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三重県三重郡川越町で唯一無二のコットンを手がける株式会社スマイルコットンによる、オリジナルブランド「HAAG(ハーグ)」。その驚くほどの軽さ、柔らかな肌心地の秘密は、社名でもあるコットン“スマイルコットン”によるもの。前編ではスマイルコットンについて紹介。後編では、HAAGの染め上げをしている工場に潜入。また、HAAGブランドについてクローズアップします。
守山区にある染色工場へ
HAAGの染め上げをしているのは、名古屋市守山区にある春日染工。ここでは染色→乾燥→仕上げの工程をおこなっています。工場の中に入ると、乾燥機が作動していることによる、とてつもない熱気! 「冬はいいですが、夏は日差しのある外にでたときに涼しい!と感じるほど、工場内の温度と湿度は高いです」と話してくれたのは、春日染工代表取締役社長の加藤昌輝さん。この状況で毎日作業しているとは、驚きです。
↑工場内で仕上がりを確認する春日染工の加藤さん(左)と、スマイルコットン代表取締役社長の片山英尚さん(右)。
まず最初にあるのが、染色をする機械。同じ分量の染料をいれて同じ時間設定にしていても、その日の温度などによって仕上がりの色合いが変わるとのこと。同じ商品であれば、毎回同じ色に染め上げなくてはならないので、その時々で細やかな調整が必要です。
↑HAAGの生地の場合は、染色の工程でも生地を柔らかくする工夫がされているそう!
染め上げた生地は脱水をして、最後に乾燥させます。大きなドラム式が4つ連なった乾燥機。はじめの3つは蒸気があるタイプで、最後の1つは蒸気なしのタイプ。この4つをすべて通り、蒸気なしの乾燥機で少しずつ温度を下げていくことで、仕上がったときにシワになりにくいのだそう。
↑これが乾燥機。立体のまま乾かすことにより、圧縮することなくふっくらと仕上げています。途中、手作業で生地をほどくことも。手間と時間をかけて、HAAGの柔らかい肌心地を実現しています。
↑工場の外に神様を祀ってある場所を発見。聞くと、この場所で汲み上げている井戸水を工場で使っているのだとか。染色工場において、水はとても重要なのだそうです!
毎日肌に触れるものだからこそ、着心地を
それぞれの提携工場で糸をつくり、編み立てをし、染色した生地“スマイルコットン”は、縫製工場でHAAGの商品へと仕立てられます。HAAG最初のアイテムは、メンズのボクサーパンツ。その後、シャツなどのアンダーウエア、タオル、靴下をはじめ、タウンウエアまで、現在では糸からこだわった幅広いアイテムをメンズ・レディースともに展開しています。
↑アンダーウエアはとくに肌心地の良さを実感。吸湿性に優れていることも、気持ちよさの秘密です。
↑スウェットは羽織ってみると、その軽さに驚きます。「人は服を肩で着ているので、肩で重さを感じているんです。糸の編地とフォルムの関係性を大切にしています」とは、HAAGデザイナーの前田勇樹さん。
↑靴下は、ふかふかした絨毯のうえを歩いているような履き心地。
シンプルでキャッチ―なパッケージは、糸の番手(太さ)をアイコンデザインに。10番手が太く、数字が大きくなるごとに糸は細くなっていきます。細い番手で詰めて編んで張りをもたせたり、太い番手で甘く編んでゆるさや落ち感をだしたりと、アイテムによって編地は無限に広がります。
サイレントニーズにも細やかに対応
「年をとるにつれて、肌質は変わってきます。どうしても乾燥肌になっていくので、衣服に対する感じ方も変わってくるんです」。毎日肌に触れるものだからこそ大切にしたいというニーズに応えながら、またその一方で、以前病院の先生との話から、がんで闘病していた患者さんのためにスマイルコットンの生地を使って帽子を作ったり、未熟児で生まれた赤ちゃんのために肌着を作ったりと、サイレントニーズにも対応しているという片山さん。
「日々の生活でストレスを感じているところにHAAGやスマイルコットンがフィットするのであればうれしいです。そのためにいろんな業種の方に提案するし、コラボするし、新しい生地も開発するし。多くの方にHAAGのこと、スマイルコットンのことを知ってもらえるようがんばっていきたいです」。
情熱的で行動力ある片山さんの夢は、今後ますます広がっていきそうです。
(写真:西澤智子 文:広瀬良子)
住所 | 三重県三重郡川越町豊田一色234-1 |
問い合わせ | TEL 059-366-3344 |
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