東海エリアの書店をリレー形式で巡り、書店員さんが愛読する本を綴ります。 千種区名古屋


 
書店員の愛書バトン連載16回目となる今回は、暑い季節にピッタリのこわ~い本をピックアップ。子どもでも読めるやさしい怖さの絵本から、思わず背後を確認したくなるとびきりゾクッとするホラー小説まで。名古屋市千種区にある「らくだ書店本店」副店長の髙田博美さんのコメントとともに、おすすめの5冊を紹介します。
 

 

『くらいのなんか(そんなに)こわくない』
著:アンナ・ミルボーン、絵:ダニエル・リエリー、翻訳:青山南(すばる舎)

 
「暗いのがこわい」という子どもは多いのではないでしょうか。この絵本の主人公も同じです。夜寝る前に電気を消すと、部屋のおもちゃが怪獣に見えてしまう。そんな主人公がキャンプで知った「暗やみのすばらしさ」とは!? 読み進めていくうちに、主人公と一緒に、暗やみのことがちょっと好きなれそうな絵本です。
 
穴あき絵本はこの世にたくさんありますが、こんなに「ステキ!」と思った絵本は今までにないかも、と思うくらい感動します。まるでシアターな穴あき絵本。その魅力を、ぜひページをめくって感じてほしい1冊です。読み聞かせなら3~4歳から、小学生は自分で読んでも十分楽しめます。
 
 

 

『おばけのきもだめし』
著:内田麟太郎、絵:山本孝(岩崎書店)

 
「十二支のおはなし」「ふくはうちおにもうち」などの行事絵本シリーズでおなじみの名コンビ、内田麟太郎さん&山本孝さんによる絵本です。きもだめしといえば、夏、人間が楽しむ(怖がる?)イベントですが、これはおばけの子どもたちがきもだめしにチャレンジするというお話。「こわいよー」「いきたくないよー」と怖がるおばけの子どもたちに、「えっ、おばけもおばけが怖いの?僕たちと一緒だね」と共感できるような幼児~小学校低学年くらいの子どもはとくに楽しめそうです。
 
なんだかんだありまして、無事におばけの子どもたちはゴールまでたどりつけます。…ってこれはいわゆるネタバレでは?いえいえ。この絵本の見どころは最後の最後。…あれっ?…ゾクッ!!気づいた人は思い切り背筋が凍る。最後まで目が離せない展開です。
 
 

 

『小学5年生がかいた ざんねん いがい ゆかいな 妖怪事典』
著・イラスト:関本創(講談社)

 
テレビでも注目を浴びている小学生の“妖怪博士” 関本創さんによる妖怪事典です。妖怪好きの小学生が書いたとあって、単なるカタログのような淡々とした事典ではありません。妖怪への並々ならぬ興味や愛があふれている1冊。ぬりかべや雪女など誰でも知っている有名な妖怪たちの「えっ?そうだったの?」というような意外な一面まで、妖怪についてさまざまな角度から知識が身につきます。特に「なぜ妖怪は人を襲う?」という質問に対する解説がいくつかあるのですが…どの理由も、人間からすると「そんなぁ~!ひどすぎる~!」と言いたくなるものばかりです。
 
ちなみにこの事典によると、一反木綿には実は人間と同じ、とある体の性質があるということを知り、私は超おどろき!でした。読むと思わず、「ねえねえ知ってた?あの妖怪って実は…」と誰かに話したくなるような、妖怪のマメ知識がたっぷり詰まった1冊です。
 
 


 

『山怪実話大全 岳人奇談傑作選』
著:東雅夫(山と渓谷社)

 
ここからはいよいよ大人向けの本格的なホラーの世界へと参りましょう。「山怪(やまけい)」といえば、知る人ぞ知る山のミステリー。『山怪実話大全 岳人奇談傑作選』は夢枕獏、岡本綺堂、深田久彌、柳田國男など多彩な作者による26話を収録した未曾有の傑作選です。編集者は東雅夫さん。東さんといえば、怪談専門雑誌『幽』の編集顧問、創刊から終刊まで『幻想文学』の編集長を20年以上務めるなど、怪談好きの間では有名な編集者です。
 
山という非日常で起きる不思議で奇妙な物語。ギャーッと悲鳴を上げるような怖さではありませんが、山にかかる靄の奥に潜む“何か”のような、「見えないけれど確かに何かいる」…そんなうすら寒い恐怖を感じることでしょう。

 
 

 

『事故物件怪談 恐い間取り』
著:松原タニシ(二見書房)

 
著者は“事故物件住みます芸人”として、事故物件を転々としている松竹芸能所属のピン芸人・松原タニシさん。事故物件とは、自殺・殺人・孤独死・事故などさまざまな理由で前の住人が死亡した経歴のある部屋や家のこと。松原さんの実体験を記したノンフィクション『事故物件怪談 恐い間取り』は、『リング』『スマホを落としただけなのに』など数々のホラー映画を監督した日本ホラー映画界の巨匠・中田秀夫さんがメガホンをとり、亀梨和也さん主演で映画にもなった話題作です。
 
読むと背筋がゾクッとするどころか、自分の家ももしかしたら…!?と心配になってくる怖さレベル。夜の家でひとり、怖さをより堪能しながら読むのか、家ではない場所で心落ち着けながら読むのかは、あなた次第です。後者の場合は、怖くて家に帰れなくなるかもしれませんけどね…!
 
 

NEW REPORT 新着記事

NEW REPORT 新着記事

もっと見る

pagetop