災害時にも日常の延長線で使える道具があると、心の安心につながります。そんな思いから開発されたのが、名古屋市東区の「ユニバーサル物産」が手がけるブランド・IWANO(イワノ)の「ホットサンドメーカーFT」。
防災リュックに入れてもかさばらないサイズ感、そして何よりの特徴が両面フラットプレート仕様という点。このプレートが「もしも」のときに、使いやすさを高めてくれます。元消防士であり、ユニバーサル物産代表取締役の林恭史さんに開発秘話を伺いました。
パンだけでなく、いろんな料理で重宝
コロナ禍の巣ごもりやアウトドア人気で需要が高まったホットサンドメーカー。ホットサンド以外にも、炒め物をしたり、餃子やハンバーグを焼いたり、とろけるチーズを入れてジャーマンポテトを作ったり…と、多彩な料理で活躍します。
「実は200gほどの一般的なパックごはんを炊くにもぴったりのサイズ。パックからそのままごはんを入れて焼けば、おこげが少しでき、ごはんがおいしく温まるんです」とは林さん。
「ホットサンドメーカーFT」が一般的なホットサンドメーカーと大きく異なるのが、両面フラットプレート仕様という点。これはユーザーの声や、元消防士である林さんの経験が生かされているとのことですが…?
調理しやすくお手入れしやすい
一般的なホットサンドメーカーには必ずといっていいほどロゴが入っていますが、「ホットサンドメーカーFT」にはロゴが入っていません。これには、食材が引っかからずに調理しやすく、凹凸がないため少量の水でサッと洗えたり、水が使えない場合もキッチンペーパーなどで拭きとりやすいというメリットが。
「災害大国である日本は、常に備えが必要。非常時にも使える商品開発を目指してたどり着いたのが、この商品です。冷めたものではなく、温かくおいしいものを食べられることが人の気持ちを和ませることを前職で実感したんです」と林さん。
災害時にもアウトドアでも使い勝手のいいフラットプレートですが、製造に至るまでは苦労もあったといいます。
ロゴなしを実現するには困難が…
「工場としては各社のオリジナル製品を作ってきているため、ロゴなしはオリジナル性がないとして、商品化の承諾がなかなかもらえなくて…」。何度も思いを伝えたという林さん。その熱意が伝わり、ついには賛同を得られ、商品化が実現できたそうです。
無理なく節電できる「陶器おひつ」
ホットサンドメーカーのほかにも、IWANOブランドでキッチン用品をさまざまに手がけているユニバーサル物産。節電の観点から開発された商品が陶器製のおひつです。
炊きたてのごはんをおひつで保存し、食べたいときに電子レンジで加熱。電気炊飯器の長時間保保存より省エネです。また、陶器がごはんの余分な水分を吸湿してくれたり、逆にごはんの水分が少ないときはおひつから放湿してくれたりと、おいしい状態を保ってくれるそう。
「おひつで保存したごはんでおにぎりを作っても、炊きたてごはんで作ったようにおいしんです!」とは林さん。
普段にも災害時にも使える「ホットサンドメーカーFT」、そして目の前に迫った節電を叶えることができる「おひつ」。ともに、私たちの暮らしを楽しく、おいしく救ってくれそうなアイテムです。
(写真:山本章貴 文:広瀬良子)