イベントやスポットなど、新たなムーブメントの「仕掛け人」にインタビュー。 インタビューグルメ名古屋昭和区


 
名古屋市千種区の自由が丘に、テイクアウト専門のカレースタンド「ヤオキチ」が2021年1月にオープン。なんと経営陣が全員大学生!屋外での飲食が楽しめるようピクニックグッズを貸し出したり、飲食業界を盛り上げようと出店料無料でイベントスペースを貸し出したり、柔軟で若い世代に支持されるアイデアが光ります。大学生でありながらも事業への本気度はかなりもの。今回はそんなヤオキチ代表の吉田泰翼さんに、立ち上げやヤオキチのビジョンについて話を聞きました。
 

 
― 大学生の吉田さんがヤオキチを立ち上げようと思ったきっかけは?
吉田:
 コロナ禍で学校の授業がすべてオンラインになり、それまで友達と遊んでいた時間がぽっかり空いてしまって。「どうせ時間があるなら、本気で何かに挑戦したい」と考えるようになったんです。
 
― そこでたどり着いたのが、カレースタンドだった?
吉田: 
ちょうどその頃、行きつけの飲食店が閉店してしまったり、経営に苦しむ飲食業界の話を聞いたりして、「おいしいものが食べられる場所」が減っていくのは悲しいなと思っていて。実家が八百屋を営んでいたこともあり、小さい頃から身近にあった「おいしいものを食べる幸せ」を、自分も伝えたることができないか。そこで、実家の八百屋のおいしい野菜を使ってどんな世代にも愛されるようなカレーをつくろうと考えました。
 

↑立ち上げ当初は、実店舗は持たずInstagramで注文を受け、デリバリーのみで営業していたそう。
 

― 運営メンバーが全員大学生というのも話題ですが、メンバーはどのように集まったんですか。
吉田: 
私と副代表の若山はとあるイベントに参加した際に出会って意気投合。もともと好きだったアパレル領域で“世の中を面白く仕立てる”というコンセプトの会社を立ち上げ、洋服のデザインや販売をしていました。そのコンセプトを生かして「何か面白いことができないか」とメンバーで話していくうちに、カレースタンドのアイデアが上がりかたちにしていくことに。そして徐々に他のメンバーがジョインし、今は経営陣3人、マネージャー2人、バイトスタッフ7人で営業しています。立ち上げから半年たらずで実店舗を持つことが叶いました。それもコロナ禍で時間が余った大学生のメンバー4人でフルコミットして準備を進めることができたからだと思います。
 

↑地下鉄自由が丘駅からすぐの場所にある「八O吉」。
 
― コンセプトワードもユニークですね。
吉田:
 私たちは、「日々の暮らしに カレーなる体験を」というコンセプトを掲げています。いつもこの道を通ったらおいしそうなスパイスの香りが漂ってくる。1日の終わりに「今日食べたカレーおいしかったな」って、ふと思い出してもらえる。そうやって地元の人たちの暮らしに自然に入り込み、日常にささやかな幸せを提供できるお店を目指しています。
 
― カレーを提供するだけでなく、テイクアウトが楽しめるサービスもいろいろ考えているとか?
吉田:
 テイクアウトしたカレーを公園でピクニックしながら楽しめるよう、バスケットやラグを貸し出しています。また、近隣のピクニックが楽しめる公園やベンチがあるスポットをマップにして配ったりも。テイクアウトはポジティブにとらえれば、席数は無限大!「おいしかった」という感想はもちろん、用品を返却に来たお客さんから「楽しかった」と言ってもらえるのも、「カレーなる体験」を提供できているようでうれしいんです。
 

 
↑ラグやバスケットをレンタルすれば、お手軽におしゃれなピクニックが楽しめます。
 
― 席数は無限大、ステキな発想ですね!メニューはどんなものを?
吉田: 
定番の「八O吉(ヤオキチ)カレー」と月替わりの季節限定カレーの2種類です。ポイントはどちらも12種類の野菜を使っていること。1日に必要なビタミンが摂取できます。長時間煮込んで野菜の旨味と甘味を凝縮した特製カレーベースと、複数のスパイスを混ぜて炊き上げたライスの相性は抜群!「外食が多くなりがち」という人でも、おいしく野菜を摂取して、健康的な食生活を送ってほしいんです。
 

↑大きくカットされた野菜がゴロゴロ入り、満足の食べ応え。
 
― 立ち上げ当初は不安もあったと思います。それでも飲食業界に挑戦してみようと思った原動力は何だったんでしょうか?
吉田: 
一代で八百屋を築いた父親の影響もありますが、若くても一本筋が通ったことを成し遂げるのってかっこいいな、と。外食に限らず、コロナ禍でこれまで当たり前だった楽しみがどんどん損なわれている。世の中がおもしくない方向にいくなかで、自分の信念を貫いてかっこいいと思えることを続けていけば、世の中が少しでもおもしろくなるかな?とワクワクしたんです。
 
― なるほど。ちなみに経営者として大変だったことはありますか?
吉田: 
一番苦労したのは、資金面です。立ち上げ当初はメンバーに給料を払うこともままならなくて。それでも売り上げの一部から支払おうとしたら「お店のために使ってほしい」と断られたことも。メンバーの本気度が伝わると同時に経営者として背負うものが大きくなり、不甲斐なさを感じることもありました。資金が調達できて社員に初めて給料を支払ったときは涙がでるほどうれしかったですね。
 

↑自分が感じたワクワクや熱量を社員に上手く伝染させることも、経営者としての役目だと吉田さんは語ります。
 
― ヤオキチでイベントも開催されているとか。
吉田: 
コーヒーショップとコラボしたイベント「カレーと珈琲」でカレーとそれに合うコーヒーをセットで提供したり、また、ほかの飲食店にヤオキチで出店したりも。イベントを積極的に企画してほかの飲食店とのつながりを大切にしています。また、ヤオキチでのイベントは、誰でも気軽に開催できるよう出店料はいただいていません。これから飲食業界で挑戦する人の新しい可能性が生まれる場所になれればうれしいです。

 

↑これまでヤオキチでイベントをしたショップのカードを置いて、PRの一端も。
 

― 最後に、今後の展望について教えてください。
吉田:
 ヤオキチのカレーをきっかけに、多くの人がおいしいものを食べる幸せを楽しんでほしい。6月下旬には2店舗目を吹上にオープンさせる予定です。ピクニックのように特別な体験ができるロケーションにこだわった店舗も増やしていき、時間をかけてヤオキチを長く愛されるカレーブランドに成長させていきたいです。
 


 
若いエネルギーとアイデアで奮闘するヤオキチ。今後どのような展開を広げていくのか、注目です。
 
 
(文:岩井美穂)
 

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