【2021年11月15日に更新】
2021年12月11日(土)・12日(日)に全国から選りすぐりのクラフト作品が岐阜に集結する「GIFUクラフトフェア」が開催。アクティブG、岐阜シティ・タワー43、JR岐阜駅、アスティ岐阜の4会場でクラフト作品の展示や販売、伝統工芸が体験できるワークショップなどが行われます。
岐阜の伝統工芸が体験できるワークショップでは、岐阜和傘や岐阜提灯、美濃和紙、関の刃物、大垣の枡、飛騨の木工のジャンルで、職人技を間近で見ることができます。今回は、その中の「飛騨の森ククサ作り」を実際に体験!北欧発の温かみある木のマグカップは、作っている最中も、そして自宅に持ち帰って使うひとときにも温もりが感じられます。
北欧生まれの、幸せを運ぶマグカップ“ククサ”
ククサとは、フィンランドやスウェーデンなどの北部にあるラップランドで、白樺のこぶをくりぬいて作られていたもの。もともとは水汲みの道具だったものが、飾りとしてやマグカップとして、北欧以外にも広がりました。蜜ろうで仕上げるククサは使うごとに味わいが増すのも魅力のひとつ。“ククサを贈られた人は幸せになる”という言い伝えもあるそうです。
今回ククサ作りを教えてくれたのは、飛騨高山で北欧テイストのオーダー家具を手がける工房「山岳木工」代表の鈴木岳人さん。KOIVUでは、3年ほど前からククサを制作販売。職人によって素材や作り方は異なるそうで、鈴木さんは岐阜のヒメコマツを素材に使っています。ヒメコマツは硬くて丈夫なうえに削りやすく、ククサ作りに向いているそう。
↑山岳木工代表の鈴木さん。
↑取材に伺ったのは、岐阜県高山市にある工房。空気の清々しい、のどかな山あいに佇みます。
ナイフで削ったり、やすりで磨いたり。ククサ作りに挑戦!
鈴木さんに教えてもらいながら、ククサ作りに挑戦。ざっくりとした形までは鈴木さんが切り出してくれているので、そこからナイフで削ったり、やすりで磨いたりして、手にしっくり馴染むよう整えていきます。
↑ざっくりとした形状に、機械で切り出していきます。
↑左が整える前で、右が整えた後のもの。右のように滑らかになるよう、頑張ります!
↑スウェーデンの伝統的なナイフ「モーラナイフ」を使用して削ります。
角ばったところを、モーラナイフで削ります。向きによって、削りやすかったり、刃がスムーズに進まなかったり。「木目に沿うようにして削るといいですよ」と鈴木さん。
なるほど!木目を考えながら作業すると、格段に削りやすくなりました。削っていると無心になり、作業に没頭します。
モーラナイフを使うのは初めてでしたが、削る作業にも次第に慣れてきました。ナイフで削ったら、やすりで磨いて…の繰り返し。これが完成!という明確なゴールはありません。手に持ったときに、肌触りや形が自分の手にしっくり馴染むかどうか。自分でよし!と思えば、完成です。
↑使うときに1番手に触れることが多い持ち手部分は、とくに念入りに。
↑輪っかの部分は細かく削らなくてはいけなくて、最も苦労したところ!
↑渾身の力を込めて、やすり磨き。力のいる作業で額に汗がじわり。だいぶ滑らかに仕上がってきました!
↑底も滑らかにして、完成です。
↑完成したものを蜜ろうで仕上げしたものがこちら。ほんのり飴色になり、艶がでました!
初めはナイフが上手に使えるかどうか不安でしたが、慣れてくると作業に没頭し、もっともっと自分の手に馴染むように…と、いつまでも削ったり磨いたりしたくなる、ククサ作り。自分の手にしっくり馴染む形や肌触りに仕上げられるのは、細やかに形を整えられる木ならでは。仕上がりのほっこりとした雰囲気にも、愛着がわきます。
鈴木さんと一緒にオンリーワンのマグカップが作れるGIFUクラフトフェアへ、ぜひ足を運んでみて。
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取材協力:山岳木工 鈴木岳人さん
(写真:西澤智子 文:広瀬良子)