調和を第一に考えたミニマルデザイン
マットで滑らか、ニュアンスカラーのバリエーションが女性心をくすぐる器ブランド「KANEAKI SAKAI POTTERY」。後編では、“商品が生まれるまで”を追っていきたいと思います!
金秋酒井製陶所のデザイン室で働く河野季菜子さんが手がける「flat」は、名前の通り凹凸がなく、薄手のつくりが特徴的なシリーズ。とくに端に向けての薄さがスタイリッシュな秘訣。これは、マグカップの端に口をつけたときに、口当たりが滑らかで、飲みやすいようにと、河野さんのこだわりの賜物です!
同じくデザイン室で働く岸弘子さんが手がけるのは「miranda」シリーズ。これは、架空に存在する金髪のミランダという女性が使う皿をイメージして作ったのだとか。「flat」に比べると、少し厚みを感じるつくりに安定感も。このシリーズのこだわりは、一般的なサイズ展開よりも少し大きくつくっていること。どうやら、1番小さいサイズは、ショートケーキが映えるサイズ。一番大きい皿は、クレープを焼いたときに、ちょうどペロンとそのままラフに置けるサイズということ。スイーツを基準にしているあたり、何とも女性らしいですね!
「KANEAKI SAKAI POTTERY」が生み出されるまで
河野さんと岸さんは、「KANEAKI SAKAI POTTERY」を立ち上げるために、まず市場調査をし、陶器の流行や、今、市場で求められるデザインの傾向を研究していきます。器をどんな人に使って欲しいか?具体的にイメージする使い手、そして、使っている光景などを思い描きながら、商品のデザインをしていきました。艶消しの質感と、絶妙な色のトーンに辿り着くまでには、釉薬の業者と何度も試行錯誤を繰り返したそう。
まずつくってみてから、ブラッシュアップしていく
商品の形については、まず、スケッチを描くことからスタート。ですが、形にしてみないとやはり、イメージがわきにくい。「とにかく形にしてみよう」ということで、まず、一度つくってみて、それから調整するという作業を繰り返しました。マグカップの取っ手も、納得できるまでこだわり抜いたフォルム。手に馴染む感覚や、見た目の美しさ。そして、買ってくれた人からの意見も反映しながら、アップデートを繰り返し、1年以上かけて、今の「KANEAKI SAKAI POTTERY」の形に辿りつきました。
また、食器は料理が乗ることで完成する、という思いを大切にしている2人。その器に乗せて一番映える料理は何か?おいしそうに見える食べ物は何か?を自問自答しながら、完成品に実際に料理を乗せて写真を撮りながら、客観的な視点をも大切にしているそう!
職人の個性がおもしろい、ハンドメイドの作業道具
2人それぞれの作業場には、使いやすく自作した作業道具がズラリ。一見、不思議にも見える道具の数々は、ホームセンターで手に入れたものを、自分なりにアレンジしたもの。例えば、針金を曲げた道具は、定規では測れない箇所の幅を測るのにピッタリ。工房では人それぞれ道具への工夫があり、多種多様かつ個性的です。
喜びは、つくることと、使ってくれること
自分たちが作ったものがどのように使われているのか――。
SNSでリアルなユーザーの写真のチェックも欠かしません。「KANEAKI SAKAI POTTERY」の器に、料理がキレイに盛り付けられた写真がアップされると、「こんな風に使ってくれているんだ」と、うれしさも倍増!陶器づくりの仕事の魅力は、手を動かし、思い描くものをつくり上げていくこと。そして、愛情の詰まった商品を大事に使ってくれているユーザーの姿が、少しでも垣間見れること。その瞬間、とても幸せな気分になり、つくる喜びを強く感じるそうです。
クラフトフェア出店時には、「KANEAKI SAKAI POTTERY」と書かれた黒い暖簾をたらします。文字は自分たちで一生懸命に書いたシルククリーン。2人の素朴なあたたかさが表れています。
「今後は新しいシリーズを増やして、もっと多くの人の手元に届くようにしたい」。
若手女性職人2人の挑戦はまだまだこれからも続きます!
前編はこちら
●「KANEAKI SAKAI POTTERY」は下記で販売されています。
・tsunagu(岐阜県多治見市本町5-15-2)
・まちゆい(岐阜県土岐市土岐ヶ丘4-5-3テラスゲート土岐内)
・on la CRU(http://www.rakuten.co.jp/on-la-cru/)