
旧中山道太田宿の美濃加茂市から乗車し、刃物のまち・関市、うだつの上がる町並みの美濃市、郡上おどりや城下町が有名な郡上市へと向かう岐阜県のローカル線「長良川鉄道(通称:ナガテツ)」。2016年には工業デザイナーの水戸岡鋭治さんがデザインした観光列車「ながら」が登場、話題を集めました。今回はHIROBAくんと、「ながら」の森号に乗車し、のどかな沿線風景を楽しむ鉄道旅にでかけました。

「ななつ星 in 九州」を手がけた三戸岡鋭治さんがデザイン
長良川鉄道の始発駅は、JR高山本線・太多線の駅もある美濃太田駅。「ながら」には乗車のみのビュープラン、ランチ付きプラン、スイーツ付きプランがあり、事前予約制です。今回は、乗車区間運賃+乗車整理券510円のビュープランを予約し、終着駅となる北濃駅まで向かいます。

2~4人グループにぴったりな向かい合わせの席のほか、窓向きのカウンター席もあります。


乗車整理券や車内で押すスタンプも特別感たっぷり!
田園風景を抜け、長良川と並走したり交わったり
美濃太田駅を出発すると、車窓には田園風景が広がります。

長良川鉄道は単線。全38駅のうちほとんどが無人駅で、改札がない駅もあるので、観光列車以外で乗車する際は、バスのように乗車時に整理券をとり、降車時に運賃を支払うワンマン式なのです。


美濃市駅の駅舎は国の登録有形文化財に指定されています。ホームが高い位置にあり、駅舎と地下道で連結しているのも珍しい構造です。

湯の洞温泉口駅を過ぎると、長良川が常に傍らにあり、並走したり交わったり。

第2長良川橋梁が見えてきました。天気が良ければ、川面に映る「逆さ橋」が見られるとのこと!よ~く見てみると……赤い橋がほんのり映り込んでいました♪

その後も、長良川の激流を間近に見ながら、大矢駅に到着。10分のトイレ休憩があるので、駅舎に立ち寄ってみました。
レトロな駅舎も見ごたえたっぷり!
大矢駅では「ながら」運行日の午前中のみ、駅舎で「ふるさとの鉄道館」がオープン。レトロな駅舎グッズや切符は、鉄道ファンならずとも思わず見入ってしまいます。


“桜の駅”としても知られる大矢駅。3月下旬~4月上旬頃は、桜と電車のコラボも楽しめます。

トイレ休憩が終わり、ふたたび出発!
長良川鉄道には12のトンネルと146の橋梁があり、それぞれ趣が異なるのも見どころです。

相生駅~郡上八幡駅の間には、日本で2番目に短い鉄道トンネルも。

シャッターチャンスは一瞬なので、逃さず撮影を♪

取材時は3月上旬でしたが、美濃白鳥駅、白鳥高原駅辺りになると、雪景色が目の前に現れます。普段、雪景色を見ることすらなかなかないので、テンションが上がりますね!
終点の北濃駅では、こんなにも雪が積もっていました。

北濃駅からは折り返し運転で、美濃太田駅に戻ります。途中、郡上八幡駅で休憩があるので、サンドイッチを購入して、車内に持ち込み。ちなみに、アルコール、コーヒー、紅茶は車内販売があります。

郡上八幡駅も国登録有形文化財指定のレトロな駅舎が魅力!

車内で購入した紅茶を飲みながら、帰路へ。私は、美濃太田駅~北濃駅を往復しましたが、途中の駅で下車して、観光するのも自由です。
ランチやスイーツ付きのプランも
往復乗車すると途中でお腹が空いてしまうので、ランチやスイーツ付きプランで鉄道旅を楽しむのもおすすめです。

ランチは「都ホテル岐阜長良川」の日本料理 料理長が献立を考えた和食。

スイーツは郡上八幡のイタリアンレストラン「雀の庵」の特製スイーツが味わえます。
そのほか、お弁当と「1日フリーきっぷ」がセットになった、四季折々のイベント列車も人気。桜の季節には「春のおばんざい列車」、9~10月頃には「鮎料理列車」、11月頃には「秋のおばんざい列車」、1~2月頃には車内の通路に畳が敷き詰められ、ふかふか布団のこたつに入って温まれる「こたつ列車」が登場します。
区間 | 美濃太田駅~北濃駅 |
1号ランチプラン | 美濃太田(10:45発)~郡上八幡(12:16着) 大人18,000円~ |
2号スイーツプラン | 郡上八幡(14:13発)~美濃太田(15:50着) 大人6,800円~ |
1号ランチ・2号スイーツセットプラン | 美濃太田(10:45発)~郡上八幡(12:16着)、郡上八幡(14:13発)~美濃太田(15:50着) 大人22,000円~ |
1号ビュープラン | 美濃太田(10:45発)~北濃(13:02着) 乗車区間運賃+乗車整理券510円(大人子ども共通) |
2号ビュープラン | 北濃(13:12発)~美濃太田(15:50着) 乗車区間運賃+乗車整理券510円(大人子ども共通) |
予約 | 事前予約制 ※観光列車ながら 公式サイトから予約できます |
駐車場 | 美濃太田駅にコインパーキングあり |
食旅トレインが充実!「樽見鉄道」

大垣駅から樽見駅までの全19駅を結ぶ「樽見鉄道」。3月下旬~4月上旬、沿線の桜並木は「桜のトンネル」としても有名で、列車からお花見が楽しめます。終点の樽見駅は、桜の名所「淡墨桜(うすずみざくら)」の最寄り駅。4月13日(日)までは増発の特別ダイヤで運行されます。
また、水鳥駅周辺には「地震断層観察館」、谷汲口駅周辺には「根尾川谷汲温泉」などの観光スポットもあります。
季節ごとの企画列車も人気。5~7月、9~11月は、地元で採れた旬の山菜を使った薬草弁当付きの「薬草列車」が登場します。

また、観光列車「ねおがわ」が大垣駅から樽見駅までの全線34.5㎞、約1時間の区間を運行。いつもの切符で乗車でき、根尾川橋梁など10の絶景スポットで徐行運転をするほか、運転士による沿線紹介を聞けることもあります。運用表は公開されていないので乗れたらラッキー♪

区間 | 大垣駅~樽見駅 |
薬草列車 | 5月16日~7月11日までの木・金曜 事前予約制 ※樽見鉄道公式サイトから予約できます |
沿線の蔵元の日本酒をオリジナル木桝で「養老鉄道」

岐阜県の揖斐駅~三重県の桑名駅まで運行している養老鉄道。途中の大垣駅~桑名駅までを運行する「桝酒列車」では、大垣市特産の木桝で、養老線沿線の蔵元が醸造する日本酒を楽しむことができます。桝酒列車特製おつまみセット付き。どこの蔵元のお酒が味わえるかは……乗車当日のお楽しみです。

大垣駅周辺には「大垣城」、養老駅周辺には「養老公園」、多度駅周辺には「多度大社」などの観光スポットもあります。
区間 | 揖斐駅~桑名駅 ※「桝酒列車」は大垣駅~桑名駅 |
桝酒列車 | 4月12日(土)、20日(日)、5月25日(日)、31日(土)、6月7日(土)、29日(日) 事前予約制 |
料金 | 大人のみ6,500円(養老鉄道1日フリーきっぷ、弁当、酒、木桝付き) ※養老鉄道公式サイトから予約できます |
(文:広瀬良子)