「ものづくり」の背景にあるストーリーを紹介。作り手の想いやこだわりに迫ります。 インタビュー愛知豊橋市


 
「花の王国」愛知県で、廃棄されてしまうバラを利用してつくられたデコレーションアイテム「ブルームシャワー」。美しくドライ加工された花びらからはふんわりといい香りが漂い、インテリアやイベントごと、手紙に添えたりSNS写真に使ったりと幅広く楽しめます。後編では制作のこだわりをはじめ、ブルームシャワーを手がける「HANAイノベーション」が花業界を盛り上げる新たな取り組みについて迫ります。
 
前編ではブルームシャワー誕生のきっかけについて紹介。
記事はこちら→廃棄の花を美しく蘇らせるデコレーションアイテム【ブルームシャワー】前編
 
 
▼もくじ
・バラの美しさをそのままにドライ加工
・HANAイノベーション誕生秘話
・オンラインで花の可能性を広げる
 
 

 

バラの美しさを損なわないように

 

画像提供:天野バラ園
↑ブルームシャワーに使用しているバラは豊川市の「天野バラ園」で育てられたもの。
 
画像提供:天野バラ園
↑HANAイノベーションと共にブルームシャワー制作を行う「天野バラ園」の天野真光さん。
 
ブルームシャワーは「天野バラ園」で出荷規定から外れてしまったバラの花びらをドライ加工するという、とてもシンプルなもの。
 
とはいえ、水分が抜けると花びらの色が薄くなってしまいます。自然乾燥では色が抜けすぎてしまい、きれいな色味にならず苦労したのだとか。試作を重ねた末、乾燥機で一気に水分を飛ばすことできれいな発色に成功しました。
 

↑花びら本来の鮮やかな色を保った「ブルームシャワー」。
 
天野バラ園でドライ加工した花びらをHANAイノベーションで商品に合わせて混合し、香り付けをしてパッケージに。香りの好みは人それぞれなので、天野バラ園と何度も話し合いをして選りすぐり、華やかですっきりとした香りに決めたそう。
 

↑1つひとつ丁寧に手作業でパッキング。辺りがふわっといい香りに包まれます。
 

↑パッケージには手書きで「amano rose」の文字を記します。今後ブルームシャワーで取り引きする農園が増えた際にも、農園の名前を入れていきたいとのこと。
 
 

 

業種の壁を超えた発想で、思いを形に

 

HANAイノベーションは、鉢物の仲卸店で2代目代表を務めていた近藤祐司さんが2011年に「花男子プロジェクト」を始めたのをきっかけに立ち上げた花のプロデュース会社です。
 
「花男子プロジェクト」のインタビュー記事はこちら↓
花の生産量全国1位の地域で、花贈りの文化をもっと身近に。【花男子プロジェクト 近藤祐司さん】インタビュー
 

↑同敷地に花の仲卸会社もあり、色とりどりの花々がズラリと並びます。
 
「花男子プロジェクトをきっかけに、行政や団体、法人から花を中心としたイベントプロデュースの依頼など声をかけてもらうことが増えたんです」と近藤さん。その声を受け止めようと、本格的に花のイベントを企画する会社としてHANAイノベーションを設立。2015年にモリコロパークで行われた「愛・地球博」の10周年記念イベントで屋内装飾を担当したことを皮切りに、さらに依頼が増加していったと言います。
 
ただ、職人気質な花業界の固定概念にとらわれず新しい発想を取り入れていかなければと、スタッフは異業種からも積極的に採用していったそう。
 

↑豊橋出身であるHANAイノベーションの企画ディレクター・太田春菜さんも、広告業界から立ち上げメンバーに。
 

 
「立ち上げメンバー(orスタッフは)音楽家や漫画家、医療機器メーカー出身などさまざま。いろんな業界で経験してきたことを、花業界に落とし込んだらどうなるか。そして花業界から多様な発想を発信していったらどうなるのか。枠を越えたおもしろさが生まれるのが楽しみです」と太田さん。
 

↑「イベントやPRのプロが花に関連した事業を行うのではなく、花業界の人や異業種から花業界に参入した人たちが花を軸にイベントプロデュースをする、という逆転の発想がヒットしたのだと思います」。
 
 

 

需要を広げながら現状を伝えていく

 

 
とはいえ、花業界の現状は年々縮小気味。また、コロナ禍のダメージを大きく受けた業界でもあります。「地域密着型のいわゆる“まちの花屋さん”は、巣ごもり需要で逆に売り上げが伸びた店舗も多いのですが、イベントや冠婚葬祭を手掛けているところは軒並み中止になり、厳しい状況が続いていると思います」。
 

↑そんなコロナ禍での気付きもあったという近藤さん。
 
「リアルのイベントはほとんど中止になってしまいましたが、その分オンラインでのワークショップ開催の依頼がありました。その中で、これまで花のワークショップに参加したくても躊躇していた男性や、小さなお子さん連れで外出しにくいママさん、ご年配の方など隠れたニーズを発見できたんです」。
 

 
「今後はオンラインでの取り組みを増やしながら、SDGsの視点を大切に、ブルームシャワーのように花の現状を伝えられるようなプロダクトをさらに展開していきたい」とふたりは話します。
 

 
廃棄されてしまうはずだった花を、花需要の新たな切り口として蘇らせたブルームシャワー。これまで生花にあまり親しみのなかった人にとっても、花の魅力に触れるきっかけとなり、花のある豊かな生活に踏み出す一歩となりそうです。
 
 
前編ではブルームシャワー誕生のきっかけについて紹介。
記事はこちら→廃棄の花を美しく蘇らせるデコレーションアイテム【ブルームシャワー】前編
 
(写真:岩瀬有奈 文:佐藤奈央)
 
 

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