十年急須
十年急須

たっぷり淹れて、好きなときに適温で飲める!軽くて割れないモダンな急須【十年急須】前編

十年急須

「急須でお茶を淹れること」は日本人なら誰もがイメージできますが、自分で実際に行ったのはいつのことでしょうか。ティーバッグやペットボトルのお茶が当たり前という人にとっては、飲むたびにお茶を淹れるのは面倒と感じるかもしれません。そんな人にこそ使ってほしいのが「十年急須」。軽くて割れない樹脂で作られており、取り扱いもラクチンでお茶の作り置きができます。

十年急須を手がけるのは愛知県幸田町にある自動車関連部品の製造企業。シンプルモダンなデザインと軽くて割れないという機能性を兼ね備えた「十年急須」の誕生秘話を、企画製造を行っている鈴木化学工業所の小幡和史社長と、商品企画を担当した井下邦之さんに伺いました。

もくじ

保温性・保冷性が高い二重層の構造

十年急須は一般的な急須と同じく取手とフタがあり、中に茶こしがセットできるようになっています。違いといえば、容量500mlとちょっと大きめサイズであることと、二重層になっていることです。

十年急須

↑十年急須の構造について説明してくれた小幡社長。

二重層にすることで保温性・保冷性が高まります。また、熱いお茶を入れた際に急須の表面に触っても火傷をする心配がありません。冷たいお茶の場合は結露を防止してくれる効果も。急須いっぱいにお茶を作って茶葉だけ取り除いてデスクに置いておけば、いつでも1杯ごとに適した温度で飲めるという、現代のライフスタイルにあったデザインです。

十年急須

↑商品企画を中心となって進めた井下さん。二重層にすることで空気の層ができ、保温性が高まります。

「実は昔から毎朝紅茶を淹れて飲むのが習慣で。朝出社したときにお茶を淹れて置いておける急須があるといいなと思っていたんです」と小幡社長。透け感のある乳白色の十年急須は、お茶の色も美しくみせてくれます。これは陶器の急須ではできない演出です。

十年急須

↑小幡社長自身も十年急須を愛用。たっぷり紅茶を淹れておいておけるので、デスクワークの合間にホッと一息つくことができます。

冷却水タンクから連想して

ところで、なぜ自動車関連部品のメーカーが急須を作ることになったのでしょうか。

鈴木化学工業所は自動車の冷却水を貯めておくタンクや、水素自動車の水素をいれる充填口などを製造しています。これらは走行距離を伸ばすため、軽い樹脂が素材に選ばれています。設計図から金型を作り、樹脂を流し込んで製品に。急須とは一見、無関係に思えますが…。

十年急須

↑鈴木化学工業所の本社工場。機械や材料はきれいに整理整頓されています。

「愛知ブランドという集まりの中で、コロナ禍で元気のない製造業とデザイナーが手を組んで“おうち時間を楽しめる新しい商品を作ろう”という取り組みが始まりました。デザイナーの人たちに工場を見学してもらってブレインストーミングを行い、冷却水のタンクから急須が連想されたことが発端です」と井下さん。デザイナーが作ったラフ画をもとに、実際に製造できる形状へと修正を加えてデザインを完成させました。

十年急須

↑デザイナーのデッサンから金型のCADデータを起こしたという井下さん。

作ったことがないものでも独自性にこだわる

冷却水タンクと急須。確かにどちらも水を入れておくものです。とはいえ、作ったことがないものを作るというのは、道なき道を進む開拓者のようなもの。戸惑いや不安はなかったのでしょうか。

十年急須

↑日本茶以外に紅茶やハーブティーにも合うモダンなデザイン。

「ご存じの通り、コロナの影響で自動車関連工場はことごとく休業となってしまいました。当時、自動車業界は好調でしたが、コロナ禍で突然の減産となり対前年比は半分以下。一時的なものだとわかっていたので、人を雇用し続けることと設備を維持し続ける必要があったんです」と小幡社長は振り返ります。

そこでまず取り組んだのが、県から要請のあったフェイスシールドの製造。「作ったことがない製品なので無理だと思ったのですが、同じような中小企業がフェイスシールドを作ったのを知ってトライすることに。どうせ作るなら今世の中にあるものよりいいものを作りたいし、求めている人に早く届けたかった」。デザインして3Dプリンタで作って、微調整して…と試行錯誤の末、曇らない・おでこが痛くならないという独自性のあるフェイスシールドが完成。

既存のものの真似ではなく「作ったことがないものでも独自性を出す」というものづくりへのこだわりは、十年急須へも反映されています。

十年急須

↑大きさや構造を工夫することで、ほかの急須にはないメリットを生み出した十年急須。

後編では十年急須の製造工程や「いいものを作る」というこだわりの源泉、今後の展開について紹介します。

  • 急須と湯飲みが一体型になった「CHAPTER(チャプター)」開発秘話の記事もチェック!
あわせて読みたい
たっぷり淹れて、好きなときに適温で飲める!軽くて割れないモダンな急須【十年急須】後編 十年急須の特長や誕生秘話など前編記事もチェック! https://hiroba-magazine.com/tokaips/product-31/ 樹脂という素材を知り尽くした愛知県幸田町の自動車関連部品メー...

