HAPPYな農業を、子どもたちの世代へ! 豊田の“若手プロ農家”たちが見つめる未来 【夢農人とよた 会長 石川龍樹さん】インタビュー


 
カフェにいながら、農園を感じられる場所―― 豊田市駅からほど近い「ころも農園 蔵カフェ&マルシェ」は、地元の若手農家たちが育てた新鮮野菜の直売所が併設された古民家カフェです。このカフェをプロデュースしたのは、“若手プロ農家集団”「夢農人とよた」のメンバー。このほかにも地元産の農作物をアピールする、さまざまなイベントや食育活動に取り組んでいます。農作物のつくり手が自ら、消費者と接点を持ち、おもてなしを考える。ほっこりした空間に潜む情熱を感じながら、「夢農人とよた」発起人のひとりである「いしかわ製茶」の石川龍樹さんにお話を聞きました。
 

 

もくじ

― 農家の方って、休みがなく365日忙しくされているイメージがあります。そのハードな毎日の中でカフェの運営やイベントを手掛けているんですね!

 
石川:アナログ農家から脱却したい!という思いで、3人の若手農家が集まって「夢農人とよた」を立ち上げました。今現在、僕たちのような20代~40代の若手の農業従事者は日本の全人口の1%ほどなんです。でも、だからといって将来性が無いなんて、ぼやいていては何も解決しない。少なくとも農業に魅力を感じている僕たちだからこそ伝えられることがあると思って活動を続けています。
 

― 具体的には、どんな活動をしているんでしょうか。

 
石川:先日5回目を迎えた「感謝しNight」というイベントではメンバーの農作物を使ったビュッフェや乳しぼり体験コーナーなどを企画運営。地元の食材を普段から消費してくださる方に感謝し、同時に、食べ物に感謝する日にしています。そのほか、アウトドアブランド“Snow Peak”とコラボして、グランピングのケータリングとして朝食の提供をしました。最近はショッピングサイトも立ち上げました。これらの活動は、僕たちにとって、農業だけでなく、経営視点を育て、おもてなしを学ぶ場となっています。
 

 

 

― 農業にプラスして、経営力も身に付けている。そしてそれが、消費者の方々の顔を見ることにもなって、やりがいにもつながっている。いいことづくしですね!

 
石川:そうなんです。つくることと、発信すること、両輪で取り組む大切さをひしひしと感じています。「夢農人とよた」を立ち上げてからブログを書くようになって、自分の伝えたいことを、こだわりをもって語れるようになりました。農家は寡黙な人が多いから、技術があっても埋もれていることが多い。もっとオープンに伝えることで、チャンスを掴めると思います。実際に、僕の「いしかわ製茶」ではオーガニックティーを手間ひまかけてつくっていますが、僕のブログを見てくれたロンドンのお客様が、オーガニック最高級品を全量買い取る契約をしてくださいました。どこにビジネスチャンスがあるか、分からない。インターネットのチカラはすごいと感じています。
 

 

― 「アナログ農家の脱却」というコンセプトを体現されたんですね!「夢農人とよた」を立ち上げる前後で、石川さんご自身が変化したことってありますか?

 
石川:「夢農人とよた」を立ち上げる前後というより、農家になる前と後で、僕の人生観は180度変わったと思います。学生時代は農家なんて恥ずかしいと思っていました。土地柄、豊田市は自動車関係の仕事に就いている人が多いのですが、うちの両親は土まみれで仕事をしていて、迎えに来るのも最新のトヨタ車じゃなくて、ぼろぼろの軽トラ。大学は農業とはできるだけ距離を置きたくて文学部に進んだし、好きなボクシングに熱中して、プロボクサーとしてリングにも上がりました。でも、茶畑の手伝いから茶葉の販売までを手伝う機会があり、「1から10まで自分でできる農業って、アイデア次第でおもしろくなるかも」と思ったんです。
 

↑「夢農人とよた」のメンバーは、その一体感が強みであり、魅力。写真は、イベント「感謝しNight」の時に撮影した「乳しぼりポーズ」。)
 

↑2018年1月に生まれた息子さんと。「農業の楽しさを伝えられたら」と、石川さん。)
 

― 農業とはちがう世界を見てきたからこそ、いま、石川さんたちは柔軟な視点で「夢農人とよた」の活動を続けていられるのかもしれませんね。

 
石川:実は、豊田市外の人たちも巻き込んで活動を広げようと、2018年3月に「夢農人あいち」を立ち上げました。ゆくゆくは、「夢農人ジャパン」を目標に、メンバー間で話し合っています。僕たちが楽しそうにしていることで、子どもたちの世代に農業を「やってみたい」と思ってほしいですね。以前、小学校に出張授業に出かけたときに、「農業っておじいちゃんや、おばあちゃんがやるものだと思ってた」と言われたんです。素直な言葉だけに、ショックでした。だから僕たちは、夢農人として集団で利益を上げる仕組みをつくりながら、得た利益を食育ボランティアに使って、農業の未来に貢献していきたいと思っています。
 

― 子どもたちの世代が、農家という仕事をイメージできるように、そして、憧れがもてるようにすることが、石川さんたちの願いだと。

 
石川:職業としての魅力、価値を上げて行くことは、これからも大切にしていきたいです。異分野コラボをすることも、ひとつの手だと思っています。最近は中京大学工学部の学生と一緒に、AR技術を使った取り組みも。「ころも農園 蔵カフェ&マルシェ」のメニュー表の「ARマーカー」にスマホをかざすと、そのメニューで使っている農作物をつくっているシーンが動画で見られるんです。これからの農家は、消費者の顔を見て、農家以外の今を知って発展していくことが、いちばん幸せな「未来のカタチ」だと思います。
 

 

 
 

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