジンになります。
 

― まちづくりの基盤をつくるための事業なんですね。同年にはカモケンラボという別会社も設立されていますが……?

 
加藤:地域内で資金を循環させるためには、行政と民間の連携が必要です。カモケンラボは、美濃加茂圏とその周辺地域の活性化に挑む地域商社として設立しました。まずは、美濃加茂市の里山を生かして、企業と周辺住民の交流を築くこと。たとえば、企業のノウハウを生かして、従来のSTEM教育(Science:科学、Technology:技術、Engineering:工学、Mathematics:数学)に、Art:芸術・デザインの思考を加え、周辺住民を巻き込んで「里山×STEAM minokamo2030」プロジェクトを実施しています。
 

↑地域の学校で「里山×STEAM minokamo2030」を開催しているひとコマ。誰もが熱心に取り組んでいる。
 

― 「里山×STEAM minokamo2030」プロジェクトでは、これまでどんな取り組みを行ってきたのですか?

 
加藤:「里山×STEAM minokamo2030」は、美濃加茂市の里山をフィールドに地元の小学生~大学生と地域の問題を発見し、解決するための方法を考えることで、創造をカタチにする力を養うプロジェクトです。最近では、田んぼで無農薬栽培するための取り組みを地元の高校生と考えました。古くからアイガモを田んぼに放すことで雑草を食べてもらう農法があることをヒントに、ホーバークラフトのような機械が水面を泳ぎながら自動で雑草を認識して除草を行うのはどうか?など、高校生たちからは多彩なアイデアが続々と出てきます。子どもや若い世代の好奇心を未来につなぐことが、地域・社会のさらなる発展に必要だし、こうした取り組みを通して、地域に愛着を持ってもらいたいという気持ちもあります。
 

― 「里山×STEAM minokamo2030」プロジェクトでは、これまでどんな取り組みを行ってきたのですか?

 
加藤:「里山×STEAM minokamo2030」の里山体験の拠点として機能させたいです。また、地域住民が誰でも気軽に交流できる憩いの場にしたいという思いもあります。
 

↑購入した空き家は里山にあり、3000坪もの広さ!名前は「シンヤス村(仮称)」。まさに“ミディアム・スロー”を実感できる場所です。
 

― まちづくりにおける多岐にわたる取り組みの中、加藤さんの今後の展望を教えてください。

 
加藤:地域住民と企業、地域を結び付けるような美濃加茂市での私の活動がロールモデルとして確立し、他の地域に伝わっていけばとても光栄です。2020年8月にオープンした「まちベンチ 美濃太田ラボ」は、美濃加茂市に愛着を持ってもらうための新たな拠点。電動自転車のレンタサイクルや、美濃加茂市の歴史的な場所を巡るサイクリングコースの紹介をしたり、地元食材を使ったソフトクリームの販売も。オープンして間もないですが、地元の方がミーティングの場として活用してくれたり、地元の小学生たちが新しいソフトクリームのアイデアをたくさん出してくれたり、地域に根ざしたラボとして早速機能しています。まちづくりのために、今自分ができることは何かをあらゆる視点から考え、今後も地域のために活動していきたいです。
 

↑木曽三川電力みのかもとカモケンラボの拠点でもある「まちベンチ 美濃太田ラボ」。JR美濃太田駅前にあり、地域住民や観光客などさまざまな人が交流できる場所です。
 

↑「まちベンチ 美濃太田ラボ」にあるアイデアボード。小学生が自由にソフトクリームのアイデアを書き込んでいます。
 
 
(文:青野凌)
 

 

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