レトロな赤レンガが目を引く半田市のランドマーク「半田赤レンガ建物」。こちらの歴史や見どころを解説するガイドツアーが開催されているという情報をキャッチ!さっそく、HIROBAくんと一緒に参加してきました。
見どころ満載のガイドツアー
半田赤レンガ建物は、地元から一流ブランド発信を目指してビール製造工場として誕生。現存する赤レンガ造りの建物としては、日本で5本の指に入る規模を誇ります。
工場で1889(明治22)年から約半世紀生産されていたのが「カブトビール」。当時、既にビール業界のシェアを占めていた4大会社(アサヒ・エビス・キリン・サッポロ)に果敢に挑んでいった本格派ドイツビールです!
現在は貴重な産業遺産として一般公開されている建物の歴史について、ガイドさんがわかりやすく解説・案内してくれるのがカブトビールツアー。
展示だけでは知ることができない、こぼれ話などのトリビア情報も満載です!
これまでは希望のあった団体ツアー向けに開催されてきましたが、2024年4月より一般向けに定刻ガイドツアーがスタート。曜日やツアーの種類によって開催時間が変わるので下記をチェック!
定刻ガイド(40分)
開催日時:水・土・日・祝 ①10:00- ②11:00- ③13:00- ④14:00- ⑤15:00-
定員:15人
料金:100円(1人)
*常設展示室の入場料が別途必要。
*中学生以下は無料(定員へはカウント)
参加方法:当日現地にて申込み
定刻ガイドプレミアム(50分・予約制) ※試飲・おつまみ・お土産付き
開催日時:土曜①11:00- ②14:00-
定員:15人
対象:高校生以上
料金:1,800円(1人)
*常設展示室入場、明治&大正カブトビール試飲、おつまみ3種、お土産(カブトビールグラス)込み。
*アルコール不可の方へはビールの代わりに酢ムージーを提供。
*ビール試飲する方が1人以上必要
参加方法:開催日の3日前までに電話にて申し込み 0569-24-7031
※ほかに団体向けの個別ガイドもあります。
常設展示室で知るカブトビール誕生物語
さっそく、ガイドさんとツアーへ出発!
HIROBAくんと参加したガイドツアーは、土曜に開催されている「定刻ガイドプレミアム」。ツアー後に試飲・おつまみ・お土産が付くまさにプレミアムな内容です。
まず館内にある常設展示室へ。
常設展示室では、模型・映像・当時の写真などで半田赤レンガ建物やカブトビール誕生の歴史を学びます。
半田でビールづくりが始まったのは1889(明治22)年。現在のミツカングループに繋がる「中埜酢店」4代目中埜又左衛門が、甥で後の敷島製パン創業者盛田善平に命じて作った「丸三ビール」がカブトビールの前身になります。
1898(明治31)年には銘柄を「カブトビール」と改め、本格ドイツビールの醸造を行うべくドイツから機械技師と醸造技師を招致。ビール工場となる半田赤レンガ建物を建設しました!
建物の設計を手がけたのは明治の三大建築家のひとり・妻木頼黄(よりなか)氏。日本橋や横浜赤レンガ倉庫を手がけたカリスマ建築家です。
当時は冷蔵庫がなかった時代。ビールの貯蔵室全体を外気から遮断して低温を保つための、特別な構造を随所に見ることができます。
1階の天井には、耐火床と三層のアーチ構造を取り入れることで、貯蔵室内の保温・保湿を実現。
壁の内部は2~5層の中空構造にして空気層を作り、室内の温度を一定に保てるように!
多額の資金を投じ、最先端の技術を導入してスタートしたビール事業。創始者たちの意気込みがビシビシと伝わってきますね!
展示室には、ビール工場を再現したジオラマ展示も。現存しているのは中央に建つ赤レンガ部分。
敷地内に張り巡らされているのは、瓶詰めをしたカブトビールを運ぶための線路。木製のトロッコにのせて、人力で運んでいたのだとか!
半田赤レンガ建物の竣工後、カブトビールは4大ビール会社に迫る勢いで売り上げをのばします。1900(明治33)年にはパリ万国博覧会に出品してなんと金牌を受賞!
そんな当時の勢いを象徴するのが、旧名古屋駅の前に設置されていた広告塔。実はこの広告塔、日本が誇る某有名アニメ映画のワンシーンにも登場しているのです!
カブトビールの名を世に広めたポスターなども必見。
「美人画」を使ったといわれるポスターなど、ユニークなアイデアが盛り込まれた広告媒体が多数展示されています。
ビアホールを再現したコーナーはレトロモダンな雰囲気。今、こんなお店があったら、ふらり立ち寄りたくなりそうですね。
屋外から建物に刻まれた歴史を観賞
建物裏側の出口から屋外へと移動。建物に刻まれた歴史をあらゆる角度から見学していきます。
戦争の打撃を受けてビール工場を閉鎖することになった半田赤レンガ建物は、倉庫として使用されることに。第二次世界大戦中の1945(昭和20)年、アメリカのP51小型機から機銃掃射を受けます。
その時の弾痕が今も建物北側壁面に。戦争被害の貴重な遺跡として被害を現在に伝えます。
戦後、半田赤レンガ建物の一部は解体されましたが、現存する建物からは半円アーチの窓など、西洋建築の重厚感、細部の美しさを観賞することができます。
かつて機械室があった場所には、鉄の柱の上に設置されていた柱頭が展示されています。
続いて建物の東側へと移動。入り口の木骨煉瓦造の平屋は、ビールの瓶詰場や瓶置場などに使用されていた建物です。
15〜17世紀のイギリスや中世の北ヨーロッパで用いられたハーフティンバー構造で作られており、世界遺産の富岡製糸工場などでも見られる珍しい建築様式です。
本場ドイツのビール工場を彷彿させるような、建物のデザインにも力を入れていたことが伝わってきますね。
明治と大正のビールを飲み比べ
カブトビールの誕生の背景や建物の歴史をたどった後は、館内のカフェ&ビアホール「Re-BRICK」にてお楽しみのカブトビールの試飲タイム!
試飲できるのは、復刻明治カブトビール(左)と復刻大正カブトビール(右)。いずれも当時の資料・文献をもとに、製法も味わいも忠実に再現したカブトビールです。
まずは明治カブトビールをいただきます!アルコール度数は7%と高めでまろやかでこっくりとした味わいです。
続いて大正時代のカブトビールをひと口。アルコール度数5%で、キリッとした味わいとのど越しが特徴。現代のビールに近くゴクゴクと飲むことができます。
試飲の他に、知多和牛のローストビーフなどのおつまみも一緒にいただけるのがうれしい!歴史的な建物で幻のビールが満喫できる、とても贅沢なひとときです。
さらに、レトロ可愛いカブトビールグラスのお土産付き!売店でカブトビールを購入して、自宅でも明治&大正の味わいを堪能してみてくださいね。
復刻されたカブトビール。左から昭和、大正、明治時代。昭和時代の復刻ビールはイベント限定販売のため常時販売していません。 最後は建物の前で、映画のワンシーンに登場するカブトビールの看板と一緒に記念撮影!
(文:左古あやの)
住所 | 愛知県半田市榎下町8 |
営業時間 | 10:00~17:00(最終入場16:30) |
休館日 | 年末年始、施設点検日 |
入館料 | 常設展示室は高校生以上200円 |
駐車場 | あり |
アクセス | 名鉄「住吉町」駅より東へ徒歩5分 |
TEL | 0569-24-7031 |