「しょく」=食、職、触。触れることの魅力を伝える、編集メンバーの体験記事。 体験名古屋緑区


 
400年以上もの歴史を持つ、愛知県を代表する伝統技術「有松・鳴海(ありまつ・なるみ)絞り」。浴衣や和装のイメージが強いかもしれませんが、実はワンピースやTシャツ、ストールなど洋装にも合わせやすいアイテムがジワジワと人気を呼んでいます。
 
suzusan(スズサン)」は世界の名だたるファッションブランドからもその技術を認められた、有松・鳴海絞りを代表するブランドのひとつ。洋装はもちろん、HOME&LIVINGや照明なども展開し、絞りの可能性を広げています。
 
有松・鳴海絞りの聖地・名古屋市緑区有松のStudio Suzusan(スタジオスズサン)の工房でTシャツの絞り染色を体験しました!
 

 
▼もくじ
・有松・鳴海絞りのはじまりは1608年
・絞りでTシャツ作り。まずは「縫う」
・柄の出来栄えを左右する「括り」
・染めは先生が。みるみるうちに発色!
・体験後は有松の町を散策。お土産探しも
 

有松・鳴海絞りのはじまりは1608年

 
今回講師を務めてくださったのは株式会社スズサンの取締役会長・村瀬裕さん。suzusanの前進である鈴三商店4代目、有松・鳴海絞りの型彫り絵刷職人としても長年活躍してきた、いわば有松・鳴海絞りのカリスマです。
 

 
まずは工房の2階で作業。その前に、有松・鳴海絞りの歴史について学びます。1608年に絞りの開祖といわれる竹田庄九郎らによって有松村が誕生しました。江戸時代、東海道を行き交う旅人がお土産として絞りの手ぬぐい、浴衣などを買い求め、その技術の素晴らしさが全国に広まることになったのだとか。
 

有松・鳴海絞りには、大きく分けて「縫う」「括る」「畳む」の作業があります。柄によって作業は「畳む」だけだったり、「縫う」「括る」の2種類だったりとさまざま。Studio Suzusanには約40分で子どもから大人まで気軽に絞りを楽しめるAコースと、2時間かけて本格的な伝統技術が体験できるBコースがあり、今回はBコースを体験しました!

 

絞りでTシャツ作り。まずは「縫う」

 

 

いよいよ作業スタート!まずはデザイン画を描くことからはじまります。今回は伝統的な絞りの柄のなかから、丸い模様が印象的な巻き上げ絞り柄で作ってみることに。

 

 
下書きをもとに、型を使って下絵用の液体(青花/アオバナ)で目印となる円を絵刷りしていきます。真っ白なTシャツに青花で円をマークしていく。これだけでも緊張!
 

 
円に沿って縫っていくのですが……、慣れない針と糸を使った作業に「ズレたらどうしよう」と不安に思っていたら、「少しくらいズレても大丈夫ですよ!」と村瀬さんの声がけにホッ。
 
Tシャツにデザインした丸は全部で5つ。1つ目は四苦八苦しましたが、ときどき村瀬さんがお手本を見せつつサポートしてくれるので、少しずつ針と糸の扱いに慣れてきた手ごたえを感じます!
 

 
チクチク縫ってぐるりと一周したら、
 

 
最後はギュ~~~ッと力を入れて、糸を引っ張り、根元を絞って玉止めを2回。ちょっと顔の細長いてるてる坊主のようになったら「縫う」作業は一旦おしまいです。

 

柄の出来栄えを左右する「括り」

 

 
縫い終わったら、今度は「括る(くくる)」作業。巻き上げ絞りのキモとなる工程です。
 

 
先ほど根元を絞ったてるてる坊主の頭部分を糸で巻き上げていきます。単にぐるぐる巻きにするのではなく、下から通して、左に通して、次は上から……など、巻くのにも順番があるので、「あれ、次は右だっけ、下だっけ」と最初は少し混乱……!
 


 
これが見た目よりもはるかに力がいる作業!「糸と布相手に、こんなに力を入れていいの!?」と、心配になるほどです。しかし、ここできっちり締めて括らないと、完成度の高い巻き上げ絞りの柄にはなりません。
 

 

ここでも村瀬さんが時折サポートしてくれるのですが、そのスピードと精度の高い技は見とれてしまうほど。体験するだけでなく、職人技を間近で見られる貴重な機会です。

 

染めは先生が。みるみるうちに発色!

 

 
さて、工房の1階へ移動していよいよ染めていきます。熱湯や薬品があるため、ここからは村瀬さんが主導です。
 

 
まずはTシャツを熱湯にドボン。最初に縫う目印につけた青花は熱湯で無色化されていきます。
 

 
真っ白になったところで、今回選んだ爽やかなライトグリーンの染料を使うと思ったら、見た目は紺色??でも表面の泡は確かに緑です。「酸化と還元の原理ですね。空気に触れると紺色が緑に変わるんです」と村瀬さん。なるほど~!伝統工芸である有松・鳴海絞りですが、理科の実験みたいな要素もあり、とってもおもしろいですね。
 

 

染め時間は3分。染料からTシャツを引き揚げたら水洗いをして脱水。その後、括った糸を切って解いていきます。
 

 
果たしてどんな模様ができているのか、しっかり括れていたか、ワクワクとドキドキが入り混じった気持ちで1つひとつ解きました。
 

 

完成したTシャツがこちら!

 

 
ポイントは、右下脇の前後に半円になるようにデザインした絞りです。半袖ですが、寒い季節は重ね着しても良さそう。400年を超える伝統の技が、コーディネートの幅を広げてくれそうです!

 

体験後は有松の町を散策。お土産探しも

 
体験を行う工房の近くには、主にカシミヤニットやショールなどの衣類やインテリアを取り扱う「suzusan factory shop」と、お土産にぴったりの手ぬぐいやハンカチ、ノットバッグなどが揃う「tetof 1608」があります。
 

 
体験したあとは、日本遺産に認定された伝統的な街並みを散策しながら、スズサンの職人さんたちによる華麗なる有松・鳴海絞りのアイテムをチェックしてみてくださいね。
 

(文:矢野裕子)
 

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