傘を入れるとビヨーンと伸びて手軽に持ち歩ける傘カバー「Takenoco[タケノコ]」。混み合った電車やバスの車内で人も自分も濡れることなく、繰り返し使えてエコにも優しい商品です。前編では誕生秘話やユーザーの声をお伺いしました。後編では、改良版や折りたたみ傘バージョン、またタケノコをはじめ数々のアイデア商品を生み出すオリジナルブランド「up-mark-sam(アップマークサム)」のコンセプトをお聞きします。
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折りたたみ傘の「困った!」を解消
大好評のうちに完売したタケノコ第一弾でしたが、手がける「ぐらびて」代表の伊藤益宏さんはさらなる改善に着手します。2021年モデルにはタケノコの先端にキャップを取り付け、先端からぽたぽた水が零れ落ちるのを防げるように。コロナ禍で共用の傘立てを使わず、コンビニや飲食店の店内に傘を持ち込む人が増えたのもその理由。キャップ付きなら床が濡れずに済みます。そういった日本人らしい気遣いが、タケノコ第二弾の販売を勢いづけました。
↑タケノコ誕生秘話について語ってくれた、ぐらびて代表の伊藤さん。
先端が細くなっている長傘バージョンとは別に、先端が平らになったコップのような形状のタケノコも。これは「Takenoco mini[タケノコ ミニ]」。折りたたみ傘専用の傘カバーです。会社や店舗の傘立ては長傘用がほとんどで、折り畳み傘は使用後に置く場所がなくて困っているという声を受けて開発しました。折り畳み傘がすっぽり収まるサイズで、立てた状態で置いておくことができます。
↑タケノコ ミニは全長が短く、寸胴型になっています。
↑右上から時計回りに、タケノコ第一弾、タケノコ ミニ、タケノコ第二弾。どの商品も防水収納ケース付きなので、使用後にバッグが濡れる心配もありません。
どのバージョンも機能性は抜群ですが、「かわいらしさをどこまで追求できるか」という点にこだわったそう。「買ってくれた人の60%は女性で、特に40~50代が目立っていました。大人の女性に受け入れられるような色のラインナップにしたり、流行りに合わせてピンクの色味を少し変えたりもしました」と細かな工夫がなされています。
伊藤さんの改善欲はまだまだとまりません。今は低価格の傘が増えているため、それに合わせた低価格の傘カバーが作れないか試行錯誤しています。また、車の中で使いたくなる高級感のあるデザインを作り、さらなるユーザー拡大を狙っているそうです。「すべての人に気に入ってもらわなくてもいい。一部の人から『これいいね』って言ってもらえれば」と、アイデアが豊富に生まれる秘訣を教えてもらいました。
オリジナルブランド「アップマークサム」
タケノコは「ぐらびて」オリジナルブランド「アップマークサム」の商品のひとつ。「あなたに、まわりに、ちょっとした心配り」をコンセプトにしているアップマークサムですが、自分と周囲の人、さらに地球環境にも気遣えるタケノコは、ブランドコンセプトを体現しているかのようです。アップマークサムからは、マスクやマスクカバーもリリースされています。
↑不織布マスクの上につけるマスクカバー。不織布マスクの機能はそのままに、布マスクのデザイン性がプラスでき、繰り返し使用できます。
マスクカバー誕生のきっかけは「せっかくおでかけして友達と記念撮影しても、真っ白なマスクばかりが目立ってしまう」という声があったことから。マスク着用は仕方がないこととはいえ、「せっかくテーマパークに遊びに行っているのに、誰だかわからない写真はかわいそうだな、少しでも華やかな気分になれれば…」と開発しました。
↑コンビニでお弁当とペットボトルのドリンクを買ったときに使えるエコバッグ。
こちらのエコバッグはドリンクが宙に浮く仕様になっていて、温かいお弁当と冷たいドリンクを分けることができ、さらにお弁当をつぶしたり傾いてしまったりするのも防ぎます。万が一、汁がこぼれても袋から液体が染み出ない防水機能も備えているとのこと。
どの商品も、「取るに足らないけれど、みんなが不便に感じていたこと」を解消してくれるものばかり。伊藤さんのアイデアは、ユーザーの声につぶさに耳を傾けることで生まれているようです。
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(写真:岩瀬有奈 文:河合春奈)