「カラー枡」のほかにも、ユニークな枡が!
岐阜県大垣市にある枡メーカー、大橋量器が手がける「MASSシリーズ」。前編で紹介した「カラー枡」のほかにも、デザイナーとコラボして生まれたユニークな枡がいっぱい!
例えば、「エコ加湿器 マスト」。こちらは一升枡づくりの過程で生まれたカンナ屑をフィルター部分に再利用。土台部分は枡づくりの“液体が漏れない”技術が加湿器としての機能にもぴったり。ヒノキの自然蒸発を利用した、熱源を使わないエコ加湿器です。潤いとともにヒノキの香りがほのかに漂い、癒やし効果も。そのほか、マガジンラックやテーブルランプ、ステーショナリーグッズなど、商品のジャンルは多彩です。
「エコ加湿器 マスト」と「HAKOMASU」は、優れた日本の商品を国内外に発信するプロジェクト「OMOTENASHI Selection(おもてなしセレクション)」にて、2015年と2016年の2年連続で金賞を受賞。2年連続で金賞を受賞した会社は、大橋量器が初めてなのだそう!
飲みやすく美しい、酒器としての枡
酒器シリーズにも注目。三角形が斬新なおちょこ「すいちょこ」は、2011年にグッドデザイン賞を受賞。また、斜めに傾いたデザインがユニークな「(slaスラ)徳利&猪口セット」は、ニューヨーク近代美術館MoMAのミュージアムショップでも販売されているそう。
「受賞されるというのは名誉に感じますし、日本だけでなく世界で枡の魅力が発信できるのはうれしいです」と、大橋量器代表取締役の大橋博行さん。
大垣の枡を広く発信したいとの思いから、工房の隣に店舗「枡工房ますや」をオープン。「この場所に枡の工場があるだけでは、近隣の方でさえ、中で何を作っているのかわからないような状態。作り手とお客様とをつなぐ、大切な場所なんです」と大橋さん。
枡づくりの現場に潜入!
枡の製作をするには、まず仕入れたヒノキを乾燥させ、機械で切って大きさを揃えます。枡の寸法に合わせて20枚同時に板材にし(これを駒と呼びます)、さらに枡の組目となる溝(ほぞ)をつくるために端をカット。溝に均一にのりをつけます。のりを適量、素早く塗っていく様子は、まさに職人技!
次にのりづけされた状態の駒を4枚1組で枡の形になるよう組んでいき、押さえて仮組。それを、エアーの圧力による機械でしっかり締め上げます。
「円盤カンナ」で滑らかな仕上がりに
完成した木枠に底板を貼りつけます。いよいよ、カンナ削りです。使用するのは、大きな円盤にカンナの刃が3枚ついた「円盤カンナ」。熟練の職人が4面を磨き上げます。滑らかで手触りの良い枡の表面に仕上げる、大切な工程です。
仕上げに角を面取りし、焼印またはレーザー加工を施します。焼印の機械に銅板を設置し、400℃の高温で圧力をかけ、名入れ。レーザー加工では、より細かい表現のオリジナルデザインを入れることができます。
「カラー枡」の色鮮やかなプリントはシルクスクリーン印刷。機械とゴムベラでプリントし、細かい箇所は手作業で丁寧に仕上げます。
日本の文化とともに、大垣の枡を伝えていきたい
「さまざまな枡をつくっている大垣市のことを、地元の人にもよく知ってもらい、住んでいる地域を誇りに思ってもらえたら」。大橋さんの言葉から感じるのは、大垣市への地元愛。また、節分の日には会社の社員たちと自社の枡を使って豆まきをするなど、日本に古くから伝わる文化とともに、枡の魅力を紡いでいきたいと考えています。
枡が活躍する年末年始や節分をはじめ、日々の暮らしにもヒノキの香りを感じる枡を取り入れることで、忘れかけていた日本人らしさや、文化を思い出させてくれそうです。
前編はこちら
●「MASSシリーズ」は下記で販売されています。
・枡工房枡屋(岐阜県大垣市西外側町2-8)
・枡工房枡屋ネットショップ(http://www.masuza.co.jp/)