(写真:岩瀬有奈 文:河合春奈)

鈴木化学工業所
住所愛知県額田郡幸田町大字六栗字左右作2-1
問い合わせTEL 0564-64-1058

https://www.suzukikagaku.co.jp/

New Report

2026-07-20

トーカイ・プロダクト・ストーリー

知多半島産の柑橘をブレンドした爽やかな味わい!クラフトコーラ「知多コーラ」

愛知県南部にあり、名古屋から南へ突き出した知多半島の温暖な気候で育ったレモンとみかんをブレンドしたクラフトコーラ「知多コーラ」。生みの親となる磯村優太さんは、会社員として働きながら、コロナ禍...

2026-07-17

TOPICS

三河花火発祥の伝統技「岡崎城下家康公夏まつり 第78回花火大会」8/1(土)

三河花火発祥の地・岡崎が誇る、夏の風物詩「岡崎城下家康公夏まつり 第78回花火大会」が、2026年8月1日(土)、岡崎市の乙川と矢作川の河畔で開催されます。 花火と鉾船が浮かぶ伝統的な...

2026-07-16

シーズントリップ

夏休みにおすすめ!幼児から小学生まで、親子で楽しめる【愛知・岐阜・三重のレジャープール2026】

梅雨が明ければ、もう暑さはじける夏が到来。避暑もしたいところですが、水遊びが楽しめるプールやレジャースポットもこの季節ならでの楽しみ! 今回は、子連れで楽しめる愛知・岐阜・三重のおすすめレジャープー...

2026-07-15

TOPICS

劇団四季 ミュージカル『オペラ座の怪人』名古屋公演 7/5(日)開幕

撮影:荒井 健 名古屋市熱田区に新たに誕生したMTG名古屋四季劇場[熱田]のこけら落とし公演として、2026年7月5日(日)よりミュージカル『オペラ座の怪人』が開幕。 仏作家ガストン・ル...

2026-07-14

HIROBAくんと行く

伊勢市に誕生!体験型ミュージアム「オカゲ屋敷」で“おかげさま”の心にほっこり

三重県伊勢市の伊勢神宮内宮前「おかげ横丁」に2026年7月、体験型ミュージアム「オカゲ屋敷」がオープン。大阪万博に携わったトップクリエイターと協働し制作されたインスタレーション作品を通して、...
津島天王祭, 2026,花火,宵祭,時間,朝祭

2026-07-11

TOPICS

ユネスコ無形文化遺産登録「尾張津島天王祭」7/25(土)・26(日)

日本三大川祭りのひとつであり、ユネスコの無形文化遺産にも登録されている「尾張津島天王祭」が2026年7月25日(土)・26日(日)に愛知県津島市の天王川公園で開催。 7月25日(土)の...

2026-07-08

TOPICS

金魚が優美に泳ぐ芸術空間「アートアクアリウム展 名古屋2026」7/24(金)~9/23(水・祝)

金魚と光・音・香が織りなす芸術空間「アートアクアリウム展 名古屋2026」が2026年7月24日(金)~9月23日(水・祝)、名古屋・栄にある中日ビルで開催されます。 江戸時代から続く...
桜山風鈴まつり,風鈴,2026,ライトアップ,高山

2026-07-04

TOPICS

カラフルな風鈴が夏を演出「桜山風鈴まつり」7/18(土)~8/29(土)

約2,000個のカラフルな風鈴が彩る飛騨高山の夏の風物詩「桜山風鈴まつり」が2026年7月18日(土)~8月29日(土)、岐阜県高山市の櫻山八幡宮で開催されます。 絵馬殿に風鈴が飾られ...

2026-07-01

HIROBAくんと行く

湖池屋初、中部エリアの工場が岐阜県海津市に誕生!工場見学やマイポテチ作りを体験

ポテトチップスをはじめとするスナック菓子でおなじみの湖池屋。2025年12月には中部エリア初となる中部工場が岐阜県海津市に誕生しました。全国2カ所目となる「湖池屋GOGO!ファクトリー」も併...

2026-06-30

TOPICS

楽曲と紐解く流星群の世界「流れ星を探して feat. BUMP OF CHICKEN」7/3(金)~

名古屋市西区のイオンモールNagoya Noritake Gardenにあるコニカミノルタプラネタリウム楽天NAGOYAでは、2026年7月3日(金)~、BUMP OF CHICKENの楽曲...

2026-06-27

TOPICS

驚きと不思議に満ちた虫の世界「養老孟司と小檜山賢二の虫展」7/11(土)~9/23(水・祝)

解剖学者で大の虫好きとしても知られる養老孟司さん。そして、対象物の全てにピントがあう深度合成技法を駆使し、昆虫写真の新たな可能性を切り拓いた小檜山賢二さん。長年の虫友だちである養老さんと小檜...
pagetop
もくじ