佐久島という自然豊かなロケーション。心も体も開放的な雰囲気の中、親子で“原体験”に触れられる場所があります。根っこを育む自然塾代表の谷英樹さんと、なごや環境大学との共育講座「ひと昔前の暮らし体験」です。原体験とは、自然の中で火をおこしたり、土や木のぬくもりを感じたり、昆虫や動物を間近に見たり、触れたりといった、五感をフルに使う体験のこと。実は“尾木ママ”こと、教育評論家の尾木直樹さんも、「こどもの能力を伸ばすなら、早期教育よりも(原体験ができる)家族キャンプ!」を提案しているとか。
谷さんいわく、「“つ”で呼べる年齢(1つ~9つ)までは、自然の子。10年後、20年後のこどもの未来を彩る“根っこ”は、9歳までに育むのが良い。心と体を育む土壌は、自然の中にあるのです」。
そんな魅力的な“原体験”を味わうべく、佐久島を訪れました!
まずはお昼ごはんの材料を調達に、サツマイモ掘り
本日の参加者は、全部で4組の親子。朝10時に佐久島の西渡船場で集合し、まずは畑でお昼ごはんの食材を調達します。収穫するのはサツマイモ。
クワで畑の土を耕します。
サツマイモが折れないよう、丁寧に手で掘り出し――
「ひとつの茎に、たくさんのサツマイモがついてる!」
「おっきい~!!!」
と、こどもたちもワクワク、夢中に。
穫ったら、カゴに集めましょう~!
収穫したサツマイモとみんなの荷物をリヤカーに乗せて、目的地となる「根っこの家」(活動場所)まで運びます。
バンガローに到着したら、本日の役割決め!
「根っこの家」に到着すると、黒板にスケジュールが書かれていました。
まきわり
昼食作り(カレーライス)
・ 火おこし ごはん炊き
・ 料理
椿の実拾い
「ひと昔前の暮らし体験」の特長のひとつが、こどもが中心となって進めていくということ。役割分担も自分たちで決めて、どんな料理をつくるのか?どうやって作ったらいいのか?は、近くのカフェにこどもたちだけで出かけ、情報収集する。揉め事がおこっても大人はあまり介入せず、こどもたちで解決する。考える力、行動する力、気づく力が、自然に学べる環境です。
まず、立候補したこどもが司会進行し、役割分担を決めます。
まきわりは全員で行い、昼食作りは、火おこしチームと、ごはん炊きチーム、料理チームに分かれました。
おそるおそる…、初めての「まきわり」
斧で大割りしたあと、鉈(なた)で木に少し切り込みを入れてから、思い切り振り降ろす!“思い切り”が想像以上に大切。渾身の力で振り下ろさないと、木が全然割れないのです。初めての「まきわり」。こわごわスタートしましたが、慣れてくると楽しくなってきました。
こどもも1人でできるように!
火おこしをして、青空の下、カレーライス作り
どのように木を並べると、上手に火がおこせるかな…?
見事!火がメラメラ燃え上がってきました!
“火の近くは熱い”
“煙たい”
“煙が目に入ると、目が痛い”
そんな感覚も「原体験」なのです。
煙、目が痛いよね(涙)!
普段の生活ではなかなかこういった体験ができないので、これも貴重な経験。
さて、料理チームになった私たち。
広いテラスで野菜を切ります。開放的で気持ちが良い~!
収穫したサツマイモはスライス。素揚げして、サツマイモチップにするのです!
こちら、島のおばあちゃんにおすそ分けしていただいた「むかご」を炒めています。「むかご」とは、自然薯の赤ちゃんのこと。佐久島の自然薯はおいしいと評判なのだそうです。
料理上手な女子が作っているのはサラダ。ニンジンの千切りに混ぜているのは、スナック菓子の「カラム~チョ」。マヨネーズで和えて仕上げます。これ、本当においしい!こどもたちのつまみ食いが止まりません(笑)。
「ニンジン&カラムーチョサラダのアイデア、すごいね!」と話したところ、
「前にキャンプでつくったの~!」と女子。
どうやら、アウトドアの達人のようです!
そしてもうひとつ、つまみ食いが止まらなかったのが、さつまいもチップです。
カレーライスもできあがり、お昼ごはんタイム
自分たちで一生懸命つくったカレーライス、サラダ、さつまいもチップ。
青空の下、みんなで一緒に食べるお昼ごはんは、いつもよりおいしく感じられます!
くつろぎすぎ~なポーズ(笑)!
おや!海沿いで食べている親子も。ロマンチック~!
近づいてみました。
「おいしいか~い?」
「おいひ~よ~!あつッ!!!」(笑)
お腹がいっぱいになると――
思い思いに、遊びを見つけ始めました!
森の中のブランコ。この上にはツリーハウスも!
目の前は、海。天気が良くて、海面がキラキラしています。
よし、浜辺に降りてみよう!
石を動かしてみると――、カニを発見!
ほかにもニシ貝やヤドカリなど、たくさんの生き物がいます。
「貝殻たくさん集めたよ~!持って帰って、後からお絵描きしよう」。
さすが女子、発想がかわいい。
スケジュールには海岸遊びの予定はなかったけれど、どんな遊びをしようと自由。自然の中には興味を引くものがいっぱい。やりたいことを自分たちで見つけ、楽しみ、さぁ、次は何をしよう?と考える。この経験の積み重ね、“生きる力”が育まれそうですね~!
本日のメインテーマは「椿の実を拾おう」
森の中へ散策にでかけます
「あるっこ~、あるっこ~♪ わたしは~、げんき~!」
となりのトトロの「さんぽ」を口ずさみながら元気に歩きだした一同ですが、椿の実ポイントは森の奥の方にあり、次第に「谷さん~!まだ-!?」の声が出だした頃、到着!歩き始めて30分くらいでしょうか。いい運動になりました!
ところで、椿の実ってどれだ!?
これです!
足元にたくさん落ちていました。この椿の実を使い、地元の中学校で椿オイルを生成し、佐久島ブランドとして販売しています。拾った実を中学校に寄付し、私たちは椿オイルをお土産にいただきました。
再びバンガローへ。さきほど拾った貝殻に、絵を描き始めたこどもたち。
真剣な表情です。
それにしてもこどもたちの発想ってユニーク。石が猫になったり、魚になったり。石の形から、創造力がどんどん膨らみます。
そろそろ帰りの船の時間が近づいてきました。お友達や谷さんに「ありがとう!またね~!」お別れを伝え、帰路につきました。
みんなを案内してくれた谷さん。こども心をつかむプロ!こどもたちから「谷さん~!谷さん~!」と親しまれていました。本日はありがとうございました。
佐久島の自然が、心を育む土壌に
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