廃校や旧旅館を使ったイベントが話題!市民主体のアートプロジェクト【とよた市民アートプロジェクト推進協議会 委員長 石黒秀和さん】インタビュー

 

現在、愛知県豊田市を舞台に活動しているとよた市民アートプロジェクト。2017年秋には、アートプロジェクト第一弾Recasting Clubがスタートし、廃校や旧旅館を使ったイベントが好評を博しました。
今回、とよた市民アートプロジェクトの推進協議会で委員長を務めている石黒秀和さんにインタビュー。Recasting Clubの舞台として10年以上前に役目を終えた高校の校舎や過去に旅館だった建物を使う理由やプロジェクトの信念など、さまざまなものが見えてきました。

 

 

もくじ

― とよた市民アートプロジェクトは、どういったきっかけで誕生したのですか?

 

石黒:最初は、豊田市から「アートの可能性を探りたい」と相談を受けて6年前に生まれた駅前の市民ギャラリーを使ったTUG(トヨタ・アンダーグラウンド・ギャラリー)。その経験を経て豊田市にいるアーティスト同士の横のつながりを作るTAG(Toyota Art Gene)や、アートディレクターやアートプロデューサーの人材を発掘するとよたデカスプロジェクトも始まりました。そこから「豊田市の文化を見つめ直し、発信したい」という流れが生まれ、「豊田市民がアートに触れる機会を作るプロジェクト」としてとよた市民アートプロジェクトが誕生。プロジェクト第一弾が、昨年秋にスタートしたRecasting Clubです。

 

 

― Recasting Clubが生まれた経緯は?

 

石黒:企画のコンセプトは「些細な日常をアートで魅力的なものにする」。それが、市民を巻き込んで日常的にアートを広める活動をしていたNadegata Instant Party(中崎透+山城大督+野田智子)の考えに合っていて、メンバーの山城さんがとよたデカスプロジェクトの審査員をしていた縁もあり、ディレクターとしてお招きしました。Nadegata Instant Party の3人からの提案で生まれたのが、今は使われていない空間をアートで生まれ変わらせる、Recasting Club。このプロジェクトを一緒に盛り上げてくれるサポーターを募集し、現在は20~30代を中心に85名が登録してくれています。

 

 

― Recasting Clubでは、廃校やかつて旅館だった建物を使用したと聞きました!そういった場所を選んだ理由はあるのですか?

 

石黒:いま豊田市の中山間地域では、神社の境内にある舞台を使った農村舞台アートプロジェクトなど、文化イベントが盛んに行われています。それなら僕たちは、駅前や中心市街地を市民アートの場にしたいなと思ったんです。そこで選んだのが、隣に豊田市美術館があるなど敷地自体が文化ゾーンで、「学校」という要素も持つ旧豊田東高校でした。生活に密着した「学校」は、「アートは生活と切り離されたものじゃない」ことを伝える絶好の場です。昨年11月に旧豊田東高校の武道場を使ってRecasting Club第一弾の企画On Stage ! On High Schoolを行い、第二弾は今年3月、元々旅館だったとよた大衆芸術センター[TPAC]で最初の晩餐/The First Supperを開催しました。

 

 

 

― なるほど、あえて文化開花の余地がある場所に白羽の矢を立てたんですね!Recasting Clubの2度のイベントを通して、どんなことを感じましたか?

 

石黒:正直なところ今までのイベントは、ちょっと消化不良感のあったサポーターもいたのではないかと僕自身は思っています。決まったことをサポートしてもらうことが多かったので。もっと主体的に何かをしたい、と思った人もいたはず。ミーティングでは、1人ひとりのアイデアや思いを僕らがもっとくみ取っていかなければいけないと思います。そうしてでき上がったイベントこそ、訪れた人が本当に「楽しかった」「面白かった」と感じてくれるイベントになるはず。

 

 

― 長丁場のプロジェクトなんですね!では、直近の9月に行われるRecasting Club第三弾のイベント「Recasting Weeks」、どんなステップアップをしていきますか?

 

石黒:1回目と同じ旧豊田東高校を使用しますが、メジャーアーティストを呼んだりしていた今までと比べて規模は小さくなるかもしれません。プロが先導するのではなく、市民が主体となったイベントだから、それでいいんです。市民が出演者となり、その友人知人といった普段アートとは接点のない市民がお客さんとして入ってくることで、アートに興味を持つ人の裾野が広がって新たなつながりが生まれ、より多くの市民へアートが浸透してくれると思っています。

 

 

― 今後Recasting Clubやとよた市民アートプロジェクトで目指すべき目標は?

 

石黒:Recasting Clubは実験的なプロジェクトなので、集客数を重視するよりもサポーターがしたいことを実現して、訪れた市民が自分たちの生活の中にアートの息吹を感じるようになってくれればいい。サポーターや市民から次なるアートイベントが生まれ、プロジェクトの核として動いてくれるようになったら、市民の力で豊田の街が面白くなって、とよた市民アートプロジェクトとしては成功になるんです。そこまでいくのに最低3年はかかるかな。

 

 

(文:西 等)
 

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