住まいを開いて休日マルシェ! 自然と家族にやさしい市場のかたち 【スミビラキ<竜美丘コートビレジの月イチマルシェ> 山川さくらさん】インタビュー

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愛知県岡崎市竜美丘地区は市の中央部に位置する閑静な住宅街です。2015年1月、ここに地上2階建ての木造賃貸集合住宅「竜美丘コートビレジ」が建ちました。9つの住戸とはなれを組み合わせたスタイリッシュな佇まい。木材を多用した外観は緑豊かな街に自然に溶け込み、住まう人はもちろん、行き交う人たちを和ませます。
ここを利用して毎月第4日曜に開催されている「スミビラキ」は、集合住宅の1階をマルシェとして開放。八百屋や植物販売、軽食・お酒販売、コーヒーショップ、それからマッサージ店などをオープンするというリラックスした取り組みです。集合住宅の住人だけでなく、空間を借りて様々な目的を持った人が出店しています。今回はイベントを仕掛けた山川さくらさんに、イベントにかける思いを伺いました。
 
 
― 山川さん、こんにちは。さっそくですが、入り口で青空ヘアサロンをやっているし、八百屋さんの新玉ねぎがハンドボール級に大きいし、自由な感じに驚くことばかりです!
 
山川:ありがとうございます(笑)。私自身もここに暮らしながらマルシェを始めて、いま3年目を迎えるんですが、出店者のみなさんの個性に力をもらうことができるし、本当に助けられることばかりです。そうそう、今日も、出店しているヘアサロンで500円で前髪カットしてもらったんですよ。
 
 

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山川さんもここに入居し、スミビラキで「森の花畑 やおや」を運営。仲間の無農薬農家から仕入れた旬の野菜や、野菜を使ったおいしい調味料やジュース、無添加ソーセージ、ハム、ベーコンなど、山川さん自らこだわって選んだ安心食材を販売している。

 
 
― ご自身も楽しみながら運営しているから、それを「いいな」と思う人たちが自然に集まり、マルシェが持続しているのですね。元々、こうしたイベントを手掛けたいと思っていたんですか?
 
山川:イベントをやりたいというより、食べることの楽しさや大切さを自分自身で感じたいし、多くの人に広めたいと思っていました。私は10年ほど前にニュージーランドでファームステイをしていたんです。それは、食べることが好きで、好きなことを仕事にしたいと考えたときに、農家という選択肢が浮かんだから。思い切って海外に渡り、お世話になったのは『アルプスの少女ハイジ』に出てくるような広大な牧草地で、野菜も肉も、食べるもののおよそ8割を自給自足で賄っているファミリーでした。そこで暮らす子どもたちは、算数なんて部屋にこもってしないで、「この野菜を100個育てるには何ヘクタールの面積が必要」って、リアリティをもって計算するんです。学習能力が高いし、昨日まで飼育していた山羊をしめて、料理するという過程も見て知っているから、食べることのありがたみを理解している。毎日が「いのちの学習」なんですね。
実は、根底の部分で、スミビラキも同じことを目指しているんです。公園などにブースを設けて販売するよりも、住んでいる場所に近いところで販売することで、生活感が出て、食べ物や手づくりされたグッズなどがより「自分ごと」として、身近に感じられるんです。
 
 
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― なるほど、「スミビラキ」がほかのマルシェと違うのは、つくる人、売る人、買う人が、ばらばらでなくて、1つの線でつながっている様子が感じられること。だからお客さんは愛情や親しみをもって、売られているものに接することができる。それは山川さんがニュージーランドで感じた「いのち」を体感する喜びに近いものがありますね。
 
山川:はい。いろんな人やモノが線でつながっているイメージが湧くから、自然と親近感がわくんですよね。「竜美丘コートビレジ」に暮らしていない人もアットホームな雰囲気を感じ取って、ほっこりできる。だから帰ってからも、買ったものを大事に調理したり、保管したりして、1つひとつのささやかな物事に楽しみを見出すことができるようになる。それって、素朴だけどとても幸せなことじゃないかと思っています。
 
 
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― そうですよね。いま、コンビニエンスストアはどこにでもあるし、インターネットショッピングもできて買い物に困らない暮らしをしている私たちですけど、わざわざ出かけて買うことの意味って、素朴な幸せがあるからなんですね。
 
山川:そうです。人が暮らしのためにやることを、ていねいに、大切にしていきたいです。たとえばオーガニックって、いまは女性たちの間で人気で、その言葉を聞くとちょっとリッチな暮らしをイメージするけれど、実はとても素朴なんです。シンプルに、土に種をまいて、人が技術でもって時間をかけて育てる。私もニュージーランドから帰国後、農家を手伝ってきましたが、本当に品質が良くて人を幸せな気分にするおいしさを実現しようと思うと、手間暇かかるんです。
 
 

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「竜美丘コートビレジ」を手掛けた建築士も岡崎市出身だそう。パブリック空間とプライベート空間を上手に織り交ぜながらレイアウトされた空間では、子どもも大人ものびのびとくつろげる

 
 
― 小さな幸せの連鎖を、楽しんでほしいマルシェですね。「竜美丘コートビレジ」の大家さんや住民のみなさんも、「スミビラキ」に積極的に参加を?
 
山川:ありがたいことに、駐車場を貸してくださったり、ご家族で買い物に来てくださいます。このマルシェを毎月続けながら思うのですが、つくる人、売る人、買う人がつながった先に、いきいきとした暮らしが育まれて、ゆくゆくはそれが家族の幸せにつながっていくことが私の願いなんです。
 
 
― 裏テーマは「家族」ですか。
 
山川:はい。今日、実は私の母も来ていて(笑)。私が農家をやると言い出してから、両親も野菜づくりを始めました。家族が幸せでいられることがいちばんだから、お客様も、出店者の方も、ここに家族を連れて来てほしい。一緒にリラックスして笑顔になって、そのうれしい気持ちを家に持ち帰ってほしいんです。1人で来た人も、ここで笑顔になって帰れば、家族はうれしいと思うんですよ。
 
 

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山川さんとお母さんのツーショット。おしゃれが好きなやさしい母娘。

 
 
― 買い物で売り買いする人の家族がまるごと幸せな気分になる。すてきですね。
 
山川:そんなイメージを描いて、これからは「竜美丘コートビレジ」だけでなく、畑にキッチンをつくって、育てたものをその場でいただくイベントもやっていきたいです。ニュージーランド留学時代に感じた、暮らしと食べること、生きること、全部がつながる喜びを参加者の方と共有して、一緒に驚いたり、喜んだりしていきたいですね。
 
 
― 1つの場所に、本当の意味で衣食住を集めるイベントは、「スミビラキ」ならではですね。しかも、暮らしが垣間見えることでリラックスした気分でお店を訪ねることができる。いろんな方にまずは気軽に参加してほしいですね。
 
山川:はい。ちょっと寄ってみようかな、から、体験してみたい!につながるイベントになるように、私たちも工夫していきたいと思います。
 
 
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